実験したことを、絵で記録してみよう
氷がとけたあと、塔がたおれたあと、体験まるごとを深めてくれる、すてきな次の一歩があります。何が起きたかを残すことです。字が書けるずっと前から、子どもは「まえ」と「あと」の絵を描いたり、つくったものの写真をとったりできます。実験を絵で記録する手伝いをすると、すぐに消えてしまう遊びの瞬間が、あとで見かえして、話して、もう一度学べるものに変わります。
記録する手間に価値がある理由
記録するには、もっとよく見て、もっとしっかり思いださなければなりません。何が起きたかを描くには、細かいところに気づく必要があります。写真を選ぶには、何がいちばん大事だったかを決める必要があります。それが体験をゆっくりにして記憶に固定し、学びがその瞬間をこえて残ります。絵があれば、誇らしく見せられるものができ、次とくらべることもできます。自分は調べる人なんだ、という気持ちが育ちます。
小さな手には、シンプルに
プリントもきれいな字もいりません。白い紙とクレヨン、そして乗り気の大人がいればじゅうぶんです。課題は小さく、遊び心をもって。始まりの絵を1枚、終わりの絵を1枚。ぐるぐるの線と笑顔だけでも、それでりっぱな記録です。大切なのは、ひと息ついて残すことそのもので、できあがりのじょうずさではありません。
かんたんな記録のしかた
- 紙を半分に折って、まえとあとのふたつの場面を描く。
- スマホでさっと写真をとり、お子さまに選んで説明してもらう。
- まんがのように、手順を順番に並べたかんたんな絵を描く。
- シール、正の字、点で、橋が積み木を何個支えたかを数える。
- 何をしたかのおはなしを、お子さまに声で録音してもらう。
そのときの気分と段階に合う方法を、お子さまに選んでもらいましょう。
取ってかわらずに、導く
記録はお子さまのものなので、整えたくなる気持ちはおさえましょう。最初に何を描きたいか聞いて、そのリードについていきます。指示ではなく、やさしいうながしを。「最初、お水はどんなふうだった?」「何が変わった?」「何にびっくりした?」。希望があれば、お子さまのことばをそのまま、言ったとおりに絵に書きそえましょう。どんなにごちゃごちゃでも記録をその子のものにしておくと、自分のものだという気持ちと誇らしさが守られます。
手と頭で学んでいること
記録することは、静かにいくつもの力を同時に育てます。描くとわかっているので、もっとするどく観察します。始まり、なか、終わりを順番に並べる練習をします。絵を本当の出来事に結びつけ、それは読み書きへの早い一歩です。見たことを表すことばが育ちます。そして、科学者は思いだしてくらべるために記録をつけるのだと、わかりはじめます。それはていねいな探究すべてを支える習慣です。絵に何を入れるかを選ぶことは、何がいちばん大事だったかを決めることでもあり、判断する力の早いかたちです。自分の絵について親に話すことで、話しことばものびていきます。だんだん、少しずつ集まった記録が、自分のものとして誇らしく、何度も見かえしたくなるものになっていきます。
記録をくらべてみる
本当の魔法は、何枚かの絵をとっておいて見かえしたときに現れます。先週のコースの競争の絵を出して、今日の絵とくらべてみましょう。とけていく氷が毎回同じに見えたか、ちがって見えたかに、いっしょに気づきます。このくらべることは本物の科学の考えで、くり返した実験のなかにパターンを見つけることです。シンプルなファイルやスクラップブックが、お子さまの育っていく理解の記録になり、子どもは自分の過去の発見を見かえすのが大好きです。
お仕事ではなく、遊びのままに
記録は、楽しさのあとにくっつけた宿題のように感じさせないのがいちばんです。お子さまがもう満足して走っていきたがったら、行かせてあげて、いちばんの見どころだけ親が記録して、あとで見せましょう。時間は短く、してもしなくてもいいものに。ほめるのは、きれいさではなく、がんばりと気づいたこと。描くのにイライラするなら、写真や話すことでもまったく同じくらいうまくいきます。めざすのは実験の喜びをのばすことで、実験についてお子さまをテストすることではありません。
専門家に聞いてもいいとき
これは合格も不合格もない、やさしく、創造的な学びです。いつものように、お子さまをいちばん知っているのは親です。指先の力、クレヨンの持ちかた、集中、ことばに、もっと広い心配がある、年齢のわりに描いたり説明したりがとてもむずかしそう、という場合は、かかりつけの小児科医や地域の保健師さんに気軽に話してみる価値があります。早めに質問するのはいつでも賢明で歓迎され、聞いて困ることは何もありません。
残すと、もう一度学べる
実験を絵で記録する手伝いをすると、遊びの瞬間が、お子さまが見かえして、説明して、くらべられる、長く残る思い出に変わります。もっとよく観察し、出来事を順番に並べ、記録をつける科学者のように考えはじめます。シンプルに、絵はその子のものにして、見つけたことのすべてを、いっしょにふり返るのを楽しみましょう。
ポイント: 実験のあとは、かんたんなまえとあとの絵や、お子さまが説明する写真で記録を。遊び心を忘れず、記録はその子のものにすると、観察する力と記憶が育ちます。