「はやく」「ゆっくり」で遊ぶ、体の動き遊び

小さな子のスピードは、もともとふたつ。全速力か、ねているか。体は、わざと速くも、ゆっくりにも動かせると知ることは、小さいけれど本当に役に立つ力です。はやい、ゆっくりで遊ぶと、自分のペースに気づいて調整できるようになり、それが気持ちを整える力の始まりになります。しかもとても楽しくて、必要なのは少しの空間と大人の声だけです。

速さを変えることが教えること

速いとゆっくりをわざと切りかえるには、聞いて、反応して、体全体を調整する必要があります。見た目よりずっと高度なことです。合図を聞くことと動きを調整することがつながり、のちに興奮したときに自分を止めたり、気をつけるべき場面でゆっくりにしたりするときと同じ回路が育ちます。速くくるくる回っていた子が、ゆっくりつま先歩きに切りかえるたび、アクセルだけでなくブレーキの練習もしているのです。

基本の遊び方

まずははっきりしたふたつの速さと、大人の実況から。いっしょに部屋の中を「はやく、はやく、はやく」と小きざみに動き、次は「ゆーっくり」と大きく、ひきずるように大げさに動きます。仕事のほとんどは声がしてくれます。速いときは速く高く、ゆっくりのときは低くのばして。小さな子はことばより先に声の調子を読みとるので、ちがいを思いきり出しましょう。張りきる気持ちは動きのじょうずさを追いこしがちなので、かたい角のない広い場所で。

広げ方

わかってきたら、同じ遊びをいろいろな方向に広げられます。

  • 動きを変える。速く走る、ゆっくりドシンドシン、指を速くくねくね、腕をゆっくりふわふわ。
  • 音楽を使う。元気な曲で速くおどり、やさしい曲でゆらゆら。
  • 動物になる。はちのようにブーンと飛んで、ぞうのようにのっしのっし。
  • スローモーションに挑戦。部屋の向こうまで、できるかぎりゆっくり動く。

スローモーションはひそかな人気者です。わざとゆっくり動くのは小さな子には本当にむずかしく、集中が必要なので、いちばんおかしく見えて、いちばん力をのばしてくれることがよくあります。

元気を落ちつかせるのに使う

ペースを大人が決められるので、この遊びは落ちつかせる道具にもなります。子どもがはしゃぎまわっているときは、とめようとするより1分いっしょに速く動いて、それからだんだんペースを落としていきましょう。速く、ふつう、ゆっくり、ささやくようなゆっくりつま先歩き、そして動かない像に。この「大人の落ち着きを借りる」やり方は、高ぶった子にただ「やめて」と言うよりずっと効きます。元気に行き場をあたえ、いっしょに下へ導く。小さな子はそうして自分を落ちつかせることを学ぶのです。

毎日のくねくねに組みこむ

5歳未満の子に必要なのは、ためておくのではなく一日に散らばった短い体を動かす遊びです。はやい、ゆっくり遊びは、とくに家にこもる日に、その一部をかんたんに届けてくれます。次のことに移る前に2分、ブーンとのっしのっしをすれば、そわそわがおさまり、そのあとの静かな遊びに落ちつきやすくなります。どこでもでき、廊下でも公園のすみでも同じように楽しめます。

安全に、ようすを見ながら

速い動きと小さな子の組みあわせでは、ときどき転ぶこともあります。やわらかい通り道をあけ、すべるラグはどけて、速い時間は階段やかたい家具から離れたところで。足もとだけでなく顔も見ていましょう。はしゃぎすぎると、もう下りてこられない金切り声になることがあるので、そうなる前にゆっくりの合図を。ゆっくり落ちついた動きで終わると、ブーンの途中で止めるより、みんなの状態がよくなります。

ふつうのことと、気にかけたいこと

体の動きのじょうずさや、言われてペースを切りかえられるかは、小さな子によって大きくちがい、何年もかけて育っていきます。一回のふらふらではなく、全体を見ましょう。同じ年の子と比べてとてもふらつく、大人の声や合図にまったく反応しない、歩けていたのに後もどりしたように見える、体の動きや聞こえに広く心配がある、という場合は、乳幼児健診などのいつもの機会に伝えましょう。かんたんな発達の確認は手配しやすく、たいていは安心につながります。

小さな遊びが大切な理由

体は自分で速くもゆっくりにもできると知ることは、自分を自分で動かすことのはじめの学びです。笑いにつつまれ、道具もいらないシンプルな遊びで、子どもは聞くこと、動きを調整すること、落ちつくことを練習します。どれもリビングの外でもずっと役に立つ力です。ただの遊びにしか感じられないのに、たくさんのことをしてくれる、静かな遊びのひとつです。

ポイント: はやい、ゆっくりで遊ぶと、体をコントロールする力と気持ちを整える力が育ちます。ゆっくりの時間で高ぶりを落ちつかせ、いつもおだやかに終わりましょう。

NHS, Physical activity guidelines for children under 5

WHO, To grow up healthy, children need to sit less and play more