「あと5分ね」を20回言わずにすむ、切りかえの予告のしかた

小さな子に、ひとつの遊びをやめて次のことを始めてもらうのは、家族の暮らしの中でも、毎日の大きなまさつのひとつです。公園から帰る、ごはんに来る、テレビを消す。どれも涙や、きっぱりした「いや」の引き金になりえます。多くの親は「あと5分ね」と予告をしてみますが、何度も何度も言ったあげく、効き目がないことになりがちです。こつは、予告をふやすことではありません。本当に伝わるやりかたで使い、そのとおりに実行することです。

子どもにとって、切りかえがむずかしい理由

夢中になっていることをやめるのは、小さな子には本当にむずかしいことです。時間の感覚はまだ育っている途中なので「5分」はほとんど意味をもたず、深く入りこんでいた遊びから引きはなされるのは、本当の喪失のように感じられることがあります。そのうえ小さな子は、注意をひとつのことから別のことへ、すばやく移すのが苦手です。これを知っておくと助けになります。いやがるのは反抗ではなく、発達の現実なのです。20回もくり返さずに予告を使うには、子どもの今に合わせて、すぐに切りかえることを期待するのではなく、準備する時間をあげることから始まります。

予告ははっきり一度だけ、まずつながってから

予告は、子どもに本当に届いてこそ働きます。夢中になっているときに、さわがしい部屋のむこうから「あと2分!」とさけんでも、ほとんど届きません。そばに行き、目の高さになり、目を合わせ、できれば少しだけ遊びに加わるか、遊びを認めてから伝えましょう。「わあ、高いタワーだね。あと2分したら、ごはんのためにお片づけしようね」。気がそれたまま10回言うより、落ち着いて、しっかりつながった、はっきりした一度の予告のほうがずっと伝わります。子どもが本当に聞いて、感じとれたからです。

時間を、目に見えるものに

小さな子は、目に見えない「分」を感じられないので、予告をつかめるものにしましょう。減っていくのが見えるタイマーを使うか、切りかえを、具体的なしるしに結びつけます。「この歌が終わったら」「すべり台をあと2回すべったら」「砂時計の砂がなくなったら」。見えるもの、数えられるものに結びつけると、予告に本当の意味が生まれ、急に引きはなされる感じがなくなります。時間がなくなっていくのを見ていられた子は、そのときが来たとき、ずっと準備ができています。

一回めで、実行する

ここがいちばん大切なところです。予告のあとにまた予告が続くなら、子どもは「もう行くよ」は本当に行くという意味ではないと学び、5回め、10回めを待つようになります。くり返しをやめる方法は、一回めから本気で言うことです。予告は一度だけ。時間になったら、落ち着いて子どもの切りかえを手伝いましょう。手をとる、そっとお片づけを始める、いっしょに次へ導く。予告は本物で、切りかえは本当に起こると子どもが学べば、終わりのないくり返しは消えます。親が本気かどうかを、もうためさなくていいからです。

助けになる儀式や、かけ橋を

ひとつの遊びから次へのちょっとしたかけ橋があると、切りかえはなめらかになります。公園に「バイバイ」と手をふる、お片づけの歌、お気に入りのおもちゃをいっしょに連れていく。いつも同じ儀式があれば、急に止められるのではなく、変化を通りぬける見通せる道ができます。向こう側に楽しみを用意するのも助けになります。「おうちに帰ったら、恐竜の絵本を読もうね」。注意を今の場所から引きはがすのではなく、向かっていく先をあげるのです。そのほうがずっとかんたんです。

落ち着いて、軽く

大人の口調が、切りかえのゆくえを決めます。あたたかく淡々とした自信は協力を誘い、いらいらや大きな声は、いやがりをふくらませがちです。少しの遊び心が、しぶる子を運んでくれます。ドアまで競争、トイレまでカエルになってぴょんぴょん、タイマーにおどけた声。子どもがいやがっても大人のエネルギーをぶれずに保てば、その場面は早くすぎ、子どもに見つけてほしい落ち着きのお手本にもなります。だんだん怒った声でくり返すのは、その反対です。

それでも、気持ちは出てくるもの

どんなにいい予告でも、子どもはやめるのがかなしくなることがあり、それでいいのです。「わかるよ、楽しいときに帰るのはつらいよね」と気持ちを受けとめながら、それでも実行すれば、気持ちはわかってもらえて、切りかえはやっぱり起こる、と子どもは学びます。めざすのは、すべての涙を防ぐことではなく、変化を見通せて、やさしいものにすることだけです。気持ちに共感してから、やさしく続けるほうが、折れることよりも、つらさを受け流すことよりも、ずっとうまくいきます。

切りかえがとてもむずかしいとき

切りかえのむずかしさは幼児期にはふつうのことで、年齢といつも同じ対応で楽になっていきます。でも、変化にひどく取りみだす、しっかり予告した切りかえにもまったく対応できない、毎日の暮らしに影響するかたさの広いパターンの一部になっている、というときは、ひとりで抱えずに、地域の保健師やかかりつけ医に話してみると助けになることがあります。変化のまわりに、もっと支えや、絵を使ったしっかりした工夫が必要な子もいて、その子に合った助言をもらう価値があります。

がみがみを止める切りかえ

同じことを20回もくり返してしまうのは、たいてい、予告が届いていないか、そのあとが続いていないからです。つながってからはっきり一度だけ予告し、時間を目に見えるものにし、一回めで落ち着いて実行する。やさしい儀式と少しの共感を加えれば、切りかえは、くり返し戦う場面ではなく、一日の中のこなせる一部になります。

ポイント: 時間が目に見えるかたちで、つながってからはっきり一度だけ予告し、一回めで落ち着いて実行すれば、予告は本物だと子どもが学びます。

CDC, Positive Parenting Tips

NHS, Dealing with child behaviour problems