音楽が止まったらストップ!幼児のダンス遊び

曲をかけて思いきりおどり、音楽が止まった瞬間にぴたっと固まる。ただのおふざけに聞こえますし、実際とびきりおかしいのですが、止まったり動いたりのダンスは、小さな子とできるいちばんいい遊びのひとつでもあります。幼児期のストップダンスは、しっかりした自分をおさえる力、するどい聞く力、体の感覚を、子どもが何度もやりたがる楽しい動きのなかで育てます。

笑いのなかにかくれた力

言われて体を止めるのは、小さな子には本当にむずかしいことです。動きつづけたい衝動があるので、固まるにはそれをおさえてじっとしなければなりません。それはまさに、順番を待つ、おはなしのあいだすわっている、おもちゃをひったくらない、といったことを助ける自分をおさえる力です。固まるたび、脳のブレーキのトレーニングを1回しているのです。楽しいだけに感じられるので、子どもは何かに取りくんでいるとも気づかずに、この大切な練習をしています。

基本の遊び方

必要なのは、音楽を止めたり流したりする方法と、少しあいた場所だけ。元気な曲をかけて、いっしょに元気いっぱいおどります。そして急に音楽を止めたら、みんな像のように固まります。1、2拍そのままで、ぐらぐらするのとくすくす笑いを楽しんだら、また音楽を流しておどります。それが遊びのすべてで、そのシンプルさが大事なのです。止まる瞬間の驚きこそが、子どもを大喜びさせ、同時に集中させます。

もっと楽しくするには

基本の形が大人気になったら、小さなひと工夫でおもしろさが続き、力ものびます。

  • 形を決めて固まる。「木になってストップ」「お星さまになってストップ」。
  • おどり方を変える。ロボットダンス、ふにゃふにゃダンス、つま先ダンス。
  • 固まる長さを変える。一瞬だけのときも、長くぐらぐらするときも。
  • 音楽を止める係を交代して、子どもに止めてもらう。

子どもが止める係はとくに人気です。力をまかされ、みんなが固まるのを見ていなければならないからです。新しい形や役割をこうして入れていけば、この遊びは何か月も新鮮なままです。

元気のかじとりに使う

止まって動く形なので、この遊びは子どもの状態を整えるすばらしい道具になります。はしゃぎまわる午後には、何回か遊ぶと、エネルギーを出しきったうえで止まる練習ができ、いきなり「落ちついて」と言うよりたいてい効果的です。終わりに向けて、やさしい曲と長めのおだやかなストップにしていけば、食事や寝る前に元気を落ちつかせることもできます。この遊びは、スイッチを入れるだけでなく、つまみのように調整できるのです。

体全体を使う

ストップダンスは、体が動けるいろいろな方法を探るチャンスです。大きな動きと小さな動き、高くのびる、低くしゃがむ、速く回る、ゆっくりゆれる。固まるとき、子どもは手足がどこにあるかを感じとってじっとさせなければならないので、体の感覚とバランスが育ちます。くねくねさせる体のところや、おどる高さを声に出して変えれば、シンプルなストップ遊びが、運動とは感じられない、ゆたかな協調のトレーニングになります。

安全に、明るく

元気な幼児のダンスには、考えた場所が必要です。かたい角や暖房器具、こわれ物から離れたやわらかい場所をあけ、すべるラグは丸めて。すべる靴下より、はだしかすべり止めつきの靴下を。雰囲気は競争にしないこと。まだ動いている子を見つけて負けを宣言する遊びではありません。それはつまらなくするだけで、大事なのは、みんなで固まる楽しさです。何人かで遊ぶときも、だれかを名指しせず、みんなのおもしろい像に目を向ければ、だれもいやな思いをしません。

一日のなかに

ストップダンスを何回か遊ぶのは、夕ごはん前のそわそわした時間や灰色の午後の家の中にぴったりの、ちょっとした体を動かす時間です。5歳未満の子には、一日に散らばったたっぷりの体を動かす遊びが必要で、3分のストップダンスは、自分をおさえる練習といっしょにその一部を届けてくれます。準備がほとんどいらないので、子どもが動く必要があるときにいつでも出せる、持っておくととても役立つ遊びのひとつです。

ふつうのことについて、ひと言

幼児が合図でどのくらい止まれるかには大きな差があり、自分をおさえる力は何年もかけて育つので、ぐらぐらしたり、早く動きだしたりするのはまったくふつうです。正確さではなく、楽しさを見ましょう。音楽や大人の声にまったく反応しない、同じくらいの子と比べてとてもふらつく、できていたことができなくなったように見える、など広い心配がある場合は、乳幼児健診などのいつもの機会に伝えましょう。たいていの子にとって、ストップダンスは止まる練習をする、ただただ楽しい方法です。

この小さな遊びに居場所がある理由

楽しさ、体の動き、聞くこと、自分をおさえる力を、これほどひとつにつめこんだ遊びはあまりありません。必要なのは曲と場所だけ。そのかわりに、育っていく脳に必要なブレーキを練習しながら、おなかをかかえて笑う子どもが返ってきます。今夜、曲をかけて、固まる準備をしましょう。

ポイント: 音楽が止まったらストップの遊びは、楽しみながら自分をおさえる力と聞く力を育てます。おどって、合図で止まって、固まり方を変えて、元気の上げ下げに使いましょう。

NHS, Physical activity guidelines for children under 5

CDC, Positive Parenting Tips: child development