「どうしてうちはこうなの?」と聞かれたら。家族の違いを誇りに変える答え方
たいていは友だちの家とくらべるようになるころ、子どもはいつか聞いてきます。どうしてうちはこれを食べるの?どうしてこうやってお参りするの?どうしてその日にお祝いするの?どうしてみんなと違うの?「どうしてうちはこうなの?」に落ち着いて、あたたかく答えられるようになるのは、子育ての静かな技のひとつです。親の答え方しだいで、子どもが自分の家族を誇りに思うか、なんとなくはずかしく思うかが形づくられるからです。
その質問は、批判ではなく好奇心
その質問を、たいていそうであるとおりのものとして聞くと、ずいぶん助けになります。自分の家族はどうして違うのかとたずねる子は、親を裁いているのではなく、思っていたより大きい世界を理解しようとしているのです。家族にはいろいろあると気づくのは、ふつうで健やかな発達の段階です。身がまえるのではなく、興味をもって迎えれば、気まずくなりそうな瞬間が、子どもの自分らしさを強めるチャンスに変わります。
答えは短く、あたたかく
長くて込みいった説明は、小さな子には届きません。短く、前向きな答えのほうがずっとよく届きます。「うちはこうするんだよ。それがうちの家族らしさで、ママはそれがうれしいの」で、たいていはじゅうぶんです。小さなおはなしや理由を足してもいいですが、裁判にかけられているかのように家族を弁護する必要はありません。「どうしてうちはこうなの?」に答えるとき、中身より声の調子が多くを運びます。あたたかく、気にしていない調子は、はずかしいことは何もないよ、と子どもに伝えます。
子どもがにぎっていられる理由を
- 人とつなげる。「おばあちゃんがいつもこうしてたから、うちもこうするんだよ」
- 居場所とつなげる。「これは、うちの家族らしさのひとつなんだよ」
- 気持ちとつなげる。「特別で、ほっとする感じがするから、こうするんだよ」
- 大切にしていることとつなげる。「うちでは、これが大事だと思ってるんだ」
- ときには、ただ「これがうちのやり方で、ママはそれが大好きなの」
すべてにきれいな理由があるわけではなく、そう言ってかまいません。「うちはこうなの、そしてそれが好きなんだ」と平気でいる姿を見せると、自分らしさのどの部分も弁護しなくても、安心していられるのだと子どもに教えられます。
子どもの年齢と気分に合った理由を選びましょう。3歳の子はたいてい「みんながうれしくなるから」で満足し、5歳の子はその裏にある小さなおはなしを聞きたがるかもしれません。同じならわしについて、毎年少しずつくわしく説明していけば、答えは一度伝えておしまいではなく、子どもといっしょに育っていきます。
違いを大切にして、順位はつけない
子どもがよその家とくらべたら、うちのやり方のほうがいいとか、よその家がまちがっているとか言いたくなる気持ちをこらえましょう。代わりに、違いはただの違いとして伝えます。「あの家はあの家のやり方、うちはうちのやり方。どっちもいいんだよ」。子どもがえらぶったり身がまえたりしないように守り、尊重することをそっと教えてくれます。そして、違うことは劣っていることではないと安心させてくれます。それこそが、その質問の下にある心配なのです。
親自身の気持ちに気づく
その質問が、親の中のやわらかいところにふれることもあります。とくに、自分の文化、信仰、暮らしむき、家族の形で裁かれたと感じたことがあるならなおさらです。目の前の子に答えているのか、自分の古い傷に答えているのか、気づいてみましょう。子どもは、ことばはふつうでも、身がまえた調子やはずかしそうな調子に敏感です。ひと呼吸いるとしても、本当にのびのびと答えることで、子どもにものびのびしていいという許可を渡せます。
つながりのきっかけに
いちばんいい答えは、話を閉じるのではなく、小さなドアを開けることがよくあります。「これがどこから来たのか、話してあげようか?」「今度、いっしょにやってみる?」。質問が、ふたりの時間に変わります。こうしたやりとりを何度も重ねるうちに、子どもはならわしを理解するだけでなく、それに属しているという実感を育てていきます。その質問は、家族のおはなしへの、くり返しのおさそいになるのです。
違いがつらさになっているとき
たいていこれはかんたんで、楽しいことさえあります。でもときどき、家族の文化や信仰やならわしについてからかわれたり、いじめられたりして、違うことに本当に動揺する子もいます。しっかり受けとめましょう。話を聞き、うちのやり方はいいものだと伝え、自信をもって言いかえせるシンプルなひと言を渡し、園や学校とつながります。気分の落ちこみ、不安、はずかしさが続くなら、かかりつけ医や子どもの心の相談の窓口に話してみましょう。しっかりした自分らしさは、子どもの心の健康にとって大切です。
「うちはうち」を、誇りに
「どうしてうちはこうなの?」に答えるなら、好奇心をあたたかく迎え、短くし、人と居場所につなげ、順位をつけずに違いを大切にし、親自身の声の調子に気をつけましょう。上手に向き合えば、このくり返しの質問は、子どもが自分の家族のありのままを、誇りをもって、根をはって、気にせずに受けとめられるようになる道のひとつになっていきます。
ポイント: その質問は好奇心として受けとめ、短くあたたかく答え、人と居場所につなげて、決してうちのやり方をよその家より上だとしないことです。