絵で見る毎日の流れが、小さな子どもを助ける理由
今週100回めの「靴、それから上着、それからかばん」。こわれたレコードのような気がしているなら、かんたんな絵の表が、思っている以上に朝を変えてくれるかもしれません。子どもは字が読めるようになるずっと前から、絵を通して世界を理解しています。次に何があるかを示す絵のセットは、これまで声だけでしてきた仕事を、静かに引きうけてくれます。
小さな子は、一日をどう受けとっているか
小さな子の時間と順番の感覚は、まだ育っている途中です。ことばの指示は言ったとたんに消えてしまい、いくつも続けば、忘れたり聞き流したりしやすくなります。絵はそれとちがって、その場にとどまります。何度でも見られて、指さして、しるしをつけられる。疲れた親の実況中継より、小さな子の学びかたにずっと合っています。ことばだけでは届かないところに、絵の流れが子どもを助けられる大きな理由のひとつです。
がみがみから、指さしへ
すぐに感じられるよさのひとつは、家の空気が変わることです。大人がひとつずつ指示を出すのではなく、表が計画をもってくれます。子どもが止まったら、もう一度言うのではなく「表の次は何だっけ?」と聞けばいいのです。この小さな切りかえで、大人は口うるさい役から案内役になり、子どもは命令される側から、見える計画に従う側になります。絵のリストは、自分への個人的な要求というより、ただの物事の進みかたに感じられるので、協力がふえやすくなります。
見通しがストレスを下げる
子どもは、次に何が来るかがわかると落ち着きます。絵の流れは、一日の目に見えないかたちを目に見えるものにしてくれます。歯みがきのあとは絵本2冊、それから消灯、と見えていれば、子どもはひとつずつ受け入れやすく、急に驚かされる心配も減ります。これは、寝る前、園への送り、遊びと遊びの切りかえのような、プレッシャーのかかる場面でとくに心を落ち着かせます。変化が苦手な子にとっては、順番を絵で先に見られることが、たくさんの不安といやがりを防いでくれます。
自分でできる力と自信を育てる
絵の流れは、子どもに、こなせるくらいの責任をわたします。いつも声をかけられなくても、表を見ながら自分で着がえや寝る前のステップを進めていくことは、本物の「できる」という感覚をくれます。ひとつ終わるたびにしるしをつけたり、マグネットを動かしたりすれば、小さな満足感も加わります。そのうち子どもは順番を自分の中に取りこみ、表がそれほどいらなくなりますが、そのころには習慣と自信がしっかり根づいています。
うまくいく表のつくりかた
手のこんだものはいりません。いちばん大変な流れ、たいていは朝か寝る前の、3〜6つのステップを選び、それぞれをわかりやすい絵で表しましょう。わが子がその作業をしている写真はとてもよく効きますし、かんたんな絵や印刷できるイラストでもかまいません。順番に並べ、子どもの目の高さの、その流れが起こる場所の近くにはります。短く保ちましょう。20ステップの表は圧倒されますが、大事なよりどころがいくつかなら、ついていきやすいのです。
つくるのに子どもを加えましょう。絵を選んだり写真をとったりを手伝ってもらうと、自分のものになり、ずっと使ってくれるようになります。動かす洗たくばさみ、折りかえすめくり、つけるチェックなど、進み具合をしるす方法を加える家族もいます。終わったステップのひとつひとつが、小さな勝利に感じられます。
長続きさせるには
表は、習慣ができるまでのはじめの数週間、毎日使ってこそ役に立ちます。あたたかく、こまめに表を見て、終わったステップをお祝いし、ゆっくりに感じた瞬間に、ことばのがみがみに戻りたくなる気持ちはおさえましょう。現実的に保つことも大切です。表は支えであって、かたい契約ではないので、調子の出ない日は柔軟にしてかまいません。子どもが大きくなったり、流れが変わったりしたら、いっしょに絵を新しくして、表がただの壁紙にならないようにしましょう。
とくに助けになる子
ほとんどすべての小さな子が絵の流れから何かを得ますが、とくに助けになる子もいます。不安が強い子、切りかえが苦手な子、自閉スペクトラム症の子や特性のある子は、ことばより絵のほうがずっとついていきやすいことが多く、目で見てわかる支えは、こうした子たちに広くすすめられています。毎日の変化にとても苦労する、ことば以外の方法で主に伝える、思っていたように発達していない、というときは、かかりつけの小児科医や地域の保健師に、一度話を聞いてもらいましょう。その子に合った支えや、必要に応じて、もっと専門的な絵を使った工夫を教えてもらえます。
静かなごほうび
グラフィックデザイナーになることも、家を教室のように回すことも、求められてはいません。小さな子が自然に学ぶ方法、目に見えるものを通して学ぶ方法を借りて、一日でいちばんまさつの多い部分に役立てるだけです。絵の流れは、小さな子が、がみがみも不安も少なく、もっと自分の力で一日を進めていく助けになり、その途中で、大人にもたくさんの落ち着きを返してくれます。壁の数枚の絵は、これほど安定をくれるわりに、とても小さな手間です。
ポイント: 子どもの目の高さにはった短い絵の表が、がみがみを指さしに変え、不安を下げ、一日のステップを自分でたどれる力を育てます。