まねっこリズム遊び。小さな子と拍をまねしあう
メロディーを歌えるずっと前から、小さな子は拍をまねできます。大人がリズムをたたき、子どもがたたいて返す。そこで何かがカチッとつながります。このシンプルなやりとりが、小さな子のリズム遊びの中心で、音楽以上のものを教えてくれます。聞くこと、順番を待つこと、そして大人に応援されながら何かがうまくできたときの自信です。
まねっこリズムのしくみ
まねっこリズムは、呼びかけとこたえの遊びです。大人が音を出し、子どもがこたえる。この形は会話からいないいないばあまで、早い時期の学びのあちこちにあります。順番のやりとりは、子どもが最初に練習する人との関わりの力のひとつだからです。そこにリズムを加えると、耳でよく聞き、聞いたものを手で再現することも求められます。小さな子にとっては、遊びの服を着た、れっきとした頭の仕事です。
1回たたくことから
最初は、かんたんすぎるくらいに。机を1回たたいて「どうぞ」。子どもがたたいて返したら、心から喜びましょう。次は2回。それから、ゆっくり「トン、トン、トン」。正確さは求めていません。大人が2回たたいたのに3回たたいた子も、聞いて、待って、こたえています。それこそが大事なところです。はじめのうちにうまくいく体験があると、じょうずになるまで遊びにとどまっていられます。
ゆっくりむずかしくする
1回ずつの拍が楽しくなったら、やさしい方向に広げられます。
- 速さを変える。速くたくさん、そのあとゆっくり、間をあけて。
- 大きさを変える。大きく足をドン、そのあと小さく静かにトン。
- 使う体を変える。手をたたく、ひざをたたく、肩をたたく。
- 休みを入れる。トン、休み、トン。だまっているあいだも待つことを覚えます。
変えるのは一度にひとつ。休みを入れる形は意外と力があります。だまっている拍のあいだじっとしているのは、小さな子にとって音を出すよりむずかしく、待つことを覚えるのは、音楽の外でもずっと役に立つ力だからです。
手もとにある物で
楽器はいりません。ふせたおなべに木のスプーン、クッションに手、床に足ぶみ、お風呂のふちを指でトントン。どれでもできます。面がちがうと音がちがうので、遊びが新鮮に保たれ、おなべはカンと鳴り、クッションはボフッとすることに気づいて、聞く練習も少し入ります。小さな子の気がそれてきたら、「楽器」を替えるだけで興味がもどることもよくあります。
一日のなかに織りこむ
この遊びのよさは、準備がいらないことです。トーストが焼けるのを待つあいだのまねっこ1回、チャイルドシートでたたくリズム、おむつがえの最中のかんたんなパターン。どれも立派な遊びです。長くすわってやるより、一日に散らばった短い時間のほうが、小さな子の集中にずっと合います。どこでもできるので、病院の待合室やスーパーのレジの列でも本当に役立ち、そわそわする数分を、いっしょに楽しむ時間に変えてくれます。
子どもをリーダーに
子どもがいちばん好きなのは、自分がリズムを決めて大人がまねするときです。役を交代することには大切な意味があります。子どもが主導権をにぎり、自分の考えが大事にされていると知り、今度は大人が子どもの音をじっくり聞くことになります。子どものリズムをできるだけ忠実にまねして、それから大げさにしたり、おもしろいおわりを足したり。笑いがたくさん生まれるのもここで、その笑いが、明日もまたやりたいと思わせます。
期待はやさしく
小さな子はメトロノームではなく、安定した正確なタイミングは何年もかけて育っていきます。めざすのは正確さではなく、夢中になること。決まったパターンなしにうれしそうにたたいていたら、直すのではなくそのにぎやかさに加わり、落ちついたらかんたんな拍をそっとまねしてもらいましょう。テストされているように感じたとたん、小さな子は興味をなくすので、楽しいうちにやめて、次の回を楽しみに残しておきます。
聞こえについて、ひと言
音をまねするには、音が聞こえていることが必要なので、この遊びは途中でそっと安心させてくれることもあります。たいていの小さな子は拍に喜んでこたえ、加わろうとします。いつも音や大人の声や音楽に反応しない、2歳ごろになってもまったくまねしようとしない、以前できていたことができなくなったように見える、という場合は、乳幼児健診などのいつもの機会に伝えましょう。かんたんな聞こえや発達の確認は手配しやすく、ほっとできることも多いものです。
その2分にかける価値
まねっこリズムに必要なのは、大人の注目とたたける面だけです。そのかわりに子どもは、聞くこと、順番のやりとり、タイミング、自分をおさえる力を練習し、大人のまるごとの喜びをいつも受けとります。これほど少しのことにこれほどつまっている遊びはあまりありません。だから小さなリズム遊びは、家族の一日にずっと居場所をもつ価値があるのです。
ポイント: 大人の拍をまねするリズム遊びで、聞く力と順番のやりとりが育ちます。短く、かんたんに、そして大人と同じくらい子どもにもリードさせて。