自分の名前と家族のおはなしを、子どもが誇りに思えるように

名前は、子どもが最初に持つもののひとつで、自分らしさが根をおろす最初の場所のひとつです。自分の名前と家族のおはなしを子どもが誇りに思えるように手伝うとき、親は「自分は誰で、どこにいればいいのか」という問いへの、ゆるがない心の中の答えを渡しています。その答えは、公園でも、教室でも、いずれもっと広い世界でも、子どもが持ち歩く、静かな自信のみなもとになります。

名前に、たくさんのものがこめられているわけ

小さな子にとって、名前はただのラベルではありません。気づいてもらうこと、呼ばれること、迎えられること、愛されることと結びついています。とくに名字は、祖父母やご先祖さま、まだ思いえがきはじめたばかりの、もっと大きな一族へと子どもをつなげます。その名前があたたかく、たびたび呼ばれ、その由来が誇りをもって語られると、子どもは、自分がどこから来たのかはいいことなのだというメッセージを吸いこんでいきます。

名前の裏にあるおはなしを話す

どんな名前にも、シンプルでもおはなしがあります。祖父母の名前から一字もらった、漢字にこめた意味がある、家族のならわしにしたがった、顔を見た瞬間に決めた。それを話しましょう。一回だけでなく、何度も。「ひいおばあちゃんの名前から一字もらったんだよ。勇気があってやさしい人で、あなたもそうなってほしいと思ったの」。それは子どもに、にぎっていられる豊かなものを渡します。こうした小さなおはなしこそが、名前をただの背景の音ではなく、自分の名前と家族のおはなしを誇りに思えるものにしてくれるのです。

正しい読み方を、そしてまわりにも

家族の名字や子どもの名前がよく読みまちがえられるなら、正しく呼ぶのを、面倒なことではなく、ふつうで、手間をかける価値のあることとして扱いましょう。やさしく正すお手本を見せます。「この字で、こう読むんです。ありがとうございます」。親が落ち着いて正しい読み方をお願いする姿を見た子は、自分の名前は大切にされる価値があって、それをお願いするのは失礼ではなく、筋の通ったことなのだと学びます。

誇りを育てる、かんたんな方法

  • しかるときだけでなく、あたたかく子どものフルネームを呼ぶ。
  • 名前の意味や由来を、小さく何度もくり返す場面で伝える。
  • 同じ字や名前をもつ、今の、そして昔の親せきのことを話す。
  • 部屋のドアや作品に名前をかざって、大切にされているのが目に見えるようにする。
  • その子と似た名前の登場人物が出てくる絵本を読む。

どれも、特別な日はいりません。誇りは、一回の大きな話しあいより、ふつうのくり返しの肯定で、ずっとよく育ちます。愛情をこめて呼ばれる名前の、ゆるがない太鼓の音は、ルーツについてのどんな説明よりも多くのことをしてくれます。

名前が、まわりと違うと感じるとき

子どもは、自分の名前がまわりの子より長い、短い、あまり聞かないことに、すぐ気づきます。そして、もっとふつうの名前ならよかったのに、と思う時期を通る子もいます。それはよくあることで、たいてい過ぎていきます。その気持ちを打ち消すのではなく受けとめて、それから名前の裏にあるおはなしと人たちへ、そっとつなぎなおしましょう。やがてたいていの子は、もっとありふれた名前がよかったという気持ちから、自分らしさそのものを大切に思う気持ちへと移っていきます。

名前をからかわれたとき

聞きなれない名前を、ほかの子がばかにすることがあります。しっかり受けとめてください。名前をからかわれることは、子どもの自分らしさの芯の近くを傷つけることがあるからです。あわてずに聞き、あなたの名前はすてきで大切にする価値があると伝え、言いかえせるシンプルなひと言を渡し、続くようなら園や学校に相談しましょう。名前やルーツについての差別的な、あるいは続くいじめは、かならず園や学校に伝えて、はっきり対応してもらうべきです。

名前から、おはなしへと広げる

名前は、もっと大きな家族のおはなしへの入口です。親せきがどこに住んでいたか、何をしていたか、どんな旅をしたか、何を誇りに思っていたか。子どもの年齢に合った、ひと口サイズで話していきましょう。もっと長いおはなしの一員である、鎖のひとつの輪である、という感覚は、子どもを本当に守ってくれ、立っていられる場所をくれます。自分の名前と家族のおはなしを誇りに思えるように手伝うことは、本当は、根っこをあげることなのです。

もっと支えを求めたいとき

たいていこれは育っていくうえでの楽しい一部ですが、気持ちの面には目を配っておきましょう。自分の名前やルーツをずっとはずかしがっている、それでいじめられている、気分の落ちこみ、不安、引きこもりが続いている、という場合は、ひとりで様子を見つづけないでください。園や学校に話し、つらさが続くなら、かかりつけ医や子どもの心の相談の窓口に相談しましょう。しっかりした自分らしさの感覚は、子どもの元気全体と深く結びついています。

いちばん大事なこと

子どもの名前とその裏にあるおはなしは、あたたかく、くり返し、少しずつ手わたしていける贈りものです。愛情をこめて呼び、そのおはなしを話し、正しく呼ばれることを大切にし、前にいた人たちへとつなげる。そうすることで、子ども時代をとうに過ぎても子どもを支えてくれる、じょうぶで持ち運べる居場所の感覚を渡しているのです。

ポイント: 名前はあたたかく呼び、その由来を何度も話し、正しく読まれることを大切にしましょう。ルーツが、子どもの静かな自信を育てます。

NHS, Children and young people's mental health and wellbeing

CDC, Positive parenting tips: building self-esteem