寝ころんで雲の見立て遊び。幼児と過ごす、静かな外時間
外遊びがいつもにぎやかである必要はありません。お子さまが外で過ごすいちばん心の栄養になる時間のいくつかは、シートの上にあおむけになって、見上げて、空を流れていくものに心をあずける時間です。雲をながめるのに必要なものはほとんどありません。芝生の一角と、数分の時間と、何かが浮かんでいる空。そのお返しに、静けさと想像力と気楽なおしゃべりをくれます。どれも、小さな子の一日のなかでは、思っている以上に手に入りにくいものです。
見上げることの、静かな価値
雲をながめる遊びは、わざと体をゆっくりさせる、数少ない外遊びのひとつです。それには意味があります。子どもは一日の多くを動いて過ごしています。落ちついて、よく見ることを覚えるのは、それだけでひとつの力で、集中、眠り、気持ちを落ちつける力を支えます。じっと寝ころんで雲が流れるのを見ることは、これから何年もたよりにする、静かな集中のやさしい予行練習なのです。
想像力も働いています。犬に見えた雲が、ふねになり、それから大きなふかふかのまくらになる。ひとつのものを別のものに見立てることは、ごっこ遊びや、のちのおはなしづくりや読書の裏にあるのと同じ頭のジャンプです。お子さまは、ただぼーっとしているだけだと思っているあいだに、これが全部起きています。
始め方
すわり心地のいい場所と、雲がおもしろい日を選びましょう。のっぺりした灰色の空や雲ひとつない青空より、雲がちらばっている日が向いています。シートを広げて、いっしょにごろんと寝ころび、何か言う前に少しだけ静かな時間を置きます。それから声に出してふしぎがってみましょう。「あの雲、なにに見える?」。大人の答えへ連れていくのではなく、お子さまの答えについていきます。大人には帽子に見えても、お子さまに恐竜に見えるなら、恐竜の勝ちです。
大人のひと言は、軽く、好奇心まじりに。雲がどう動くか、どう形を変えるか、ときどき太陽をかくしてあたりがひんやりすること。お天気の授業をしているのではありません。気づくことの楽しさを見せていて、大人の落ちついた注意こそが、お子さまがついてくるお誘いになります。
遊びを、やさしく育てる
2歳の子なら2、3分しかもたないかもしれませんが、それでまったくかまいません。年中さんくらいになると、もっと長く楽しみ、おはなしを足すのが好きになります。あの雲はどこへ航海していくの?ふわふわの雲にはだれが住んでるの?次は何に変身するかな?雲が雨を運んでくること、朝と夕方で空の見え方がちがうことなど、雰囲気をこわさずに、ものごとの考えの芽を織りこむこともできます。
寝ころぶのがむずかしい日も、雲ながめはどこへでも持っていけます。バス停で待っているあいだ、ベンチから、雨の午後には窓ごしに、いっしょに見上げてみましょう。ちらっと見上げてふしぎがる習慣はどこへでも行けて、手持ちぶさたな時間を、ふたりの小さな楽しみに変えてくれます。
快適さが、すべてを決める
じっとしている遊びなので、走りまわる遊びより早く体が冷えたり、もぞもぞしたりします。ひんやりした地面に寝ころぶつもりで服を選び、おだやかな天気の日でも1枚多めに持っていきましょう。厚手のシートやマットがあれば、しめった芝生からも守れます。晴れた日は、空を見上げることは強い光のほうを見ることでもあると気にとめて、太陽が低い時間を選ぶか、木もれ日の日かげをさがし、帽子を手もとに置いて、お子さまに決して太陽を直接見させないようにしてください。目を傷めることがあります。
数分が、ちょうどいいことも多いものです。雲ながめはごほうびのように感じられるもので、がまんくらべではありません。まだ楽しいうちに終われば、お子さまはまた別の日によろこんでやりたがります。
じっとしていられないときは
いつも動いているタイプの子など、じっと寝ころぶのが本当にむずかしい子もいます。むりにさせないでください。短い版にする、体が休みたくなっている元気な遊びのあとに誘う、寝ころぶかわりにすわってながめてもらう。どうしてもじっとできないなら、それはお子さまの気質についての情報で、遊びの失敗ではありません。もっと静かな日もこれからやってきますし、いまはほかの落ちついた遊びのほうが合っているのかもしれません。
どこにいても落ちつけないように見える、毎日のくらしにさしつかえるほどひどく落ちつきがない、同じ年ごろの子とくらべて、ほんの短いあいだでもゆっくりしたり集中したりするのがとてもむずかしい、と心配になったら、かかりつけの小児科医や地域の保健師さんに伝えてみるのはもっともなことです。落ちつきのない2歳の子のほとんどは、ただ2歳らしくしているだけですが、お子さまのことをいちばん知っているのはあなたです。短い相談で、役立つアドバイスか、すっきりした安心か、どちらかが手に入ります。
それでもたいていの家族にとって、雲ながめは外がくれるいちばん手軽な贈りもののひとつです。寝ころんで、見上げて、今日の空に何がかくれているか、お子さまに教えてもらいましょう。雲は変わりつづけ、おしゃべりは好きなところへ流れていき、ふたりとも来たときより少しおだやかになって帰れます。
大切なのは: 気持ちのいい場所に寝ころんで、最初は静かに、それからお子さまの想像についていきましょう。短く、ぬくぬくと。太陽は決して見ないこと。
American Academy of Pediatrics, The power of play
WHO, Guidelines on physical activity, sedentary behaviour and sleep for children under 5