たいへんだった日に、歌で親子がつながりなおす

小さな子との一日が、朝ごはんからうまくいかない日があります。とげとげしたことば、涙、こぼれたお昼ごはん、お店でのかんしゃく。夜にはふたりともすりへって、心の距離が遠く感じます。そんな日、数分の歌が、静かでやさしい修復をしてくれます。ことばがつきたとき、歌は手をのばしやすい親子のつながりで、どんな会話よりはやく気分を整えてくれることがよくあります。

ことばが届かないところに、歌は届く

たいへんな日のあと、小さな子はたいてい気持ちが乱れていて、ふるまいについての話を聞ける状態ではありません。正直なところ、大人もそうです。歌はそれをまるごと飛びこえます。いっしょの歌は、リズム、近さ、大人の声という別のところで働き、そのどれもが神経を直接なだめます。いっしょに歌うのに、だれも理性的でいる必要も、うまく話す必要もありません。ただふたりを同じあたたかい場所にもどしてくれます。たいてい、ふたりともに本当に必要なのはそれなのです。

プレイリストより、自分の声から

持っているいちばん力のある楽器は自分の声で、子どもはどんな録音よりそれが好きです。上手に歌う必要はありません。子どもの好きな歌を、そばで、静かに、ゆっくりやさしく歌えば、ことばより深いところで「ここにいるよ、もう大丈夫だよ」と伝わります。くたくたのときに画面やスピーカーのほうがらくなら、それでもかまいません。でも、すぐそばでつぶやくように歌う生の歌には、プレイリストではなかなか届かない近さがあり、親子のつながりを結びなおしてくれます。

気分に合わせてから、変えていく

音楽療法から借りた便利なコツは、今の子どもの気分に合わせてから、もっと落ちついたところへ導くことです。高ぶって怒っているなら、少し元気な歌でそのエネルギーを受けとめ、たたかわないように。それからだんだんテンポを落とし、音を小さくし、やさしい歌へと流れていきます。荒れている子をいきなり子守唄に押しこもうとしてもまずうまくいきませんが、少しのあいだその嵐に加わって、いっしょにしずめていくと、たいていうまくいきます。

歌でつながりなおす、かんたんな方法

計画はいりません。くたくたの夜のための、たよれる動きがいくつかあればじゅうぶんです。

  • ひざに子どもを抱いて、静かな歌に合わせてゆっくりゆれる。
  • いっしょに片づけながら、なじみの寝る前の歌を歌う。
  • 背中や頭にくっついてハミングし、音を聞くだけでなく体で感じさせる。
  • 歌は子どもに選ばせて、たいへんだった日に、ほんの少し自分で決められる感覚を返す。

選ばせることは、「だめ」ばかりだった日にとくに大切です。小さな選択が少しの主導権を返し、残っていた怒りをやわらげることがよくあります。

大事なのは、その日より修復

たいへんな日が、ふたりのあいだの何かをこわしてしまったように感じることがあります。じつは子どもは、完ぺきな日々より、うまくいかなかったあとにぬくもりがかならずもどってくることに安心します。ずれて、また見つけあう。そのくり返しの体験こそが、安心できる愛着がつくられる道すじのひとつです。たいへんな日のおわりのいっしょの歌は、小さいけれど確かなやりなおしで、子どもはそれを感じとります。

自分の心のコップも忘れずに

この方法は、大人自身もなだめてくれるときにうまくいき、実際そうなります。ゆっくり歌うと自分の呼吸も整い、張りつめた気持ちもゆるみます。子どもはいつも大人の状態を読みとっているので、それを受けとります。子どもを落ちつかせているだけでなく、子どもが借りられる形で自分を落ちつかせているのです。いちばん余裕のない日こそ、3分の静かな歌がふたり同時のリセットになります。それも手をのばす価値がある理由です。

たいへんな日が重なるとき

ときどきのピリピリした日は、小さな子を育てるうえでのふつうの一部で、音楽はそれをならしてくれるすてきな道具です。でも、ほとんどの日が手に負えないように感じる、子どもとの時間を楽しめない、やっていけないと感じる、気分の落ちこみが晴れない、という場合は、どうか助けを求める合図にしてください。地域の保健師さん、かかりつけ医、自治体の子育て相談の窓口に話すのは、失敗ではなく強さのしるしです。支えは子どもだけでなく、親のためにもあります。

たいへんな一日を、やさしく終える

毎晩おだやかな夜にはならないし、ならなくていいのです。でも一日がうまくいかなかったとき、立てなおすための道具を、自分の声のなかにいつも持っていることを思いだしてください。ゆっくりした歌、あたたかいひざ、数分のゆらゆらは、どれだけ話してもとけなかった張りつめた空気をほどいてくれます。歌での親子のつながりは、いつでももどれる場所です。そこへ手をのばすことは、ふたりのためにできる、いちばんやさしいことのひとつです。

ポイント: 歌は、たいへんな日のあとの親子をすぐにつなぎなおしてくれます。自分の声で、気分に合わせてからやわらげ、いっしょの歌でふたりをリセットしましょう。

NHS, Play ideas and reading

UNICEF, Child development and early learning