毎日の小さな実験で、「予想する力」を育てる
氷を日なたに置く前、ミニカーを坂に走らせる前に、魔法のような瞬間があります。予想です。お子さまは何が起きると思う?その小さな予想こそ科学的な考えの中心で、一日のなかのいちばんふつうの場面で育てられます。キットも計画もいりません。確かめる前に、ひと息ついて声に出してふしぎがる習慣があればいいのです。
予想が、こんなに大切な理由
予想とは、子どもがひとつの考えに賭けて、世界がそれに賛成してくれるかを確かめることです。結果に自分もかかわっているので、ただ見ているだけが、自分で考えることに変わります。予想が当たれば、わかった喜びを味わいます。はずれれば、もっと価値のあるびっくりという贈りものをもらいます。そこから本物の学びが始まるのです。予想は、好奇心が筋道立てた考えに変わるところです。
育てたい、シンプルな習慣
毎日の実験で予想する力を育てるには、何かが起きる前に「どうなると思う?」と聞いて、いっしょに見て確かめるだけです。この石はしずむ?うく?どっちのコップの水が先にこおる?青と黄色を混ぜたらどうなる?質問はかしこくなくていいのです。結果より先に来ればいい。そうすれば、お子さまにはただ反応するのではなく、考えるチャンスがあります。
使える毎日の場面
予想は、もうしていることにはまります。お風呂で、スポンジはうくかしずむかを聞く。台所で、氷は台の上と手のなか、どっちが早くとけるか声に出してふしぎがる。お散歩で、どの水たまりがいちばん深いか当てっこする。おやつのとき、ビスケットが牛乳にうくか予想する。こうした小さな質問はお金もかからず、決まった流れを探究に変え、ふつうの一日に科学的な考えを通してくれます。
本当に考えてもらう聞きかた
聞きかたが大切です。答える時間をあげましょう。小さな頭は考えるのに時間がかかるので、必要なら心のなかで5つ数えます。どんな答えもあたたかく受けとめましょう。とんでもない当てずっぽうも、りっぱな予想です。「どうしてそう思う?」とやさしく聞くと、理由を言うよう背中を押せます。表情や声で正解をにおわせないように。びっくりするチャンスを取りあげてしまいます。なにより、親自身が本当に好奇心をもっている声で。親のふしぎがる気持ちはうつります。
お子さまが学んでいること
この習慣が育てるのは、科学の知識だけではありません。お子さまは、考えをつくって試すことを学び、それが筋道立てた考えの土台になります。考えをことばにして、理由を言う練習をします。まちがうことになれて、立ちなおる力とやってみる気持ちが育ちます。予想がどうなったか気になるので、結果によく注意を向けます。だんだん自分から予想しはじめ、それは科学的な考えが根づいてきたしるしです。いい予想にはたいてい理由がついてきて、その理由を言うには勘をことばにしなければならないので、予想はことばものばしてくれます。たくさんの小さな予想を通して、お子さまはまちがうことと、気楽な毎日のつきあいかたを身につけていきます。それは、小さな学び手がもっていける、いちばん役に立つもののひとつです。
はずれた予想を、じょうずにあつかう
いちばん大切なのは、はずれた予想をどうあつかうかです。「ちがう」と言ったり、きつく直したりしないでください。かわりに、びっくりを分かちあいましょう。「おもしろいね、思ってたのと反対になったね。もう一回やってみる?」。はずれた予想を失敗ではなくおもしろいものとしてあつかうと、まちがうことは、見つけていくなかのふつうの、わくわくする一部なのだと学びます。その姿勢は、どの教室でも、ずっと先まで役に立ちます。
少しずつ力をのばす
大きくなるにつれて、習慣をやさしくのばしましょう。理由をもっとくわしく説明するよう誘う。冷たい水のかわりにあたたかい水を使うなど、ひとつ変えたら何が起きるか予想してもらう。親が言いだす前に、自分から予想するよう後おしする。いっしょにふり返ることもできます。「大きいほうが重いって予想して、当たったね」「あれにはびっくりしたね」。前の予想をふり返ると、学びが深まります。
プレッシャーなしで続けるために
予想するのが大好きな子もいれば、ひかえめな子もいて、どちらでもかまいません。予想したがらないなら、親が声に出してお手本を見せて、準備ができたら加わってもらいましょう。決して、失敗できるテストにしないでください。ことば、理解、かかわりかたにもっと広い心配がある、思っている年齢になってもまわりの世界にほとんど好奇心を見せない、という場合は、かかりつけの小児科医や地域の保健師さんに伝えてみるのは妥当なことです。早めの質問は、いつでも歓迎されます。
見る人から、考える人へ
毎日の実験で予想する力を育てるとは、確かめる前に声に出してふしぎがる習慣をつくることです。結果の前の予想という、その小さなひと呼吸が、お子さまを見る人から考える人に変えます。どうなると思うか聞き、どんな答えも歓迎し、びっくりを分かちあえば、ふつうの一日のまんなかで、小さな科学者が育っていきます。
ポイント: 毎日のどんな実験の前にも、ひと息ついて「どうなると思う?」と聞き、どんな予想も歓迎し、びっくりをわくわくするものとしてあつかいましょう。予想することが、自然な考える習慣になります。
AAP HealthyChildren, The Power of Play: How Fun and Games Help Children Thrive