お片づけを、短いリズム遊びに
小さな子に片づけを頼むと、大泣きになることがよくあります。でも片づけをリズム遊びにすると、何かが変わります。同じ仕事が、加わりたくなることに変わるのです。お片づけのリズム遊びは、音楽と拍を使って、おもちゃをしまうことを、いやな仕事ではなく遊びのように感じさせます。一日のなかでいちばんピリピリしがちな場面のひとつを、意外なほど明るい数分に変えてくれることがあります。
音楽が抵抗をとかす理由
子どもが片づけをいやがるのは、楽しいことを止めて、たいくつなことを大人の言うとおりにするからでもあります。音楽は気持ちの温度を変えます。なじみのお片づけの歌は、小言の声なしに何が始まるかを知らせ、仕事にはっきりした始まりと終わりをつくり、動きを遊びのように感じさせる拍を加えます。意地のはりあいのかわりに、音楽つきのいっしょの活動になり、指示にはがんとして動かない子も、リズムには喜んで体を動かします。
まずはお片づけの歌
いちばんかんたんな入り方は、「これからお片づけ」を意味する、いつも同じ歌です。保育園でおなじみの「おかたづけ」の歌でも、子どもの好きなメロディーに「おかたづけ、おかたづけ、おもちゃをしまおう」のようなシンプルなことばをのせた手づくりの歌でもかまいません。毎回かならず同じ歌を使うことが力になります。なじみの合図になり、切りかえがやわらぐからです。やがて、歌い出しの数音だけで、声をかけなくても子どもが物を集めはじめるようになります。
拍に合わせて動く
歌が定着したら、リズムに乗っていきましょう。
- 拍に合わせて、おもちゃを箱まで行進させる。
- 一定の手拍子をして、1回ごとにおもちゃをひとつしまう。
- のんびり屋さんには速く歌い、あわてん坊には遅く歌う。
- かごに入るおもちゃひとつずつに、リズミカルに「はい、どうぞ」。
拍に合わせて動くと、片づけという体の動きが、楽しく満足できるものに変わります。拍が子どもを運んでくれて、たえるべきたいくつな仕事ではなく、楽しくついていけるパターンを体にあたえるのです。
短く、具体的に
片づけは、目標が小さくはっきりしているほうがうまくいきます。「歌が終わるまでに、車を全部しまおう」は、ぼんやりした「お部屋を片づけて」より、小さな子にとってずっとできることです。ひとつの種類か、ひとつのすみっこを決めて、それを任務にしましょう。短い歌と競争すると、ほどよいスピード感と、しぜんなゴールができます。仕事をひと口サイズにすれば、遊びは楽しいまま成功で終わり、みんながうんざりして音楽の魔法が切れるまでだらだら続くことがありません。
楽しいアレンジで
ちょっとした遊びの工夫で、習慣がマンネリになるのを防げます。歌が終わる前にできるだけ片づける「時計と競争」。恐竜をしまうたびに「きょ・う・りゅ・う」と音の数だけ手をたたく。ひとりが歌ってもうひとりが片づけ、次は交代。今日のお片づけの歌を子どもに選ばせる。こうした小さな変化で、何年も何らかの形で続く仕事に、子どもを夢中にさせつづけられます。
切りかえとたたかわず、味方に
片づけへの抵抗の多くは、じつは遊びをやめることへの抵抗です。少し予告すると助けになります。「あと1分したら、お片づけの歌の時間ね」。そうすれば音楽は不意打ちではなく予想された次のステップになり、歌そのものが遊びから片づけへの橋になります。こうするとお片づけのリズム遊びは、おもちゃをしまうだけでなく切りかえもやわらげるという、二重の役目をはたします。たいていそちらのほうが、たたかいのむずかしい半分なのです。
期待は現実的に
世界一の歌があっても、小さな子がいつも完ぺきに片づけるわけではなく、それでいいのです。少しだけやってどこかへ行ってしまう日もあり、にらみあうより、いっしょに仕上げるほうがいいのです。めざすのは完ぺきな作業ではなく、片づけに前向きで協力的な気持ちを育てること。片づけを楽しい歌と大人の上機嫌に結びつけている子は、抵抗と小言にしか出会わなかった子より、すすんで手伝う子に育っていきます。
協力することについて、やさしいひと言
小さな子がかんたんなお願いにどのくらい応じるかには大きな差があるのはまったくふつうで、年齢と練習とともによくなっていきます。こうした遊びは、プレッシャーよりずっと役立ちます。かんたんな指示をまったくわかっていないように見える、名前や音に反応しない、発達やコミュニケーションに広く心配がある、という場合は、乳幼児健診などのいつもの機会に伝えましょう。毎日の片づけのたたかいなら、たいていはいい歌がひとつあればじゅうぶんです。
いやな仕事を、つながりの時間に
片づけはいつまでも家族の暮らしの一部なので、できるだけ痛くないものにする価値があります。お片づけのリズム遊びはまさにそれをしてくれて、小言を拍に、抵抗をいっしょの遊びに替えてくれます。今夜お片づけの歌をかけて、おもちゃをいくつか拍に合わせて箱まで行進させ、片づけさえちょっと楽しくなると発見するのを楽しんでください。
ポイント: お片づけのリズム遊びは、片づけをたたかいから遊びに変えます。いつも同じお片づけの歌を使い、拍に合わせて動き、任務は短く具体的に。