子どもの記憶に本当に残る、家族の恒例行事のつくり方

たいていの大人に子ども時代の思い出をたずねると、高いお出かけの日はあまり出てきません。出てくるのは、何度もくり返されたふつうのことです。車の中の歌、金曜日のホットケーキ、祖父母がいつも言ってくれたさよならのことば。それが、子どもの記憶に本当に残る家族の恒例行事をつくる、静かなひみつです。記憶がしっかりつかむのは、いちばんお金のかかったものではなく、くり返されて、あたたかく感じられたものなのです。

大きさより、くり返しが大切なわけ

恒例行事は、パターンを通して記憶に残るものになります。見通しのあるリズムで何かが起きると、小さな脳はそれを待つことを覚え、待つことこそが、いい気持ちの始まりです。子どもは何日も前から、その瞬間を楽しみにしはじめます。その楽しみと、「これがうちの家族のすること」という感覚が、長く残る部分です。一回の豪華なお誕生会は色あせるかもしれませんが、地味でも確かなならわしは、静かにその子の自分らしさの一部になっていきます。

もうしていることから始める

そう呼んだことがなくても、ほとんどの家族には、もう恒例行事があります。お風呂と絵本の順番。週末の決まった朝ごはん。玄関でいつも言うひと言。まずそれに気づくのが、いちばん入りやすい道です。いちから発明するのではなく、習慣を強めていくのですから。すでにある小さなことをひとつ選んで、特別なものだと子どもにわかるよう声に出して名前をつけ、その決まった時間を守りましょう。

恒例行事が根づくには

  • 疲れていてもくり返せるくらい、小さくしておく。
  • 食事、曜日、寝る時間など、自然な錨に結びつける。
  • お客さんではなく持ち主だと感じられるよう、子どもに本物の係をあげる。
  • 決まった食べもの、ろうそく、歌など、五感にふれる小さな合図を足す。
  • ことばやしぐさは、毎回だいたい同じままにする。

小さくしておくのは、本物の暮らしに正直であるためです。落ち着いた夜にしかできないならわしは、ふつうの一週間を生きのびられません。子どもの記憶に本当に残る恒例行事をつくりたいなら、ふつうの火曜日にもまだできるものをめざしましょう。

観客ではなく、役目をあげる

居場所は、子どもが役に立つときに育ちます。2歳の子は「おやすみの瞬間」に電気を消す、生地をまぜる、寝る前の歌をふたつ選ぶ、ができます。4歳の子は、ピザと映画の夜にお皿を並べる係になれます。こうした小さな責任が、受け身のいつもの流れを、子どもがいっしょに運ぶものに変えます。そして子どもは、自分がいっしょにつくったものを守ります。

子どもといっしょに育てる

長く続く恒例行事は、形を変えることを許されたものです。寝る前の絵本は章のある本になり、やがて暗い中でのおしゃべりになる。土曜日のホットケーキが日曜日に移ったり、9歳になったら子どもが自分で焼くようになったりするかもしれません。ならわしの背骨は残して、細かいところはしなやかに。最初の形にぴったりしがみつきすぎると、大切だったもの、つまりレシピではなくいっしょにいることを、失ってしまうことがあります。

恒例行事がうまくいかなくなったら

すてきなアイデアが、どうしても根づかないことがあります。子どもが卒業してしまうことも、赤ちゃんの誕生、引っ越し、別居など、家族の形が変わることもあります。それは失敗ではありません。やさしく引退させて、まだ命のあるものは残し、今の家族の形から新しいものを始めましょう。今はまさつを生んでいるならわしを無理に続けると、居場所とは反対のことを教えてしまいます。

大変な時期にも続けるには

何もかもが大変な週は、とばすのではなく、小さくしましょう。ホットケーキは、型でぬいたトースト1枚に。長い寝る前のおはなしは、1ページに。小さな形でも守ると糸がとぎれず、子どもはその続いていることを安心として受けとります。見通しのある、あたたかい毎日の流れは、子どもの気持ちの安心と、大切にされているという感覚を支えるものの一部です。

もう少し支えを求めたいとき

恒例行事はつながりのためのもので、出来ばえのためのものではありません。よその家族とくらべないようにしましょう。ある活動にただ興味がないのではなく、子どもがずっと引きこもりがち、不安そう、いつになくつらそう、あるいは家族のストレスで、あたたかい毎日の流れなんて無理だと感じる、という場合は、地域の保健師さんやかかりつけ医に落ち着いて話してみましょう。大人への支えのほうが、どんなひとつのならわしよりも、子どもの安心のためになることがよくあります。

ふつうのことを、意識してくり返す

子どもの記憶に本当に残る家族の恒例行事をつくるのに、大きな予算も、空いている午後も、工作の才能もいりません。必要なのは、リズムをもってくり返す小さくあたたかいことと、子どもが持ち主になれる係と、子どもといっしょに育っていくのを許す気持ちです。ふつうのことを意識して、くり返す。そうすればいつか、大人になったわが子が、それを「うちの家族がいつもしてたこと」と語るでしょう。

ポイント: 小さく、くり返され、あたたかいものは、大きく、まれで、高いものに勝ちます。ひかえめなならわしをひとつ、自然な瞬間に結びつけて守りましょう。

UNICEF, Parenting: how routines help children feel secure

CDC, Positive parenting tips