小さな子どもに、決まった流れはどのくらい必要?

子育ての情報を見ていると、どちらに転んでもまちがっている気がしてくることがあります。ゆるすぎれば子どもが落ち着かず、きっちりしすぎれば子どもの自由をつぶしてしまう。では、小さな子に、決まった流れはどのくらい必要なのでしょう。安心してほしいのは、多くの子は、広くておおらかな真ん中のどこかで、のびのび育つということです。安心できるだけの見通しと、探検できるだけの自由があれば十分です。

そもそも、なぜ決まった流れが大切なのか

小さな子は、まだ時間を管理することも、先の予定を立てることも、自分の気持ちを上手に整えることもできないので、まわりの大人に頼って世界を予測できるものにしています。起きる、食べる、遊ぶ、休む、眠るが、だいたいいつもの時間にある、頼れる一日のリズムは、安心と、自分で物事がわかっている感覚をくれます。次に何が来るかがだいたいわかると、子どもは落ち着き、よく眠り、毎日の浮き沈みにも楽に対応できます。この意味での決まった流れは、管理のための管理ではなく、安心のかたちなのです。

「十分」とはどのくらいか

ここがかなめです。子どもに必要なのは、きっちりした時間割よりは少なく、まったくないよりは多いもの。多くの子に必要なのは、ぎっしりつまった一日ではなく、いつも同じよりどころです。決まった寝る時刻と起きる時刻、予想できる食事の時間、そして寝る前や出かけるときのような、むずかしい切りかえのいつもの流れ。これが大きな仕事をしてくれます。そのよりどころのあいだは、ゆるやかで、ほとんど子どもにまかせていい時間です。めざすのは、1時間ごとの計画ではなく、頼れる一日のかたちです。

自由な遊びの役割

よりどころと同じくらい大切なのが、そのあいだのすきまです。子ども自身が決める自由な遊びは、小さな子が問題を解き、想像力を使い、ほかの子とやりとりし、自分でできるようになっていく方法です。大人が決めた活動でぎっしりの一日では、その余地がほとんどなく、子どもは刺激が多すぎて疲れてしまいます。たっぷりの自由な時間は、決まった流れのすきまではなく、健やかな流れに欠かせない一部です。たいくつは問題どころか、いちばん豊かな遊びの始まりになることもよくあります。庭、空き箱やがらくたの入った箱、何も予定のない時間は、子どもに工夫する余地をくれ、それはどんな習いごとにもなかなか代えられません。

避けたい両はし

両はしを思いうかべてみるとわかりやすくなります。決まりが少なすぎる、つまり眠りのリズムがなく、食事はばらばら、いつも何が起こるかわからない状態だと、子どもは次に何が来るかわからないので、落ち着かず、疲れすぎ、かんしゃくを起こしやすくなります。決まりが多すぎる、つまり一分一分が予定で埋まり、選ぶ余地も思いつきの余地もほとんどない状態だと、子どもは不安になり、指示されることに頼りすぎ、必要な自由な遊びが足りなくなります。たいていの家族の暮らしは、そのあいだに心地よくおさまっていて、どちらかへ少しずれても、かんたんに戻せます。

年齢と気質に合わせて変える

子どもはひとりひとりちがうので、ちょうどいい量はひとつではありません。赤ちゃんや幼児は、たいていもっと見通しと、もっとこまめな休けいが必要で、大きくなるにつれて、変化にも、長い時間のひとり遊びにも対応できるようになります。気質も関係します。決まった流れが多いほうが目に見えて安定し、変化が苦手な子もいれば、のんびりしていて柔軟な子もいます。わが子をよく見てみましょう。かんしゃくがふえる、よく眠れない、べったりになる、というのは、見通しが足りない、または刺激が多すぎるサインかもしれません。たいくつしていて力をもてあましている子には、もっとすることが必要かもしれません。そうしたサインを手がかりに調整していきます。

折れずに曲がる流れ

いちばん続けやすいのは、いつも同じでも、もろくない流れです。よりどころ、とくに睡眠、食事、むずかしい切りかえはしっかり保ちつつ、病気、旅行、お客さん、たまのごほうびに合わせて、一日をしなやかに動かしましょう。暮らしが完璧でないとたちまちくずれる流れはストレスになります。夜ふかしや思いつきのお出かけを受けとめて、また元に戻れる流れのほうが、家族にとってずっと役に立ちます。週末には手放してしまう理想ではなく、本当に続けられるリズムをめざしましょう。

流れやふるまいが何かおかしいと感じたら

決まった流れについての悩みのほとんどは、小さな調整で解決します。ときどき、悩みがもっと深いこともあります。子どもがずっと落ち着かない、流れを整えてもよく眠れない、いつも不安そう、一日の予定が少し変わるだけでひどく取りみだす、というときは、かかりつけの小児科医や地域の保健師に話してみる価値があります。同じように、家族の暮らしがばたばたで手に負えず、みんなの元気に影響しているなら、助けを求めるのは賢明なことです。こうした相談は、その家族に合った助けをもらうためのもので、家をきちんと回せなかったという話ではありません。

信じていいバランス

では、小さな子に決まった流れはどのくらい必要なのでしょう。一日が安心で見通せると感じられるだけ、そして息がつまらないくらいまで。睡眠、食事、むずかしい切りかえという、いくつかの頼れるよりどころを守り、そのあいだにたっぷりの自由な遊びを確保し、全体を子どもの年齢、気質、家族の暮らしの現実に合わせてしなやかにする。大きなところさえ押さえれば、細かいことを心配する必要はありません。子どもはおどろくほど順応する力があり、あたたかく、だいたい見通せる家が、のびのび育つための土台をちょうどよく与えてくれます。

ポイント: 子どもに必要なのは、睡眠や食事のような頼れるよりどころがいくつか、そのあいだのたっぷりの自由な遊び、そして実際の暮らしに耐えられるしなやかなリズムです。

WHO, Guidelines on physical activity, sedentary behaviour and sleep for children under five

AAP HealthyChildren, The Power of Play