昔の家族写真で、子どもに世代のつながりを伝えるには
古い写真が入った箱や、スマホの中のフォルダーは、家族がもっている、いちばん豊かな教材のひとつです。一枚の写真が、祖父母の若いころ、もうない家、結婚式、子どもが見たことのない暮らしぶりを運んでいます。家族写真で世代のつながりを伝えられるようになると、ただしまってあるだけの記録が、子どもが自分はどこから来て、前に誰がいたのかを理解できる、あたたかく生きた会話に変わります。
写真が子どもによく届くわけ
小さな子は、年号や歴史で考えるずっと前から、絵で考えます。写真は、「ひいおばあちゃん」というばくぜんとした考えに、子どもが見て、指さして、たずねられる、本物の顔をあげてくれます。その具体さこそが、写真を世代をこえる力強い橋にしているのです。ことばで語る家系図は4歳の子の頭の上を通りすぎていきますが、にっこり笑った親せきの写真は残ります。実際に見えるものだからです。
つながりやすい顔から
近いところから始めて、外へ広げていきましょう。親の赤ちゃんのころの写真、それから親を抱っこしている祖父母の写真、それから子どもだったころの祖父母の写真。なじみのある人から、もっと遠くの人へと、一歩ずつ鎖をつくっていくと、世代がどうつながっているのかが子どもにつかみやすくなります。家族写真で世代のつながりを伝えるとき、「わたしはこの人たちから、この人たちはその前の誰かから」という順番のほうが、名前だけよりずっとわかりやすいのです。
見ることを、話すことに
- たずねてみる。「これ、誰だと思う?何してるのかな?」
- 家族の似ているところを指さす。「おばあちゃんの笑顔に似てるね」
- お説教ではなく、写真1枚にひとつの小さなおはなしを。
- 子どもに持たせたり、気をつけながら次の写真を選ばせたりする。
- 今とつなげる。「ここ、今も行く海だよ」
写真が学びになるのは、そのまわりで話をするときだけです。写真は入口で、親の声と子どもの質問が、子どもをその中へ連れていきます。歴史のクイズではなく、あたたかいおしゃべりをめざして、子どもの好奇心がひっかかったところについていきましょう。
時代の移りかわりを見せる
古い写真は、世界は変わっていくものだと子どもが理解する、やさしい方法です。今と違う車、服、家、通りは、すてきな質問と、歴史の感覚の芽生えを引きだします。祖父母がどう暮らしていたか、何がなかったか、何を楽しんでいたかを話せます。それは子どもに広い見方と、世代をこえて時が流れていく感覚をくれます。ほかの方法ではなかなか教えられないものです。
変わったものを見つけるのと同じくらい、変わらないものを見つけることも力になります。ひいおばあちゃんも同じくせっ毛だった、同じ海が好きだった、同じいたずらっぽい笑い方をしていた。そうしたことに気づくと、子どもは自分が続いていく流れの中に織りこまれていると感じられます。似ているところやいっしょのよろこびの糸が、会うことのない人たちに属しているという、あたたかく具体的な感覚を、小さな子にくれるのです。
遠くの家族も、身近に
遠くに住んでいる親せきや、亡くなった親せきの顔とつながりを、写真は生かしつづけてくれます。めったに会えない祖父母の写真を見て、その人についてあたたかいおはなしをすると、子どもの心の中でその関係が本物のまま保たれます。とくに家族がいくつもの国にちらばっている場合には大切です。ときどき写真をめくることが、今の、そして昔の、家族まるごとを子どもに紹介する方法になります。
小さなならわしに
一回きりではなく、写真を見ることを、静かな午後に、誕生日に、祖父母が来たときに、ゆるやかにくり返すことにしましょう。いっしょにかんたんなアルバムをつくる、お気に入りを何枚か印刷して部屋のかべにはる、スマホを持ってゆっくりスクロールしながら話す。くり返しが、ばらばらの事実を、落ち着いた居場所の感覚に変えます。そのたびに、子どもは家族のおはなしを少しずつ多く持てるようになります。
デリケートな写真は、ていねいに
つらい歴史をかかえた写真もあります。亡くなった親せき、離れた場所、むずかしい章。子どもにわかる高さで、正直に、やさしく分かちあえますし、それが別れを思いだし、話すための大切な方法になることもよくあります。子どものリードについていきましょう。ある写真で子どもがつらそうになったら、今はわきに置いておきます。亡くなった大切な人の写真は、あたたかく扱えば、子どもが悲しみを乗りこえていくうえでのなぐさめになります。
支えを求めたいとき
写真を分かちあうのは、楽しい、毎日の活動です。でもときに、身近な人との死別や家族のつらい歴史など、かかわる記憶が、子どもや親にとって本当に大変なこともあります。こうした会話のあとに子どもがずっとつらそうにしている、悲しみがとても重くなっている、という場合は、地域の保健師さん、かかりつけ医、遺族を支える相談窓口が、親子を手助けしてくれます。急がなくていいのです。なぐさめとつながりが先で、教えることは待てます。
写真の向こうに、長い人の流れ
よく整ったアルバムも、家族の歴史家のような知識もいりません。何枚かの写真と、話そうとする気持ちがあればじゅうぶんです。なじみのある顔から始め、見ることを話すことに変え、時代がどう変わったかを見せ、何度も戻ってくる。そうして家族写真で世代のつながりを伝えると、めったにない贈りものを子どもに渡せます。自分が属している長い人の流れを、目に見えて、記憶に残る形で感じられることです。
ポイント: なじみのある顔から始め、写真1枚にひとつの小さなおはなしをして、何度も戻ってきましょう。写真は、遠い世代を子どもにとって本物で、記憶に残るものにしてくれます。
UNICEF, Parenting: connection and family bonds
NHS, Children and young people's mental health and wellbeing