「どうしてわかったの?」で育つ、子どもの算数の考える力

お子さまがビスケットを数えて、にっこり「4こ!」。「よくできたね」と言って次へ進みたくなります。でも、やさしいひと言「どうしてわかったの?」が、学びの新しい層をまるごとひらいてくれます。算数の考えを説明するのを手伝うと、正しい答えが本当の理解に変わります。考えをことばにすると、頭のなかでしっかり固まるからです。

説明することが大切な理由

答えを出すことと、それを理解していることには大きなちがいがあります。どうやって考えたかを説明するとき、子どもはゆっくりになり、自分の手順に気づき、考えを整理しなければなりません。それが学びを深め、本当にわかっていることを見せてくれます。筋道立てて考える習慣も育ち、長い目で見れば、それはどんなひとつの正しい計算よりずっと大切です。算数について話すことで、算数が根づいていきます。

ひらかれた質問をする

いちばんシンプルな道具は、好奇心のある、ひらかれた質問です。答えを確かめるだけでなく、そこまでの道すじをふしぎがってみましょう。「どうやって考えたの?」「どうして3だと思ったの?」「どうやって数えたか、見せてくれる?」。こうした質問にはひとつの正しい返事がないので、子どもを話に誘います。めざすのはつまずかせることではなく、考えを説明する手伝いなので、声はあたたかく、本当に興味をもって。

答えより、考えた道すじを大切に

結果だけでなく、考えたことをほめましょう。「ひとつずつていねいに数えてたの、いいね」と言えば、大切なのは道のりだと伝わります。答えがまちがっていても、考えかたはまっとうなことがあり、そこに気づいてあげると自信が保てます。算数は、すぐに正解することではなく考えることだと学んだ子は、まちがいへの不安で固まらずに、むずかしい問題にも挑戦しつづけます。

考えを引きだす方法

  • 答えを言ったあとに「どうしてわかったの?」と聞く。
  • いっしょに声に出してふしぎがる。「いくつあるんだろうね、どう思う?」
  • 先生になってもらう。「これ、どうやって数えるか見せて」
  • 親自身の考えを声に出して、筋道立てた考えを聞かせる。

親が声に出して考えるお手本はとくに力があります。子どもは、親が考える道のりについて話すやりかたを、そのまままねするからです。

まちがった答えを、あたたかく歓迎する

いちばん豊かな会話は、まちがいのなかにあります。数えまちがえても、あっさり直したくなる気持ちはおさえて、どう考えたかを話してもらいましょう。「どうやって5になったか見せて」。説明しているうちに自分でまちがいに気づくことがよくあり、それが考えを確かめることを教えてくれます。まちがいをはずかしいものではなくおもしろいものとしてあつかうと、子どもはどうやって答えにたどりついたかを、正直に話しつづけてくれます。それこそが望んでいることです。

考える時間をあげる

説明するのは答えるより時間がかかるので、沈黙を埋めたくなる気持ちはおさえましょう。「どうしてわかったの?」と聞いたら、ひと息おいて待ちます。小さな子は、生まれたばかりの考えにことばを見つけるのに時間がかかります。早く助けに入りすぎると、自分で考えだすチャンスを取りあげてしまいます。気長で急がない沈黙は、あなたの考えは待つ価値がある、と伝えてくれます。

本物の、意味のある場面で

いちばんいい算数の会話は、決まった練習ではなく、子どもが大切に思っていることについて起きます。おやつを分ける、おもちゃを分ける、塔をくらべる、どっちが多いかを確かめる。「あなたの山のほうが大きいって言ったね。どうしたらわかるかな?」と言えば、自分にとって大事なことについて考えるよう誘えます。本物の場面に根ざしていると、説明はテストではなく自然なことに感じられ、子どもは自分が本当に解きたい問題のほうが、ずっとのびのび考えます。

プレッシャーをかけない

説明が問いつめのように感じられると、子どもは口を閉じてしまいます。質問は5つではなくひとつ。小さな答えや、「なんとなくわかった」でも、押さずに受けいれましょう。考えたことをたくさん話す日もあれば、話さない日もあり、どちらでもかまいません。めざすのは、言われたらしぼりだす披露ではなく、何か月もかけて育つ、ゆったりした、算数について話す習慣です。

理解が育ってきているサイン

お子さまが聞かれなくても説明しはじめる、話しながら自分で直す、「かぞえたんだよ」と誇らしげに言う。親がどうやって考えたかを聞いてくることもあるでしょう。こうしたサインは、筋道立てて考えることが、お子さまの算数のやりかたの一部になってきたしるしです。かんたんな数えることを卒業したずっとあとも役に立つ、頭の習慣です。

ひとりで悩まないで

ことばと算数の考える力は、幼児期から小学校のはじめにかけて少しずつ育ち、子どもによって大きな差があります。まわりの子とくらべて、かんたんな考えをことばにするのがはっきりむずかしい、話すこと、数えること、毎日の考えが全体的にむずかしそう、できていたことができなくなったようだ、という場合は、かかりつけの小児科医や地域の保健師さん、園の先生に気軽に話してみましょう。よくある相談で、役立つ支援が早く届くようになるだけです。

いちばん力のある算数の質問

いちばん力のある算数の質問は「答えは何?」ではなく「どうしてわかったの?」です。算数の考えを説明するのを手伝い、結果より考えた道すじを大切にし、まちがいをあたたかく歓迎すると、算数は考えて話すものだとお子さまに伝わります。それはどんな反復練習よりも、ずっと深く理解を育てる習慣です。

ポイント: 「どうしてわかったの?」と聞き、答えより考えた道すじを大切にし、急がない時間をあげる。そうすれば、算数について考えて話すことを、お子さまは身につけていきます。

NHS, Play and learning for babies and toddlers

UNICEF, Learning through play