朝と夜の育児を、大人どうしで分けあうには
みんなを起こして送りだす朝と、寝かしつける夜。一日の中でいちばん忙しく、いちばんストレスの大きい時間は、いちばんひとりの肩にかたよりやすい時間でもあります。負担がかたよると不満がたまり、朝も夜もうまくいかなくなります。朝と夜の育児を、大人どうしでもっと公平に分けあう方法を見つけると、毎日の流れだけでなく、家じゅうの空気まで変わります。
負担を分けあうことが大切な理由
ひとりの大人が毎日の大変さのほとんどを背負うと、その人は燃えつきてしまいます。くたくたで不満をかかえた親は、子どもがいちばん落ち着きを必要としているそのときに、がまん強く落ち着いていることがむずかしくなります。仕事を分けあえば、みんなの元気が守られ、子どもにはチームワークと公平さのお手本を見せられ、どちらかが体調をくずしても、残業でも、ただ力つきていても、流れがくずれません。それぞれの大人が、一日のありふれた身近な時間に深くかかわるので、子どもとの自信とつながりも育ちます。
見えない部分もふくめて、負担の全体を見る
仕事を分ける前に、全部を書きだしてみましょう。着がえ、ごはん、歯みがき、お風呂といった目に見える仕事のほかに、頭の中の仕事があります。体操服を思い出す、牛乳が少ないことに気づく、だれに新しい靴が必要かを把握する、明日の段取りを考える。この見えない仕事は本物で、疲れるもので、手を動かす仕事は分けあっていても、まるごとひとりに残っていることがよくあります。朝と夜の育児を公平に分けるには、することだけでなく、考えることと覚えておくことも、テーブルにのせましょう。
「手伝う」ではなく、「担当する」で分ける
よくある落とし穴は、ひとりがもうひとりを「手伝う」かたちです。これでは責任がすべてひとりに残り、その人が頼むことも覚えておくことも全部しなければなりません。もっと公平なのは、それぞれの大人に、特定の仕事や時間をまるごと担当してもらうやりかたです。ひとりが朝全部、もうひとりが寝かしつけ全部。あるいは、ひとりは朝ごはんと園のかばん、もうひとりは歯みがきと絵本。本当に自分の担当なら、することと覚えておくことの両方を背負うので、もうひとりの頭の中の負担がすっかり軽くなります。
はっきり話しあう
不満は思いこみから生まれるので、習慣にまかせず、本当に話しあいましょう。いっしょに座って、朝と夜の仕事を書きだし、仕事の予定、得意なこと、好みを考えながら、だれが何をするかを決めます。不公平に感じることは正直に。これは一度で終わりではありません。状況は変わり、半年前にうまくいった分けかたが今は合わないこともあるので、ときどき確かめましょう。落ち着いた定期的な話しあいが、口に出さない不満がじわじわたまるのを防ぎます。
だれがしても、同じ流れに
子どもは、だれが回しても流れが同じに感じられるとき、いちばんうまく対応できます。大事なステップと順番、寝る時刻や歯みがきのようなゆずれないことを決めておけば、どちらの親でも、子どもはなじみのある流れを経験できます。同じことばや同じやりかたである必要はありません。子どもは、パパのお風呂とママのお風呂がちがうことを、よろこんで受け入れます。かたちが保たれていれば、交代しても夜全体が乱れません。計画をいっしょにわかっていれば、どちらもなめらかに入れかわれます。
得意をいかし、ときには交代も
分けあうことは、何でもきっちり半分にすることではありません。朝が得意な人、寝かしつけに気長な人、とそれぞれが得意なところや、ストレスの少ないところを受けもつと、うまくいくことがよくあります。同時に、その仕事はひとりにしかできない、というかたい分けかたは避けましょう。ときどき交代すれば、何かあったときにどちらでも代われますし、あるステップでは子どもがひとりの親しか受けつけない、ということも防げます。公平な分けかたの中の柔軟さが、めざすところです。
ひとり親や、変わりやすい家庭の場合
どの家にも、家に大人が2人いるわけではありませんし、シフト勤務、別居、どちらかの出張で、半分ずつが無理なこともあります。そんなときの分けあいは、流れの一部を、もうひとつの家にいるもうひとりの親、祖父母、信頼できる友人など、まわりの支えに頼ることかもしれません。あるいは、ひとりでできることについて、現実的に、自分にやさしくなることかもしれません。考えかたは同じです。できるところで負担を広げ、自分の元気を守ること。からっぽになったひとりの保護者は、だれの助けにもなれないからです。
負担がとても重いとき
毎日の負担を分けあえば、家族のまさつの多くはなめらかになりますが、ときにはもっと重い負担もあります。いつもいっぱいいっぱい、疲れきっている、気分が落ちこんでいる、負担をめぐる大人どうしの言いあいがたえない、その重さが心の健康や子どもとの関係に影響している、というときは、助けを求める価値があります。かかりつけ医や地域の保健師が支えにつないでくれますし、だれかに話すのは失敗ではなく強さのしるしです。子どもをみる大人を大切にすることも、子どもを大切にすることの一部です。
変える価値のあること
公平に分けあった朝と夜は、段取りだけの話ではなく、家にいるみんなの元気を守る話です。負担の全体を書きだし、手伝うではなく担当で分け、流れを同じに保ち、はっきり、こまめに話しあう。そのバランスがとれれば、一日のいちばん大変な時間は、大人には軽く、子どもにはより安定したものになります。それこそ、うまく回っている家族の姿です。
ポイント: 見えない段取りもふくめて負担の全体を書きだし、手伝うではなく本当の担当で分け、だれが回しても流れを同じに保ちましょう。