3歳から5歳の子に、家族の行事やならわしの意味を伝えるには
3、4歳の子は、歴史やルーツでは考えません。今、見て、さわって、味わって、やってみることで考えます。だから、家族のならわしを小さな子に伝えたいとき、コツは昔についてのお説教ではありません。子どもがもう体験していることを、短く具体的なことばで包むことです。この年ごろでは、意味は事実よりずっと前に、五感を通してやってきます。
意味より先に、その瞬間から
「どうしてこれをするか教えてあげるね」から始めるのではなく、その活動の中から始めましょう。年越しそばをゆでながら、節分の豆を用意しながら、特別なお皿を並べながら、シンプルに実況します。「家族みんながそろうときは、いつもこうするんだよ。うちのとくべつなやり方なの」。小さな子には、年号や理由より、「いつも」や「うちの」のほうがずっとつかみやすいのです。居場所の感覚が先に届いて、もっと深い理解はあとで育っていけばいいのです。
とても短く、本当のことばで
説明は1行か2行に。長い答えは、小さな子からあっというまに離れていきます。「ママが小さいころ、おばあちゃんといっしょにこれをしたの。だから今、あなたとしてるんだよ」は完璧です。つながりと、続いていくことと、愛情を、ひと息で運んでいます。年を重ねながら、このことばのいろいろな形を何度もくり返し、子どもの理解が広がるたびに、少しずつ足していけばいいのです。
おはなしと登場人物に頼る
3歳から5歳くらいの子は、おはなしを通して世界を理解します。だから、ならわしに、小さくくり返せるおはなしをくっつけましょう。「ママがあなたくらいのときはね、いつも〜」は、子どもに親の子ども時代を思いえがかせます。それは子どもを夢中にさせ、家族の流れの感覚を育てます。正確な歴史である必要はありません。知っている人や親せきについてのあたたかくシンプルなおはなしのほうが、ならわしの説明より、ずっとよく働きます。
「なんで?」は、何回でも
この年ごろの終わりのない「なんで?」は反抗ではなく、本気の研究です。家族のならわしを小さな子に伝えるときは、同じ質問が何度も戻ってくると思っておいて、少しずつ違う言い方で、根気よく答えましょう。「それがうちの家族のとくべつなやり方で、あなたといっしょにするとママはうれしいの」と言ってかまいません。すべてのならわしにきれいな理由があるわけではなく、それに平気でいる姿を見せるのは健やかなことです。
子どもを、参加する人に
- ならわしの中に、本当にその子のものになる小さな係をひとつあげる。
- どの歌にするか、どのお皿にするかなど、ふたつから選ばせる。
- いっしょに言えるくり返しのことばや、いっしょにできるしぐさを使う。
- 気持ちを声に出す。「これをすると、ほっとして、しあわせな気持ちになるね」
- いっしょに写真を撮って、あとでその瞬間をふり返れるようにする。
この年ごろでは、説明するより、やってみるほうがいつでも勝ちます。まぜる、豆をまく、うたう、何かを運ぶ。そうした子は、ならわしを手で理解し、その体の記憶は、どんなことばよりしっかり残ります。
くり返し、くり返し、くり返す
この時期の理解は、一回のわかりやすい説明ではなく、くり返しでつくられていきます。そのならわしがめぐってくるたびに、子どもは少しずつ多くをつかみ、同じやさしいことばがゆっくり積みかさなって、「これがわたしたちなんだ」という本物の感覚になっていきます。あいだで忘れているように見えても、心配いりません。パターンは下で静かに形になっていて、いつかその子が、親とまったく同じことばで、下のきょうだいに説明するでしょう。
あたたかく、かしこまらずに
ならわしがテストや義務のように感じられはじめると、小さな子は反発します。声の調子は軽く、期待はゆるく。もぞもぞする、とちゅうでたいくつする、自分なりのへんてこなひねりを足したがる。そうした姿は、ならわしがその子のものになっているしるしで、直すべき問題ではありません。めざすのは完璧な参加ではなく、「うちの家族」にいい気持ちがくっつくことです。
むずかしい質問のとき
ときどき、むずかしいことをたずねられることがあります。前はいた親せきがどうして今はいないのか、どうしてお友だちの家は違うことをするのか。説明しすぎずに、その子にわかる高さで、シンプルに正直に答えましょう。「家族によって、それぞれとくべつなやり方があるんだよ。それって、すてきなことなんだ」で、多くのことがカバーできます。自分のルーツを大切にすることと同時に、違いを尊重することの、早いうちの土台をつくっているのです。
支えを求めたいとき
これは医療のことではなく、楽しい、ふつうの子育ての一部です。それでも、同じ年ごろの子とくらべて、毎日の話すことや理解することがはっきり苦手、家族の集まりや変化でいつになくつらそう、という場合は、地域の保健師さんやかかりつけ医に話してみると安心できるでしょう。早めの相談はいつだって意味がありますし、たいていは、その子のペースで育っていますよと言われるだけです。
いちばん大事なこと
家族のならわしを小さな子に伝えるなら、歴史の授業はやめて、体験を手わたしましょう。ごく短い本当のことば、あたたかいおはなし、本物の係、たっぷりのくり返し。理解はやがて追いついてきます。今大切なのは、何度でもめぐってくる愛情のある何かの一員なのだと、子どもが体の芯で感じられることです。
ポイント: やってみること、五感、あたたかいひと言をひとつずつ。小さな子の理解を育てるのは、完璧な答えではなく、くり返しです。
NHS, Help your baby or toddler learn to talk
UNICEF, Parenting: talking and connecting with young children