お迎えのあとの、落ち着いた過ごしかた
園や学校では一日ちゃんと過ごしていたと聞くのに、お迎えに来た親の顔を見た瞬間に大荒れ。お迎えのたびに身がまえてしまう親は少なくありません。夕方が、小さくて疲れた爆弾を解除するような時間に感じても、あなたは何もまちがっていません。帰ったあとに何が起きているかを知ると、そのあとの時間を、みんなにとってやさしいものに整えやすくなります。
園や学校から帰ると、くずれる理由
一日中がんばりつづけるのは、小さな子にとってとても大きな努力です。自分のふるまいをおさえ、決まりを守り、ゆずりあい、じっと座り、音や人づきあいに対応する。それも、たいていなじみの大人に頼れないまま。帰るころには自分をおさえる力は使いはたされ、ようやく気をゆるめられる安心な相手が親なのです。この帰ってからのくずれは、悪い一日のしるしではなく、信頼のしるし。午後3時30分には、ほめことばにはとても思えないとしても。
質問より、ふれあいから
会ったとたんに「今日はどうだった?」と聞きたくなるのは自然なことですが、くたくたの子はたいてい答えられず、質問の雨がだめ押しになることもあります。うまくいく帰宅後の流れをつくるには、問いつめるのではなく、ぬくもりと静けさから始めましょう。ぎゅっとする、いつものおやつ、何も求めないゆっくりした数分が、子どもに「家に帰ってきた、もう安心」と伝えます。一日のおはなしは、エネルギーを補給してくつろいだあとで、たいてい思いがけないかたちで出てきます。
疲れとおなかのすきを満たす
おなかがすいて元気がないと、何もかも悪くなりますし、園や学校ではあまり食べない子も多いものです。お迎えのときや帰り道に、いつものおやつを用意しておけば、かんしゃくになる前に角がとれます。果物とチーズ、小さなおにぎりのような、少しおなかにたまるものは、急に上がって急に下がる甘いお菓子より、血糖を安定させてくれます。疲れておなかのすいた子の機嫌が、食べたあとでどれほどよくなるかを、あなどってはいけません。
本当に何もしない時間を
一日たくさん動いたあと、多くの小さな子には、何もしない時間が必要です。夕方を習いごと、用事、画面でびっしり埋めたくなる気持ちはおさえましょう。ぶらぶらする、お絵かき、遊ぶ、ソファに寝ころがる、外に出る。決まりのない、プレッシャーの少ない時間をひと切れ守ってあげてください。これはなまけではなく、小さな神経が回復するための時間です。庭や公園で体を動かす遊びは、一日をふりはらい、たまったエネルギーを出すのにとくによい方法です。
いつもの流れを
ゆったりした夕方でも、なじみの順番があるとよいものです。見通しは、エネルギーを使いはたした子を落ち着かせるからです。おやつ、遊ぶか休む、それから小さなお手伝いか活動、そして夕ごはんへ。ゆるくてもいつも同じ流れがあれば、一分ごとに管理されなくても、子どもは次に何が来るかがだいたいわかります。めざすのは時間割ではなく、やわらかなリズムです。毎日同じ流れを保てば、毎日の夕方に新しい交渉をせずに、子どもがなじんでいけます。
おまけはひかえめに
帰宅後の時間に、ひらがなの練習、宿題、片づけ、習いごと3つをつめこみたくなるかもしれません。でも小さな子にとって、いっぱいの一日のうえにそれは多すぎることが多く、夕方がまた別の要求の山になってしまいます。幼いうちは、求めることを軽くしておきましょう。することがあるなら、小さくてこなせることをひとつで十分。それも帰ったとたんではなく、休んで食べたあとのほうがうまくいきます。
大人自身の状態にも目を
お迎えは、大人も疲れているときに来ることが多く、仕事から急いでかけつけることもあります。くたくたの親とくたくたの子は、むずかしい組み合わせです。できるなら、会う前にひと呼吸おき、大荒れがやってきたら、自分の声をゆっくり、気にしていない調子に保ちましょう。大きな気持ちに落ち着いて向きあうほうが、いらいらで向きあうより、子どもは早く落ち着きます。本当にむずかしいことなので、うまくいかない日は自分にやさしくしてください。
帰宅後の悩みが深いとき
帰ってからのかんしゃくはとてもよくあることで、たいていは子どもが大きくなり、園や学校に慣れるにつれて落ち着いていきます。でも、ときにはそれ以上のことを示していることも。園や学校に行くことをずっと不安がったり、いやがったりする、取りみだしかたがひどく、長く、何週間たってもよくならない、引きこもる、眠りの問題、説明のつかないいやがりといった変化に気づいた、というときは、担任の先生と、かかりつけの小児科医や地域の保健師に話してみる価値があります。ここは自分の直感を信じていいところです。わが子をいちばん知っているのは親です。
まとめ
子どもの園や学校での一日をコントロールすることはできませんが、帰ってくる場所を整えることはできます。疲れた子に本当に必要なもの、あたたかいおかえり、食べ物、本当の休み、見通せるゆったりしたリズムを中心に夕方を組み立て、質問と要求は軽く。それを続ければ、毎日のお迎えは、だんだん待ちぶせのようには感じられなくなります。夕方にもいろいろな瞬間はありますが、長い一日の終わりのもうひとつのハードルではなく、帰ってこられるやわらかな場所になっていきます。
ポイント: 帰ってきたら、ふれあい、食べ物、何もしない時間から。流れはいつも同じに、求めることは軽くして、くたくたの子が安心して気持ちをほどけるようにしましょう。