小さな子といっしょにつくる、家族の年表

小さな子は、ほとんどまるごと今を生きています。「昨日」も「去年」も「あなたが生まれる前」も、ぜんぶ、ぼんやりした遠い「ずっと前」にとけてしまいます。小さな子と家族の年表をつくることは、時には形があること、自分より前にもいろいろなことがあったこと、そして、続いていく家族の中に自分の本物の場所があることを、子どもがつかみはじめる、手を使ったすてきな方法です。

年表が助けになるわけ

年表は、目に見えないもの、つまり時の流れを、子どもが見てさわれるものに変えます。ばらばらにただよっているはずの思い出に、順番をあげます。歴史の勉強というより、子どもがことばにできるずっと前から感じている問いに、静かに答えてくれるのです。「わたしは、どこにいるの?」。自分より前から始まって、そのあとも続いていく線の上に、自分が生まれた日がのっているのを見ることは、地に足をつけさせ、安心させてくれます。

シンプルに、目で見てわかるように

正確さや年号は忘れましょう。小さな子に年はいりません。順番の感覚と、何枚かの絵があればいいのです。かべにわたしたひも、床に広げた長い紙、じゃばらに折った厚紙。どれもすてきに働きます。魔法は、年代をきっちり合わせることではなく、絵と会話にあります。小さな子と家族の年表をつくるなら、カレンダーではなく、コラージュとおはなしを思いえがきましょう。

年表にのせるもの

  • 子どものころの祖父母の写真と、親の写真。
  • その子が生まれた日と、最初の大きな瞬間。
  • きょうだいの誕生、引っ越し、ペットが家族になった日。
  • 写真のないできごとには、かんたんな絵を。
  • 「赤い車が来た年」のような、楽しい目印。

世代をまぜて、家族が昔へとのびているのが見えるようにしつつ、その子のことをたっぷり入れましょう。その子にとっておもしろいのは、自分自身のおはなしだからです。ご先祖さまばかりで子どもがいない年表は、子どもの興味を引きとめられません。

いっしょにつくるプロジェクトに

できあがったものと同じくらい、つくること自体が目的です。順番がぐらぐらでも、写真をはるのも、絵をかくのも、どこに何を置くかも、子どもにまかせましょう。作業しながら話します。「これは、おばあちゃんが小さかったころ。ママが生まれるよりも前だよ」。学びが住んでいるのは、こうした会話の中です。子どもが手伝った少しぐちゃぐちゃの年表は、親がつくるのを見ていただけの完璧な年表に勝ちます。

時のことを、その子のことばで

抽象的なものさしではなく、小さな子が感じられるくらべ方を使いましょう。「あなたが生まれる前」「あなたがちっちゃな赤ちゃんだったころ」「保育園に入ったころ」は、年号よりずっと意味をもちます。話しながら線にそって指をすべらせると、「前」と「あと」に体で感じられる方向ができます。これは、のちのたくさんの学びの土台になる、順番と記憶の感覚を育てるのに、本当に役立ちます。

時間をかけて育てる

家族の年表は、一回で完成させなくていいですし、そうしないほうがすてきです。最後に余白を残しておいて、新しいことが起きるたびに足していきましょう。新しい歯、小学校の初日、新しい赤ちゃん。見なおして、のばしていくこと自体が小さなならわしになり、そのたびに子どもは少しずつ多くを理解します。かべに、スクラップブックに、いっしょにめくるかんたんなアルバムに、置いておけます。

デリケートなできごとは、ていねいに

本物の家族には、別れ、離ればなれ、むずかしい章があります。かくさなくていいのですが、やさしく、子どもにわかる高さでのせることができます。亡くなった親せきも、愛されて、思いだされる人として、年表の上にあたたかい場所をもてます。子どもの質問についていき、答えは正直に、でも安心できるように。そうすれば、年表はこわがらせずに、本当のことを語れます。

プレッシャーなく

これは、正解のある学校の課題ではなく、あたたかい遊びの時間です。子どもがとちゅうで興味をなくしても、まったくかまいません。置いておいて、また別の日に戻ってくればいいのです。価値は、完成させることではなく、いっしょに向けあう気持ちと居場所の感覚にあります。小さな子と家族の年表をつくるのは、宿題ではなく、絵を使ったおはなしの時間のように感じられるべきです。

支えを求めたいとき

これは医療的なことではなく、ふつうで豊かな活動です。それでも、年表をつくることで、死別、養子縁組のおはなし、家族の別居などをめぐって、子どもに本当のつらさがわいてくるなら、しっかり受けとめて、ゆっくり進めましょう。そのあと子どもがずっと悲しそう、不安そう、という場合は、地域の保健師さん、かかりつけ医、園や学校に話せば、年齢に合った支えをしてくれます。この活動を通して自分の悲しみと向き合っている大人も、助けを求めていいのです。

1本の線が教えてくれること

写真と絵のシンプルな1本の線は、静かに力強いことをしてくれます。今日より大きなおはなしに自分が属しているのだと、子どもに見せてくれるのです。目で見てわかるように、いっしょにつくり、話しながら進め、育てていきましょう。歴史を教えているというより、家族の中の自分の場所の、あたたかく安心できる感覚を、子どもに手わたしているのです。

ポイント: 写真と絵で、シンプルで目で見てわかる年表をいっしょにつくりましょう。正確な年号より、いっしょにする会話と居場所の感覚のほうが、ずっと大切です。

CDC, Positive parenting tips and child development

UNICEF, Parenting: play and learning at home