プレゼントだけじゃない、わが家の誕生日の恒例をつくる
誕生日は、いつのまにかプレゼントやパーティーやお金の競争になりがちで、流されそうな気持ちになるのはかんたんです。でも子どもがいちばん覚えているのは、プレゼントの山であることはめったにありません。お祝いしてもらえた気持ち、自分が生まれたことは大切だったのだという感覚です。プレゼントだけではない誕生日の恒例を始めることにすると、その日をその気持ちのほうへ引きもどせて、おもちゃをもうひとつもらうより、ずっと長続きするものを子どもに渡せます。
プレゼントの先を見るわけ
プレゼントはすてきですが、すぐに色あせますし、主にプレゼントを中心に組みたてた誕生日は、子どもをいっときわくわくさせたあと、なぜかしぼんだ気持ちにさせることがあります。ならわしはその反対に、毎年かならずめぐってきて、重ねるほど意味が増していきます。この日の目的は、もらえる量ではなく、あなた自身、あなたのおはなし、家族の中のあなたの場所なのだと、何度も何度も伝えてくれます。それは、物をすすめる文化の引力から守る価値のあるメッセージです。
その子のおはなしに、その日をつなげる
いちばんあたたかい恒例のひとつは、誕生日を、その子が生まれた日のおはなしを毎年語りなおす日にすることです。生まれた日のことを話し、1歳のころの写真を見て、家族がどれだけわくわくしていたかを伝えます。子どもは「あなたが生まれた日」のおはなしに、決してあきません。プレゼント以外の誕生日の恒例を始めるとき、この毎年の語りなおしは、子どもが望まれて愛されていることに根をおろさせる、大切なならわしになります。
わが家流にできるアイデア
- 誕生日ごとに書いて、あとで読めるようにとっておく「あなたへの手紙」。
- 毎年同じ柱やドア枠で身長をはかる。
- 好きなものにろうそくを立てた、とくべつな朝ごはん。
- その子が選んだことを親とふたりでする「お誕生日デート」。
- 毎年同じいくつかの楽しい質問に答えてもらって、答えをとっておく。
わが家に合うものをひとつ選んで、忠実にくり返しましょう。力はすべて、くり返しにあります。毎年かかさずするシンプルなならわしは、子どもがあてにするものになり、やがて、忘れてしまったプレゼントより、ずっと大切な宝物になります。
本当に見てもらえていると感じさせる
いい誕生日の恒例の芯は、まるごとの注目です。好きなものをたずねる「お誕生日インタビュー」、ごはんを子どもが決める日、短いふたりきりのお出かけ。どれもはっきり伝えます。今日はあなたの日で、あなたがどんな人になっていくのか、ちゃんと見ているよ、と。愛してくれる人たちに本当に見てもらえていると感じることは、誕生日が運べるいちばん深い贈りもので、かかるのは気持ちを向けることだけです。
もらうだけでなく、あげることも
プレゼント文化へのすてきなおもりは、その日に少しの「あげること」を織りこむことです。誕生日の子がほかの人への小さな親切をひとつ選ぶ、新しいおもちゃの場所をつくるためにおもちゃをゆずる、お世話してくれる人たちにありがとうを言う、という家族もあります。説教くさくせず、やさしくすれば、感謝を教え、その日のよろこびを人を大切にすることにつなげられ、子どもの自分らしさの感覚を豊かにしてくれます。
プレッシャーなく、楽しく
恒例は、その日を軽くするもので、うまくやらなければならないことをひとつ増やすものではありません。慌ただしい年にもできるくらいシンプルにして、子どもが育つにつれてしなやかに変えていきましょう。あるならわしがもうよろこばれなくなったら、形を変えるか、あたたかく引退させます。めざすのは、子どもが楽しみに待つ、うれしくてくり返せる瞬間で、どちらかにとって面倒な用事になる、かたい儀式ではありません。
くらべっこには、やさしく
子どもは、友だちのほうがたくさんもらっている、お金をかけている、もっと大きなパーティーをしている、と気づくかもしれません。よその家を悪く言うのではなく、どの家もそれぞれのやり方でお祝いしていて、うちは時間といっしょにいることを大切にしているのだと、落ち着いて伝えましょう。あたたかく意味のある誕生日のならわしの中で育った子は、もっと物を、と押してくる文化の中でも、やがてそれを誇らしく大切にするようになることがよくあります。
もちろん、プレゼントをあげてもかまいません。ねらいは禁止することではなく、その日の重心をどこに置くかを変えることです。ならわしと語りなおしとまなざしがお祝いの芯になれば、プレゼントは会のすべてではなく、うれしいおまけになり、子どもは、何を開けたかではなく、どれだけ愛されていると感じたかで、誕生日を測るように育っていきます。
元気について、ひと言
誕生日はたいていうれしい日ですが、せつなくなることもあります。とくに、身近な人との別れや別居、そのほかの大きな変化のあとの最初の誕生日や、誕生日がつらい記憶をかきたてる場合です。子どもの反応を見て、必要ならやさしい一日にしましょう。こうした日のまわりで子どもがずっと悲しそう、不安そうなときは、地域の保健師さん、かかりつけ医、園や学校が支えてくれます。完璧なお祝いより、子どもの気持ちをあたたかく受けとめることのほうが大切です。
「生まれてきてくれて、ありがとう」を毎年
プレゼント以外の誕生日の恒例を始めるなら、その日をその子のおはなしにつなげ、まるごとの注目をあげ、少しのあげることをそえ、毎年くり返せるくらいシンプルにしましょう。そうすれば、どの誕生日も、同じ静かなメッセージのあたたかい更新になります。あなたがここにいてくれて、本当にうれしい。あなたはわたしたちの家族だよ、と。それは、どんなお店でも売っていない贈りものです。
ポイント: 誕生日を、その子のおはなしと親のまるごとの注目に結びつけ、毎年くり返しましょう。お祝いしてもらえた気持ちは、どんなプレゼントよりも長く残ります。