祖父母と親で、しつけの考えかたが違うとき
「わたしたちのころは、ひと言ガツンと言えばそれで終わりだったのに」。しつけは、世代のへだたりがいちばんくっきり表れるところのひとつです。祖父母は自分の時代の助言で子どもを育てましたが、その助言は本当に変わってきたからです。家族に亀裂を入れずにこれを乗りこえるには、何がいちばん大切かをはっきりさせること、敬意のある話しかた、そしてゆずれない少しのことを、しっかり守ることが必要です。
ひと言でいうと
世代によるしつけの違いに向き合うには、受け入れられないやりかたと、いっしょに暮らしていける違いを分けましょう。前者はあたたかく、でもきっぱり守り、祖父母には、親が決めたはっきりした線の内側で、自分なりのやさしいやりかたを続けてもらいます。
やりかたが違う理由
子育ての助言は、ひと世代、ふた世代のあいだに大きく変わりました。かつては当たり前だった、きびしい罰や「子どもは口をはさむものではない」という考えかたは、こわさではなく、あたたかさ、一貫性、教えることを中心にした目安に置きかわっています。祖父母の感覚が違うのは、困らせようとしているからではなく、自分が正しいと教わったことをよりどころにしているからです。へだたりは個人ではなく世代のものだと気づくと、熱がひき、敬意のある話し合いがずっとしやすくなります。
動かない、ひとつの線
どんな話し合いにも、その下にゆるがない床があります。それは安全です。公的な機関や小児科の目安は、体罰や、はずかしめるようなきびしいしつけは子どもに害があり、すすめられないと、今でははっきりしています。これはやりかたや好みの問題ではありません。祖父母がわが子をたたく、こわがらせる、はずかしめるなら、それはがまんする違いではなく、まっすぐ、落ち着いて向き合うべき、ゆずれないことです。少しきびしめの口調から、少しおおらかな口調まで、ほかのことはすべて、柔軟でいい範囲に入ります。
はじめに見ておきたいこと
その違いがやりかたの問題なのか、害の問題なのかを見ましょう。必要な対応がまったく違うからです。少しきびしめの祖父母、すぐに折れてしまう祖父母は、やりかたの違いです。はずかしめる、たたく、こわがらせる祖父母は、線をこえています。子どもへの影響も見ておきます。ある親戚と過ごしたあと、子どもは伸び伸びと安心している?それとも不安そうで、混乱している?大切なものさしは、大人の伝統ではなく、子どもの心と体の健やかさです。
柔軟でいい違いのためのプラン
- 本当にゆずれないことの短いリストを決める。とくに、体罰やはずかしめる罰はしないこと。
- ルールだけでなく、理由と、目安が変わったことを説明する。
- 親が決めた線の内側では、祖父母の小さなやりかたの違いはそのままにする。
- パートナーとそろった姿を見せて、メッセージをぶれないものにする。
敬意をもって祖父母と話す
批判ではなく、感謝と同じ目的から話しはじめましょう。親やパートナーを立派に育ててくれたことを認め、ただ目安がその後変わったのだと伝えてもいいでしょう。できるなら理由も伝えます。子どもはこわさより、落ち着いた一貫した線引きから学ぶこと、それが今の助言がすすめていることだと。代わりに使えるやりかたも差しだしましょう。きっぱり、でもやさしく別のことに気持ちを向ける、少し落ち着く時間をとる、などです。そうすれば祖父母は、自分の腕を取りあげられたように感じずにすみます。ほとんどの祖父母は子どもにいちばんよいことを願っていて、あたたかい調子が保たれていれば、歩みよってくれます。
親にできることと、できないこと
親にできるのは、はっきりした線を引き、理由を説明することです。祖父母をひと晩で学びなおさせることはできませんし、安心して育つ子にするために、まったく同じ子育てが必要なわけでもありません。安全な範囲の中で祖父母が少しきびしかったり少し甘かったりしても、子どもが傷つくことはありません。人によってやりかたが少し違うことを、子どもはちゃんと受けとめられます。きっぱりするのは本当の害についてだけにし、それ以外は柔軟に。そうすれば、違いがあっても関係は続いていきます。
まんなかにいる子どもを、落ち着かせる
中心にいる大人が一貫して落ち着いていれば、子どもはいろいろな大人とうまくやっていけます。家では親のやりかたを安定させ、子どもが頼れる錨にしておきましょう。子どもの前でしつけについて言いあったり、子どもに審判をさせたりはしません。祖父母がある場面で違う対応をしたら、あとでさわぎ立てずに、そっと期待を伝えなおせます。子どもをいちばん不安にさせるのは、きびしめの祖父母ではなく、大好きな大人どうしのあからさまな対立です。だから平和を守ることも、子どもを守ることの一部なのです。
本当に線をこえたとき
はっきり話したのに、祖父母がたたく、こわがらせる、くり返しはずかしめる、という場合は、それを安全の問題として扱いましょう。今のような関わりを続けるために何をやめてもらう必要があるかを、やさしく、でもあいまいさなく伝え、必要ならしばらくはもっとそばで見守ります。言いあいに勝つためではありません。子どもを守るのは親の責任です。むずかしい状況にどう向き合えばいいかわからない、子どもの心と体が心配、というときは、地域の保健師さん、かかりつけ医、子育ての相談窓口が助けてくれます。
覚えておきたいこと
世代によるしつけの違いに向き合うとは、ふたつのことを同時にもつことです。本当に害になることには、きっぱりとあたたかい線を。それ以外には、おおらかな柔軟さを。やりかたが古くなっていても、祖父母は愛情と、苦労して身につけた知恵を運んできてくれました。ゆずれないことは少なくはっきりと、命令するのではなく説明し、親が決めた安全な線の中で、子どもが大切にしてくれる親戚との時間を楽しめるようにしましょう。
ポイント: 害とやりかたを分けましょう。体罰やはずかしめる罰には、きっぱりとあたたかい線を引き、それ以外は柔軟に。ルールを言いわたすのではなく、目安が変わったことを説明します。