歌に自信がなくても大丈夫。赤ちゃんとの音楽遊び
音をはずすから、と赤ちゃんに歌うのをためらう親はたくさんいます。あなたがそうなら、安心してください。赤ちゃんは気にしていませんし、赤ちゃんとの音楽遊びは、歌えるかどうかで決まるものではありません。赤ちゃんは音程を採点していません。大人の声、顔、注目をたっぷり吸収しているのです。そしてそれは、あなたがもうたくさん持っているものです。
赤ちゃんは親の声が大好き、どんな声でも
赤ちゃんにとって、親の声は世界でいちばんおもしろい音です。生まれる前から知っていて、ほかのどの音より先にそちらを向きます。ふらつく音、忘れた歌詞、うらがえる声。赤ちゃんはどれも欠点とは受けとりません。音楽の質を聞いているのではなく、あなたを聞いているからです。これは本当に気持ちを軽くしてくれることで、音楽遊びのとちゅうではずかしさがしのびよってきたら、思いだす価値があります。
歌わなくていい
歌うのはハードルが高すぎると感じたら、歌わなくてかまいません。赤ちゃんと音楽をつくる方法には、まったく歌わないものもたくさんあります。
- 上がったり下がったりする、歌うような声で話しかける。赤ちゃんは大好きです。
- ひざの上で一定のリズムでやさしくゆらす。
- おしゃべりしながら、おなかやおむつがえのマットで拍をトントン。
- 録音した音楽をかけていっしょにゆれ、よければハミングを。
拍に合わせてゆらす、リズムをたたく、ゆれる。どれも一音も歌わずに、大切なリズムと近さを届けます。歌が苦手な親の音楽遊びは、じつは動きと音とつながりのことで、どれも赤ちゃんにいいものをちゃんと届けます。
大事なのはリズム
メロディーが意味をもつずっと前から、赤ちゃんはリズムとくり返しにこたえます。一定のゆらし、くり返すトントン、大人の体の規則正しいゆれ。どれも赤ちゃんがほしがり、落ちつく拍をくれます。口を開かなくても、これは全部届けられます。音を足すなら、くり返す「ドン、ドン」や、リズミカルな「たかい、たかーい」でじゅうぶん。発達の仕事をしているのはメロディーではなく、拍です。
ハミングと、身近な音
ちゃんと歌うのはさらけだすようで気が引けるけれど声は足したい、というときは、ハミングがちょうどいい中間です。歌詞を覚える必要も音を当てる必要もなく、メロディーと、大人の声のなだめるような響きを届けられます。赤ちゃんは、音楽ではないおもしろい音も大好きです。ポン、カチカチ、ぶーっというおならのような音、動物の鳴きまね。赤ちゃんを喜ばせ、音を返してくるよう誘い、はじめてのことばを育てるやりとりに、ちゃんとした歌と同じくらい役立ちます。
録音の音楽にも助けてもらう
スピーカーにたよって何も悪いことはありません。自分が本当に好きな音楽をかけて、赤ちゃんを抱いて、いっしょに動きましょう。赤ちゃんはリズムと近さと、抱かれてゆらされる心地よさを受けとり、大人は気が重くなるかわりに楽しめます。上がったり下がったりのあたたかい声で、していることを実況すれば、ことばも加わります。大人は歌手のバックダンサーになり、赤ちゃんはそれが大喜びです。
赤ちゃんにとって大切な理由
音程がどうであれ、こうした音楽遊びは本当にいい仕事をしています。音のやりとり、リズム、目と目を合わせること、近さが、はじめてのコミュニケーション、聞く力、きずなを育てます。こうした小さな音楽の形で話しかけられ、歌いかけられ、遊んでもらう赤ちゃんは、ことばの土台を聞き、深くつながっていると感じています。どれにも才能はいりません。必要なのはそこにいることで、ふつうの声のまま来てくれるあなたこそ、赤ちゃんに必要なものです。
はずかしい気持ちの声をしずめる
自分の歌をいちばん気にしている親の赤ちゃんほど、もっと歌ってもらえたら喜ぶことがよくあります。部屋の中にいる批評家は、自分の頭の中のひとりだけだと思いだしましょう。家という自分たちだけの場所で、無条件に大好きでいてくれる観客の前ほど、へたに歌っても安心な場所はありません。上手に聞こえなきゃという思いを手放すほど、自由に遊べて、赤ちゃんの受けとるものも増えていきます。
発達について、やさしいひと言
音楽遊びは、赤ちゃんの聞こえとつながりをのぞく、毎日の小さな窓でもあります。たいていの赤ちゃんは親の声のほうを向き、なじみの音で静かになり、月日とともにクーイングやなんごで返しはじめます。音にびくっとしない、親の声のほうを向かない、月日がたっても音を返してこないように見える、ということに気づいたら、乳幼児健診などのいつもの機会に伝えましょう。新生児聴覚スクリーニングやその後の健診は、まさにそのためにあります。心配を早めに伝えるのは、いつでも賢明なことです。
持ってくるのは、ひとつだけ
メロディーは忘れていいのです。赤ちゃんとの音楽遊びが求めるのは、そこにいること、顔、ちょっとおどける気持ち。どれも歌のうまさとは関係ありません。ゆらして、拍をたたいて、ハミングして、へんな音を出して、好きな曲でゆれる。赤ちゃんが待っているのは、上手な歌い手ではありません。あなたを待っているのです。そしてあなたは、じゅうぶんすぎるほどです。
ポイント: 歌が苦手でも、赤ちゃんとの音楽遊びはだいじょうぶ。赤ちゃんはどんな声でも親の声が大好きで、メロディーよりリズム、ゆらし、おもしろい音が大切です。