名前や身近なことばで遊ぶ、リズム遊び

子どもが知っていることばは、どれもひそかにリズムでできています。「バナナ」はやさしい3つの音のはずみ、「ねこ」はふたつの軽いトントン、そしてお子さまの名前には、その子だけのパターンがあります。その音を手でたたくと、ことばそのものが音楽に変わります。名前のリズム遊びに必要なのは、大人の声と手だけ。遊びにしか感じられないのに、のちに話すことや読むことを助ける、音に気づく力を静かに育てます。

ことばは、拍でできている

日本語のことばを区切ると、ひとつひとつの音(かなの音)が出てきて、それがしぜんな拍になります。「ママ」はふたつ。「ぞ・う・さ・ん」はよっつ。音ひとつにつき1回手をたたくと、それが耳に聞こえ、体で感じられ、ことばがどうできているかがわかります。ことばの中の音に気づく力は、早い時期の本当に大切な力で、だれも文字のことを言いだすずっと前から、子どもはリズムを通して楽しく身につけていきます。遊びのかっこうをした、確かな学びです。

いちばんいいことばから始める

自分の名前ほど子どもの心をつかむものはありません。だから最初にぴったりです。お子さまの名前を言って、いっしょにたたきましょう。「ゆ・う・と」で3回、「ゆ・い」で2回。それから家族みんな、ペット、おじいちゃんおばあちゃんの名前も。子どもは自分の名前が拍になるのが大好きで、すぐにしくみをつかみます。名前のリズム遊びがよく効くのは、材料が自分ごとで、いつまでも興味がつきないからです。

身近なものへ広げる

名前が楽しくなったら、家じゅうがことばの宝箱になります。

  • 食事のときに食べ物をたたく。「ヨ・ー・グ・ル・ト」「う・ど・ん」「パ・ン」。
  • 遊びながらおもちゃをたたく。「ショ・ベ・ル・カ・ー」「く・ま」「ボ・ー・ル」。
  • 体のところをたたく。「か・た」「お・な・か」「は・な」。
  • 動物はとびきりいろいろ。「ね・こ」「う・さ・ぎ」「か・た・つ・む・り」。

「かたつむり」や「カブトムシ」のような長いことばはとくに楽しく、続けてたたく拍がとても気持ちいいのです。ひとつの音の短いことばと、ころがるような長いことばをまぜると、遊びに驚きが続き、短いと長いのちがいを体で感じられます。

体をたたいて変化を

毎回手をたたかなくてもかまいません。しくみがわかったら、ほかの動きに替えて新鮮に。拍ごとに足ぶみ、ひざをポン、頭をトン、できるなら指を鳴らす、音ひとつごとにジャンプ。長いことばをジャンプで区切るのはとても楽しく、静かな遊びに体を動かす元気も加わります。動きを変えると同じことばも新しく感じられるので、遊びにあきずに、同じ力を何度もくり返せます。

当てっこ遊びに

幼児期の後半なら、むずかしさを広げられます。ことばを言わずにリズムだけたたいて、いくつかの候補から、どの家族のことか当ててもらう。または、手拍子がいくつのことばを考えてもらう。まねすることから、ことばの音を本当に分けて考えることへと一歩進みます。おしいはずれと笑いをたっぷりに、テストに感じられないよう軽く。

一日のなかに入れる

ことばのリズムのいいところは、もうある時間にすっと入ることです。スーパーを回りながら買い物リストをたたく。夕ごはんのお皿にのっている物をたたく。会いに行く人の名前を、道すがらたたく。こうした小さな、散らばった回が、専用の時間をつくらなくても、たくさんの練習になり、そわそわする子にとってふつうの用事が楽しくなります。

話すことと読むことに役立つ理由

ことばの中の音で遊ぶこと、「バナナ」には音がみっつあると聞きとることは、はっきり話すことと、のちの読むことの両方の土台の一部です。ことばを音に分けることになじんでいる子は、ひらがなを一音ずつ読むときが来たとき、それをらくに感じます。早くからお勉強をしているのではありません。ことばのリズムを、遊びながら何度もくり返して体験しているのです。それこそがいちばん役立つ土台で、授業ではなく遊びでつくられます。

発達について、やさしいひと言

ことばの育ちはその子のペースで、ふつうの範囲はとても広いものです。この遊びは、音をいっしょに楽しむ毎日の方法で、合格すべきテストではありません。音や名前に反応しないように見える、年齢から考えてことばがつながってこない、言っていることがとてもわかりにくい、前は言えていたことばがなくなったように見える、という場合は、乳幼児健診などのいつもの機会に伝えましょう。かんたんな聞こえやことばの確認は手配しやすく、安心できることも多いものです。

どのことばの中にも音楽が

ことばの中の拍が聞こえはじめると、名前にも、夕ごはんにも、おもちゃにも、毎日のやることリストにも、リズムが見つかります。名前のリズム遊びは、お金もかからず、どこへでも持っていける、ことばの遊び場をまるごと開いてくれます。今夜、お子さまの名前をたたいて、それから大好きな食べ物も。一日じゅう使っていることばが、ずっと小さな歌だったと子どもが気づくのを楽しんでください。

ポイント: 名前のリズム遊びは、ことばを拍に変えて、話すことや読むことにつながる音への気づきを育てます。まずは名前から、それから身近なことばをいっしょにたたきましょう。

NHS, Help your baby learn to talk

CDC, Learn the Signs. Act Early: developmental milestones