七五三の着物や浴衣をいやがる子。けんかにせずに向き合うには
七五三、夏祭り、親せきの集まり、大切にしたい記念写真。そんなときに子どもが着物や浴衣を着たがらないと、ちくりと胸が痛むことがあります。家族が大切にしてきたものを、小さくこばまれたように感じるかもしれません。でもほとんどの場合、まったくそういうことではありません。本当は何が起きているのかを知って、落ち着いてこたえることが、子どもの心地よさも、親が分かちあいたい文化への長いつながりも、両方守ってくれます。
まず、本当の理由を見つける
「いや」はメッセージで、そのメッセージが「この文化がいや」であることはめったにありません。たいていは、もっとシンプルなことです。生地がちくちくする、暑い、かたくて動きにくい、友だちの服と違う、注目されたくない、あるいはただ、何でもいやな時期にいる。やさしくたずねて、よく見てみましょう。それが肌ざわりの問題なのか、人の目の問題なのか、ただの気分なのかがわかれば、自分の中でつくった物語ではなく、本当の問題にこたえられます。
肌ざわりの心地よさは、思っている以上に大切
多くの小さな子は、服をとても体で感じています。ぬい目、タグ、きつい帯や腰ひも、重い生地、なじみのない手ざわりは本当に不快なことがあり、気むずかしく見える子が、実は本当に困っていることもあります。やわらかい素材のものをさがす、ちくちくするタグをとる、ゆったり着つける、下にやわらかい肌着を着せる。体の不快さを解決すると、「いや」がまるごと消えることがよくあります。そして、仲間に入ることは、つらい思いをすることと同じでなくていいのだと、子どもに見せられます。
けんかにしない
子どもが伝統的な服をきらいになるいちばんの原因は、動揺しているときに無理やり着せられることです。主導権争いは、その服に、そしてつまりはその文化に、いやな気持ちをくっつけてしまいます。一歩下がって、本当に大切なのは何かを考えてみる価値があります。その衣装でしょうか、それとも子どもとそのルーツとの、あたたかいつながりでしょうか。今日の言いあいに勝つことが、明日の、そのならわしとの関係を、そっと失わせることもあるのです。
選ばせて、折りあう
- ふたつの着物や浴衣、ふたつの色から選ばせる。
- 大事な瞬間や写真のときだけ着て、そのあと着がえる約束をする。
- 伝統的なものをひとつと、ふだんの服を組みあわせる。
- 心地よくて、自分で選んだ小物をひとつ持たせる。
- 当日にいきなりではなく、たっぷり前もって伝えておく。
子どもが伝統的な服をいやがるとき、全部か無しかの要求より、話しあって見つけたまんなかの道のほうが、たいていうまくいきます。とくべつなものをひとつ楽しく身につけた子は、涙のまま全身を着つけられた子より、ずっとあたたかい思い出を持てます。
「みんなと違う」心配に向き合う
4、5歳から小学生くらいの子は、自分が目立つことにとても敏感になります。心配が人の目のことなら、打ち消すのではなく、しっかり受けとめましょう。家族によって、それぞれすてきな服の着方があることを話し、同じように着ている人がいることを伝え、できるなら、その子ひとりだけにならないようにしましょう。ひとりだけ浮いていると感じるのは、子どもにとって本当に居心地の悪いことで、聞いてもらえると、ずっとすすんで着る気持ちになれます。
親自身の誇りを、そっと見せる
子どもは、親の言いつけより、親の気持ちのほうを吸いこみます。親が自分の着物や浴衣を見るからにうれしそうに着る、その衣装にまつわるあたたかいおはなしをする、文化を義務ではなく楽しいものとして扱う。どんなプレッシャーよりも、それが伝統の服を魅力的にします。着かざることが家の中で楽しく、すてきだと思われていれば、子どもはたいてい、自分のタイミングで、自分のやり方で、仲間に入りたがります。
まず家で、誰にも見られずに着てみる練習をさせてあげるのも助けになります。ふつうの午後のリハーサルで、着心地に慣れ、鏡で自分の姿にうっとりして、いい印象をつくっておけば、にぎやかでプレッシャーの大きい集まりでいきなり着せられるのではなく、なじみのある、心地よい服になります。
長い目で
4歳のときの「いや」は、14歳や40歳でどう感じるかについて、何も語っていません。小さいころ伝統の服をいやがった人の多くが、無理じいされなかったならとくに、のちにそれを大切に思うようになります。ドアは開けたまま、いい印象を保ち、服と文化との関係がゆっくり育っていくのにまかせましょう。今日の親の落ち着きは、明日の子どもの誇りへの投資です。
もう少し深く見たいとき
ときには、服をいやがることが、気にとめたいもっと広いパターンの一部であることもあります。たくさんの服の手ざわりに、極端に、いつもつらがる、変化、感覚、人づきあいの場面についてのもっと広いむずかしさといっしょに「いや」が出ている、という場合は、地域の保健師さんやかかりつけ医に話してみてもいいでしょう。そして、からかいやいじめのせいで、子どもが自分の文化をはずかしく思っているように見えるなら、それは服をこえた問題なので、しっかり受けとめて、園や学校とつながりましょう。
今日の落ち着きが、明日の誇りに
子どもが着物や浴衣を着たがらないときは、こばまれたのではなく、情報として受けとりましょう。本当の理由を見つけ、心地よさを解決し、選ばせ、けんかを避け、親自身の静かな誇りを見せる。そうすれば、今日の子どもの尊厳を守りながら、ルーツとのつながりを、それがいちばん大きな意味をもつ年月まで生かしつづけられます。
ポイント: いやがるのは、たいてい心地よさやまわりとの違いのことで、文化をこばんでいるのではありません。本当の理由を解決し、選ばせて、決してけんかにしないことです。
NHS, Children and young people's mental health and wellbeing
UNICEF, Parenting: supporting your child's identity and confidence