親が子どもだったころの話を、わが子に話してみよう

小さな子にとって、親にも小さいころがあって、ひざをすりむいたり、好きな食べものがあったり、こわいものやいたずらがあったりした、という考えは、本当にびっくりで、どこまでも心をひかれるものです。親が子どものころの話をするとき、ただ楽しませているのではありません。続いていく感覚を渡し、親もかつて今のあなたと同じ場所にいたのだと見せ、その子が生まれる前からのびている家族のおはなしの中に、子どもを織りこんでいるのです。

親の話が、これほど大切なわけ

子どもは、耳にする家族のおはなしからも、自分らしさをつくっていきます。子どもの発達の研究は、家族のおはなしを知っている子と、しっかりした自分の感覚や立ちなおる力とのあいだに、強いつながりがあることを示しています。親が自分の子ども時代の話をすると、子どもにひな形を渡すことになります。ここが自分の来たところ、この人たちが自分の家族、こうやってむずかしいことを乗りこえていくんだ、と。その続いていく実感が、静かに子どもを守ってくれます。

小さく、あざやかな瞬間から

ドラマチックな話はいりません。いちばんいい話は、小さくて、五感にふれるものであることがよくあります。おこづかいをためて買った駄菓子、のぼった木、くだらないことでしかられたとき、はじめての登校の日。小さな子は、大きな物語より、具体的なこまかいところにずっとつながります。上手に話すには、人生まるごとを語るのではなく、小さくあざやかな瞬間をひとつ選んで、それを感じさせてあげましょう。

おもしろい話、完璧じゃない話を

  • いたずらをしたときのことと、そのあとどうなったか。
  • 子どものころこわかったものと、どうやって勇気が出たか。
  • したまちがいと、そこから学んだこと。
  • お気に入りの遊び、食べもの、かくれ場所。
  • 親自身の親や祖父母についての話。

子どもは、親が完璧じゃなかったと聞くのが大好きです。こわかった、ばかなことをした、まちがえた、という話がいちばん安心をくれます。もたついたり、つまずいたりするのは、親もふくめて、誰の育ちにもあることなのだと見せてくれるからです。いつも正しかった、みがかれた話より、ずっと役に立ちます。

話を、その子に合わせて

その場の空気を読みましょう。寝る前の疲れた子はやさしくあたたかい話を、夕ごはんの席で好奇心いっぱいの子は、もっとおもしろい話や冒険の話を楽しむかもしれません。小さな子には短く、集中できる時間が長くなるにつれて長くしていけばいいのです。質問で話がそれたら、ついていきましょう。その寄り道でこそ、つながりが生まれることがよくあります。発表をしているのではなく、会話をしているのです。

話に、やさしい教えをのせる

親の子ども時代の話は、お説教にせずに、大切にしていることやなぐさめを手わたす、やわらかくて記憶に残る方法です。さびしそうなクラスメートにやさしくした話、どきどきしながら勇気を出した話は、やさしくしなさい、勇気を出しなさいと言われるより、ずっと多くを教えます。言いつけとしてならはね返ってしまう教えも、おはなしに包まれると、子どもは吸いこみます。これはいちばん古い教え方のひとつで、今もちゃんと働きます。

つらい部分は、よく考えて

親の子ども時代には、身近な人との別れ、苦労、家族の大変さなど、本当のむずかしさがふくまれていることもあります。年齢に合った形でそれを話すことはできますし、正直に話すことで、立ちなおる力を子どもが理解する助けにもなります。どうやって乗りこえたか、誰が助けてくれたかに話の中心を置けば、子どもは重荷ではなく安心を感じて聞き終えられます。いちばん重いところは、ずっと大きくなるまでとっておき、小さな子を親の打ち明け相手にしないようにしましょう。

まわりの家族にも話してもらう

祖父母や年上の親せきは、自分のこと、そして子どものころの親のことの、おはなしの宝箱です。話してもらうようすすめ、できればいくつか録音しておくと、子どもは、そうでなければ知ることのなかった声や世代とつながれます。祖父母が自分の子ども時代のことや、親が小さいころどんな子だったかを話してくれると、子どもには、自分が属している家族の、たくさんの声でできた豊かな絵ができあがります。

支えを求めたいとき

おはなしを分かちあうのは、あたたかい、毎日の家族の暮らしの一部です。でもごくたまに、自分の子ども時代をふり返ることで、まだ整理のついていない痛みがかきたてられ、話しにくい記憶があると気づくこともあります。それは大切にしてあげる価値のあることです。自分の子ども時代のつらい体験をかかえている、こうしたふり返りがつらい、という場合は、かかりつけ医が支えの窓口を教えてくれます。親自身の元気を大切にすることが、おはなしでつくろうとしている、どっしりとそこにいる親でいる助けになります。

あなたは、このおはなしの最新の章

この習慣はシンプルで、実りは大きいものです。親が子どものころの話を、小さく、あざやかに、正直に分かちあい、おもしろい話や完璧じゃない話も入れ、やさしい教えをそっとのせ、上の世代も巻きこみましょう。そうすれば、かけがえのない贈りものを子どもに渡せます。長くあたたかいおはなしをもつ家族の一員で、自分はその最新の章なのだ、という実感です。

ポイント: 小さく、あざやかで、正直な話を。おもしろい話や完璧じゃない話もふくめて。家族のおはなしを知っている子は、より根をはり、立ちなおる力をもてます。

NHS, Start for Life: talking and bonding with your child

CDC, Positive parenting tips