「した・うえ・となり・あいだ」位置のことばの伝えかた

「くまさん、どこ?」「おふとんのした!」。こう答えられる子は、空間の算数をしています。位置のことばは、ものどうしがどんなふうに並んでいるかを表し、この早い空間の感覚は、図形や地図を読むこと、さらには紙の上に数や式を並べるしかたにまでつながっていきます。なにより、体を動かして遊びながら身につけられるのがいいところです。

位置のことばが算数である理由

ものがどこにあって、どうかかわっているかがわかる空間の考える力は、算数の考えかたの本物の一本の糸です。この力がよく育つ子は、のちの図形や問題を解くことを、より自然に感じる傾向があります。した、うえ、となり、あいだといった位置のことばを伝えるとき、親は空間を表して考えるためのことばを子どもに渡していて、それは見た目よりずっと力のあることなのです。

まずは、体まるごとで

小さな子は、自分の体をその位置に置くことで、いちばんよく位置を覚えます。テーブルのしたをハイハイでくぐる、クッションのうえを乗りこえる、いすのとなりに立つ、ふたつの箱のあいだにぎゅっと入る。ことばが大きな体の動きに結びつくと、すぐに残ります。だから、おもちゃをどこかに置いてと頼む前に、お子さま自身にしたやうえやあいだに入ってもらいましょう。そのほうが楽しくて、早く身につきます。

起きたときに、ことばにする

いちばんかんたんな教えどきは、もう目の前で起きている場面です。ふとんをかけながら「おふとんが、あなたのうえにかかるよ」。隠れたら「ソファのうしろにいるね」。ふつうの遊びやお世話のなかで、何度も位置を声に出すと、こうしたことばが落ちついていきます。お子さまがもう体やおもちゃでしていることに、ことばをそえるだけです。

位置を教えてくれる遊び

  • かくれんぼをして、どこに隠れたかを言う。した、うしろ、なか。
  • くまさんにかんたんな指示を出す。箱のうえに置いて、次はしたに、次はとなりに。
  • 障害物コースをつくる。いすのしたをくぐって、ロープを飛びこえる。
  • いっしょに食卓の準備。フォークはお皿のとなり、コップはスプーンのうえのほうに。

どれも位置をただ聞くのではなく、演じられるので、位置のことばを伝えるいちばん確かな方法になります。

ことばは、ひとつずつ

全部のことばを一度に流しこまないようにしましょう。したとうえは、はっきり感じられる反対どうしなので、最初のペアにぴったりです。次に、となり、横。それから、ふたつの目印が必要な、むずかしい「あいだ」へ。全部をまとめて伝えようとすると、ぼやけがちです。ひとつがしっかりして遊べるようになってから、次を足しましょう。

「あいだ」がいちばんむずかしい

「あいだ」は、とくに気をつけてあげたいことばです。ふたつのものを頭におき、そのすきまに何かを置くことを求めるからです。くまさんを2ひき置いて、そのあいだにミニカーをぽんと置き、ことばをはっきり言いましょう。それから、ふたつのいすのあいだに立ってもらったり、ふたつのコップのあいだにスプーンを置いてもらったりします。目印がふたつあるぶん本当にむずかしいので、時間がかかると思っておいて、軽やかに続けましょう。

指示ゲームにしてみる

ことばになじんできたら、かんたんな指示ゲームが宝物です。「ボールを、テーブルのしたに置ける?」「今度は、ドアのとなり」。位置の指示にこたえることで本当の理解が確かめられ、正しくできるかという挑戦を、子どもは大喜びします。役を交代するのもおすすめです。お子さまに親を指示してもらい、クッションのうえを越えて、いすのあいだに入って、と言ってもらいましょう。親が言われたとおりにすると上がる笑い声が、ことばをしっかり固めてくれます。

絵本を読んで、指さす

絵本は、ものの並びかたであふれています。読みながら指さして、ことばにしましょう。「ねこはベッドのした、鳥は木のうえにいるね」。絵のなかで、となりにあるもの、うしろにあるもの、あいだにあるものを探してもらいましょう。ことばを絵に結びつけると、お子さま自身の体の外へ広がり、場面を表すことへと、小さくても本物の一歩を進めます。

取りちがえても、ゆったりと

位置のことばは抽象的で、子どもは長いあいだ取りちがえます。「した」と「うえ」が入れかわり、「あいだ」がおおざっぱに使われます。まったくふつうのことで、心配することではありません。きつく直すより、正しいことばを使ってみせましょう。「そうだね、したに入ったね、いすのすぐしただね」。あたたかいくり返しは練習よりずっとよく教えてくれて、遊びを楽しいままにしてくれます。

専門家に聞いてもいいとき

空間や位置のことばの理解は幼児期を通して少しずつ育ち、子どもによってたっぷり差があります。まわりの子とくらべて、位置や方向のことばをほとんどわかっていない、ことばやかんたんな指示にこたえることが全体的にむずかしそう、できていたことができなくなったようだ、という場合は、かかりつけの小児科医や地域の保健師さん、園の先生に気軽に話してみましょう。こうした確認はよくあることで、役立つ支援が早く届くようになるだけです。

空間を、話せるものに

位置のことばは、空間を、子どもが話して考えられるものに変えてくれます。いちばんよく身につくのは、ハイハイ、よじのぼり、かくれんぼ、つくる遊びを通してです。毎日の遊びのなかで、した、うえ、となり、あいだを伝えるチャンスを見つけつづければ、図形、地図を読むこと、考えを整理することを、この先何年も静かに支える空間のことばを、お子さまに手わたせます。

ポイント: 位置のことばは、体まるごとの遊びと指示ゲームで、ひとつのペアずつ伝えましょう。むずかしい「あいだ」は最後にとっておきます。

NHS, Play and learning for babies and toddlers

CDC, Developmental milestones (Learn the Signs. Act Early.)