「まえ」と「あと」がわかるようになるための手助け
「お昼ごはんのあと、公園に行こうね」。小さな子にとって、このひと言には大きな考えがつまっています。出来事には順番があって、ひとつのことが別のことの「まえ」に来る、ということです。まえとあとは、子どもが時間と順番をつかむ最初の方法のひとつで、同じ考えかたが、のちに4は5のまえに来るとわかる助けにもなります。
順番は、静かに算数とつながっている
順番は、算数のあちこちにあります。数は決まった順番で並び、模様は順番にくり返され、問題の手順は次々と続きます。まえとあとがわかるように手伝うと、子どもは自分の一日の流れを通して、その順番の感覚を体で感じられます。毎日の暮らしも穏やかになります。次に何が来るか予想できる子は安心できて、言いあいも減るからです。
毎日の流れに結びつける
お子さまの一日は、もうひとつの順番になっています。それを使いましょう。「食べるまえに、手を洗おうね」「お風呂のあとは、絵本を読もう」。おなじみの出来事の順番を何度も声に出すと、いちばん意味のある場面でこうしたことばが身につきます。予想できること自体が心を落ち着かせ、まえとあとのことばが、知っている流れの安心感といっしょにすっと入っていきます。
たった今あったことから
とても小さな子はほとんど「今」を生きているので、ついさっきのことがいちばん始めやすいところです。何かが終わった直後に、ことばにしましょう。「朝ごはんを食べたね。朝ごはんのあとに、お着がえしたね」。ここ数分をふり返るほうが、先の計画を立てるよりかんたんです。「あと」がわかるようになると、先を見る「まえ」もたいていついてきます。「まえ」は、これから来る手順を頭に置いておくことを求めるからです。
練習できる、ちょっとした方法
- 食事のとき、順番を話す。いただきます、ごはん、それからデザート。
- 着がえで、くつしたはくつのまえ、上着は玄関のまえ、と伝える。
- 絵本を読みながら、このページのまえに何があったか、このあとは何が来るかを聞く。
- お菓子づくりで、手順を声に出す。焼くまえに混ぜる、食べるまえに冷ます。
一週間を通してくり返されるこうした声かけの糸が、どんな一回の計画した活動よりも、まえとあとの理解を育ててくれます。
絵本と写真を使う
絵本は順番でできているので、自然な先生になります。ページの途中で「オオカミが来るまえに、何があったっけ?」「このあと、どうなると思う?」と聞いてみましょう。写真も使えます。お出かけの日の写真をいっしょに順番に並べる。最初は電車、次は海、そのあとはアイス。本当の思い出を並べかえると、考えが具体的で、自分のものになります。
「さいしょ・つぎ・さいご」も
まえとあとには、頼りになる仲間がいます。「さいしょにお片づけ、つぎにおやつ、さいごにお出かけ」と言うと、ひとつながりの時間がはっきりした区切りに分かれます。同じ順番の力を支えることばで、抽象的なまえとあとより、子どもにとって動きやすいことがよくあります。いっしょに使えば、順番について話すための道具箱がまるごとそろいます。
一日を絵にしてみる
絵で考える子には、かんたんな絵の時間表が順番を目に見えるようにしてくれます。朝ごはん、園、おうち、ねんね。3、4枚の絵を一列に貼れば、子どもは今どこにいて、次に何が来るかを指させます。凝ったものはいりません。いっしょに絵を並べて、洗たくばさみをひとつずつ動かしていくと、目に見えない時間の流れが、見てさわれるものに変わります。
こんがらがるのは、当たり前
時間のことばは本当にむずかしく、子どもはしばらくのあいだ取りちがえます。「まえ」と「あと」が入れかわり、過ぎたことは何でも「きのう」、先のことは何でも「あした」になります。どれも心配いりません。練習させるのではなく、やさしく正しい使いかたを見せて、毎日の親の話しかたを通して正しい形がしみこむのにまかせましょう。子どもはそうやって、ほとんどのことばを吸収していきます。
理解が育ってきているサイン
お子さまが毎日の流れで次に来ることを予想する、出来事を正しい順番で話してくれる、自分のおしゃべりのなかで「まえ」と「あと」を正しく使う。「食べるまえに手を洗うんだよ」と親に教えてくれることもあるでしょう。こうした小さな、自分からの使いかたは、順番が、ただくり返すことばではなく、考えを整理するしかたの一部になったしるしです。
相談してみてもいいとき
まえ、あと、そして時間のことば全体の理解は、幼児期を通して少しずつ育ち、子どもによって大きく異なります。まわりの子とくらべて、順番や時間のことばをほとんどつかめていない、ことばやかんたんな指示にこたえることが全体的にむずかしそう、できていたことができなくなったようだ、という場合は、かかりつけの小児科医や地域の保健師さん、園の先生に気軽に話してみましょう。早めに伝えるのはよくあることで、役立つ支援が早く届くようになるだけです。
シンプルに
順番を教えるのに、時計もカレンダーもいりません。必要なのは毎日の流れと、何がさいしょで何がつぎだったかを言う習慣です。食事、絵本、一日の形を通して、まえとあとがわかるように手伝いつづけましょう。それがお子さまの世界を安定させる順番の感覚を育て、数へとつながる道を用意してくれます。
ポイント: 毎日の流れの順番を声に出し、たった今あったことから始め、さいしょ・つぎ・さいごを使って、まえとあとを本物の感覚にしましょう。