遊具をこわがる慎重な子が、公園を楽しめるようになるまで

ほかの子たちがジャングルジムをかけのぼり、すべり台をすべりおりるなか、うちの子はふちに立って大人の手をにぎり、じっとながめている。ちょっぴり心配になったり、気まずく感じたりするのは自然なことです。でも、その気持ちは少しわきに置いてみてください。慎重な子は、直すべき問題ではありません。慎重さは、子どもを守ってくれる、理にかなった気質です。向きあい方しだいで、注意深く見ているその子は、その子自身のペースで、自信をもってじょうずに遊べる子に育っていきます。

慎重さがしていることを知る

慎重な子にとって、公園はうるさくて、速くて、予想がつかない場所に感じられることがあります。うしろに下がっているのは、がんこだからではありません。遊具がどう動くか、ほかの子がどこへ行くか、安全かどうかを確かめて、情報を集めているのです。これは本当に役に立つふるまいです。飛びこむ前に見きわめる子は、ためらっているように見えても、かしこいことをしています。

慎重な子と公園へ行くとき、多くの大人がしてしまうまちがいは、慎重さを早く乗りこえるべきものとしてあつかうことです。じつは、それは尊重すべきものです。強く押しすぎるとこわさを確かなものにしてしまい、ただ待つだけでは、子どもが入り口を見つけられないままになるかもしれません。ちょうどいいのは、プレッシャーをかけずに、根気よく背中を押すことです。

見ていることも、参加のうち

お子さまに、見ていていいと、まるごと許してあげましょう。ふちに立ってほかの子をながめるのは、時間のむだではありません。それは仲間に入る最初の段階で、子どもによっては、何回か公園に通ってそれだけをしてから、ようやく次が始まります。いっしょに見えることを、落ちついて実況しましょう。「あの子、階段をのぼってるね。今度はすべってる。笑ってるね」。こわいものもだいじょうぶで、しかも楽しいのだと、そっと見せているのです。

お子さまの人見知りや慎重さを、ほかの親やお子さま本人に言いたくなる気持ちはおさえましょう。レッテルははりつきます。何度も「はずかしがりや」「こわがり」と言われた子は、そのレッテルどおりに育っていきがちです。ただ見させてあげて、何も起きていないように見えるときも、見ることがちゃんと働いていると信じましょう。

小さく、いっしょに始める

まずはいちばんこわくなさそうな遊具を、できれば公園がすいているときに選びましょう。子どもが少ない朝早くや平日に行くだけで、慎重な子のやる気ががらりと変わることがあります。低くてやさしいものから始めます。小さな段差、赤ちゃん用のブランコ、すべる前にすべり台のいちばん下にすわってみること。手もそばにいることも、惜しまず差しだしましょう。安心できるつながりを感じている子は、探検がへるのではなく、ふえます。お子さまの安全基地でいることは、まさに正しいことなのです。

チャレンジはごく小さな段階に分けて、ひとつひとつを心からよろこびましょう。はしごの1段目をのぼるのは、こわがりな子にとって立派な達成です。下ができたからといって、てっぺんまで急がないこと。小さな成功がひとつ落ちついてから次へ。はしごのペースは、お子さまに決めてもらいます。

押さずに、背中を押す

はげますこととプレッシャーをかけることには、はっきりしたちがいがあります。はげましは、ひらいた扉のように聞こえます。「ここにいるから、やってみたくなったらね」「ゆっくりでいいよ」「もう少し見てからにしようか」。プレッシャーは、要求のように聞こえます。「ほら、かんたんだよ」「みんなやってるよ」「何こわがってるの」。前者は自信を育て、後者は、公園は大人をがっかりさせる場所なのだと教えてしまいます。

ごほうびでつったり、はずかしい思いをさせたりはやめましょう。どちらも、お子さま自身のふくらみかけた勇気から、大人の反応へと焦点をずらしてしまいます。結果ではなく、がんばりに目を向けてください。「この前より高くのぼれたね」「今日はすごくよく見てたね」。そう言うと、大事なところに焦点がとどまります。

くり返しに、仕事をまかせる

慎重な子の自信は、大きな勇気の瞬間よりも、なれることでずっとよく育ちます。同じ公園に何度も通うと、お子さまは知らないものに使っていた力を、やってみることに使えるようになります。1週目にこわかったものが、4週目にはただの背景になっていることもよくあります。気負わずこまめに通うほうが、たまの意気ごんだお出かけより、いつでもうまくいきます。

公園は、子どもに必要な、ほどよい実際のリスクを練習できる場所でもあります。お子さまが大胆になってきたら、大人はゆったり、でもしっかり見守りながら、安全な範囲のふちを試させてあげましょう。ちょっとひやっとしたり、やわらかい地面にころんだりしてもだいじょうぶだと知ることが、慎重さが判断力へと育っていく道のりの一部です。

現実的な安全にも気を配る

慎重な子にも、安全な場所が必要です。遊具がお子さまの年齢と体の大きさに合っているか確かめ、ひっかかりそうな長いひもや輪のついた服は避け、高い遊具ではそばについていましょう。暑い日は、日かげ、帽子、日焼け止め、水を忘れずに。体が快適で安心していると、全体の警戒心が下がり、お子さまは少しだけ勇敢になれます。

慎重さ以上のものに見えるとき

慎重な子のほとんどに必要なのは、時間と、あたたかさと、くり返しです。それでも、ときにはもう少し広く相談したほうがいいこともあります。毎日のいろいろな場面でこわさが圧倒的に見える、長いあいだほかの子にほとんど興味を示さない、目が合いにくく、同じものをいっしょに見ることが少ない、前に言えていたことばやできていたことができなくなってきた、という場合は、かかりつけの小児科医や地域の保健師さんに伝えてください。こうした相談は、たいてい安心で終わりますし、そうでないときも、早めの支えは大きなちがいを生みます。注意深い子の大多数にとって、伝えたいことはもっとシンプルです。だいじょうぶ、その子なりのいいペースで、ちゃんと近づいています。

ここを大切に: 慎重さを尊重し、見ることも参加と考え、すいている日に小さく始めましょう。せかさずにはげまし、自信づくりはくり返し通うことにまかせます。

NHS, Physical activity guidelines for children under 5

American Academy of Pediatrics, The power of play