集合住宅でもできる、静かな音楽遊び
小さな子とうすい壁の集合住宅に住んでいると、音楽遊びはちょっとこわく感じます。足ぶみは下の階にひびき、たたいたおなべは建物じゅうに鳴りわたる。でも、音楽はすてきであるために大きな音である必要はなく、いちばんすてきなリズム遊びのなかには、部屋の外ではほとんど聞こえないものもあります。静かな音楽遊びなら、建物じゅうにドスドスのサウンドトラックを流さずに、歌、拍、体の動きを楽しめます。
大きな音と楽しさは、別もの
子どもはにぎやかな音楽しか楽しめないと思いがちですが、そうでもありません。子どもが好きなのは、参加すること、リズム、大人の注目で、そのどれも音をぐっと下げても残ります。むしろ静かな遊びは、よく聞かなければならないので、子どもを近くに引きよせることがよくあります。「静かにして」を「静かゲームしよう」に言いかえると、制限が、子どもが本当に楽しめるチャレンジに変わり、同時にご近所との平和も守れます。
ささやき声の歌と、小さな声
いちばんかんたんな静かな遊びのひとつは、なじみの歌をできるかぎり小さな声で歌うことです。ささやき声の歌はふしぎと子どもを引きつけ、静かにいるチャレンジ自体が楽しさになります。いろいろな小さな声で遊ぶのも。ねずみの声、ないしょの声、「赤ちゃんが起きないように」の声。小さく歌っても、ことばとつながりはほかの歌と同じように届き、音量だけがないので、集合住宅の早朝や夜にぴったりです。
ドンと鳴らさずに、リズムを
大きな音をひとつも出さずに、リズムはたっぷりつくれます。
- クッション、ひざ、ソファのひじかけを指先でトントン。
- 舌をコッコッと鳴らす、そっと指を鳴らす、やわらかい面をやさしくポンポン。
- 静かな「ボディパーカッション」。やさしくたたく、こする、トントン。
- カラカラ鳴る缶ではなく、小さな布のお手玉のようなやわらかい中身の物をふる。
やわらかい面を選ぶのが、すべてのコツです。クッション、ひざ、たたんだ毛布は音を吸いとりつつ、まねするのに気持ちいい拍をくれます。こうした静かな音楽遊びは、にぎやかな遊びと同じ聞く力とタイミングを育て、下の階には一度もドンとひびきません。
ドスドスしない動き
集合住宅のダンスで、天井をゆらす必要はありません。ジャンプや足ぶみより、ふわふわしたその場の動きへ。ゆれる、ひねる、高くのびてゆっくりふわりとおりる、スカーフをふる。あるいは、できるだけなめらかに、音を立てずに動くのがチャレンジのスローモーションダンス。つま先歩きの遊びはぴったりで、「静かにして」が「ねこみたいにつま先で歩けるのはだれかな」に変わります。床でははだしかやわらかい靴下のほうが、靴より安全で、静かです。
静かな楽器にたよる
楽器を使うなら、やさしいものを。やわらかいマラカス、そっとたたく静かな手太鼓、やわらかいばちでたたく木琴、ハミングのおもちゃ。どれもご近所にやさしい音量で音楽になります。金属と笛のにぎやか組は、集合住宅の家の中では避けましょう。「この楽器でいちばん小さい音で」と遊びにするのも、音を小さくできるうえに、調整することを教えてくれます。小さく演奏できるのはれっきとした音楽の力で、ただの妥協ではありません。
静かな遊びで落ちつかせる
もともと気持ちを落ちつかせるので、静かな音楽遊びは子どもを落ちつかせるすばらしい道具にもなります。ささやき声の歌、だんだんゆっくりになるやわらかいトントン、静けさへと流れていくふわふわの無音のダンス。どれもお昼寝や寝る前に元気を下げる助けになります。そもそも夜に大きく体を動かしてさわぎたくない集合住宅では、こうしたやさしい落ちつかせ遊びのほうが、にぎやかな遊びより役立つことが多く、空間にもぴったり合います。
毎日の運動も忘れずに
小さな子にはやっぱり、体をしっかり動かす遊びの時間が必要で、集合住宅ではそれがむずかしくなりがちです。静かな遊びはおだやかな時間をカバーしてくれますが、公園、室内遊び場、児童館、あるいは少しのドスドスなら許される時間帯の元気な遊びで、しっかり体を動かす時間もとりましょう。静かな家遊びと元気なお出かけのバランスで、子どもはじゅうぶん体を動かし、家の暮らしはおだやかに保てます。
静かなのが選択ではなく心配なとき
静かな遊びを選ぶのはひとつのこと。でも、いつも音に反応しない、音楽や大人の声に反応しない、大きな音にびくっとしない、ということに気づいたら、乳幼児健診などのいつもの機会に伝えましょう。かんたんな聞こえの検査はすぐに手配できます。これは上の静かな遊びとはまったく別の話ですが、知っておく価値があります。聞こえていないように見える子は、もともとおだやかな子だと片づけず、確かめてもらう必要があるからです。
静かでも、楽しさはそのまま
楽しそうな子どもと、まわりに気を配った集合住宅の暮らしのどちらかを選ぶ必要はありません。ささやき声の歌、やわらかくたたくリズム、ふわふわの静かな動きがあれば、音楽もつながりもおだやかさも、いっぺんに手に入ります。静かな音楽遊びが教えてくれるのは、リズム、いっしょにいること、喜びといういいところは、もともと音量とは関係なかったということ。ご近所もきっとありがたく思ってくれます。
ポイント: 静かな音楽遊びは、音を立てずにリズムとつながりを届けます。ささやき声で歌い、やわらかい面をたたき、その場でおどって、家の中をおだやかに。
WHO, To grow up healthy, children need to sit less and play more