一対一対応:数を言えるのに、物を数えるのがむずかしい理由

お子さまが自信たっぷりに「いち、に、さん、し、ご」と言ったあと、ビスケット4枚を「いち、に、さん、し、ご、ろく」と数える。後もどりしたように見えますが、そうではありません。数を暗唱することと、本当に数えることのちがいが見える、まさにその瞬間で、多くの親が気づくなぞの答えがここにあります。

まったくちがう、ふたつの力

数の順番をとなえるのは、歌を歌うのに少し似ています。何度も聞いてきたので、ことばが順番に出てくるのです。本物のものを数えるのは、ずっと大変です。ひとつの数のことばをひとつの物に、ちょうど一度だけ合わせ、しかもどれをもう数えたかを覚えておかなければならないからです。この合わせることを一対一対応と呼び、物を数えるのが数を言うよりむずかしい理由はここにあります。

お子さまの頭のなかで起きていること

お皿のぶどうを正しく数えるには、いくつものことが同時に起きなければなりません。ぶどうをひとつずつ指さし、指さすたびに次の数のことばを言い、同じぶどうを二度指ささないように覚えておき、最後に言ったことばが全部の数だとわかること。小さな人にとってはかなりのお手玉なので、ぐらつくのはまったく予想どおりで、心配することではありません。

よくあるつまずきと、それが教えてくれること

小さな子が数えるのを見ていると、おなじみのパターンに気づきます。話すより速く指さしたり、指さすより速く話したりして、ことばと物がずれていく子。ひとつとばしたり、ひとつを二度数えたりする子。最後まで数えて「いくつ?」と聞かれると、全部の数を言うかわりに、また最初から数えなおす子。どれもふつうの段階で、それぞれ、どの部分がまだ落ちついていないかを見せてくれます。

指さしを、うんとゆっくりに

いちばん役立つのは、ていねいにふれることを後おしすることです。物を実際に動かすのがいちばん効きます。数を言いながら、マカロニをひとつずつテーブルの上で「かぞえた」山へすべらせる。動かせない物なら、しっかり指さすか、そっとトンとたたくと、リズムが安定します。一対一対応の考えのすべては、ふれることがことばを物につなぎとめる、ということなのです。

ごく少ないまとまりから

最初は3つか4つでじゅうぶんです。少ないまとまりなら見失うチャンスも少なく、正しくできたうれしさを感じられます。4まで確実に数えられるようになれば、5や6は自然についてきます。大きな数へ急ぐと、たいていまちがいとイライラが増えるだけなので、小さくとどまって、自信に先へ進ませてもらいましょう。

遊びながら練習する方法

  • 物を一列に並べて、ひとつずつ順にふれやすくする。
  • 数を言いながら、ひとつずつ箱にポストのように入れる。
  • 着がえながら、体の部分を数える。手が2つ、指が10本、鼻がひとつ。
  • ままごとのお茶会で、どのおもちゃにもコップをちょうどひとつずつ、合わせながら配る。

一列に並べるのは、数えはじめの子にとくにやさしい方法です。まっすぐな列なら、どこから始めてどこで終わるかというなぞがなくなるからです。

「いくつ?」の質問

数えたら、ひと息おいて「じゃあ、いくつ?」と聞いてみましょう。答えるかわりにまた最初から数えるなら、最後のことばがまとまり全体を表すということを、まだつかんでいません。この考えは、指さしが落ちついた少しあとにやってきます。数えてから、あたたかく全部の数をくり返して手伝いましょう。「いち、に、さん。車は3台だね」。親が全部の数に着地するのを何度も聞くことが、そのことを教えてくれます。

テストではなく、あたたかく

この力は本当にむずかしいので、親の声のトーンが大切です。数えまちがいにため息やすばやい訂正が返ってくると、子どもは数えることをさけるようになります。「いっしょに確かめてみようか?」が返ってくると、試しつづけます。並んで数えなおし、がんばりを喜び、正確さは一回ではなく何か月もかけて育てましょう。

まとまってきたサイン

指さしとことばがそろったまま進む、少ないまとまりを二度数えて同じ答えになる、最初から数えなおさずに全部の数を言える。こうしたときに、この力が育ってきたとわかります。どれも静かで見のがしやすい成長の一歩ですが、ひとつひとつが心からの笑顔に値します。

気になることがあれば

物を正しく数えられるようになるのは、幼児期を通して少しずつ進み、でこぼこした進みかたがふつうです。それでも、まわりの子とくらべて、数えること、合わせること、数の遊びにほとんど興味を示さない、できていたことが消えていくようだ、発達全体に気がかりがある、という場合は、かかりつけの小児科医や地域の保健師さん、園の先生に気軽にひと言伝えてみましょう。早めに伝えるのはよくあることで、支援が早くひらかれるだけです。

「後もどり」は、学びの窓

少ない山を数えすぎてしまう「後もどり」の瞬間は、じつは本物の学びをのぞく窓です。暗唱しているだけでなく、合わせることと格闘しているしるしなのです。少ないまとまり、ゆっくりふれること、あたたかいこたえかた。それがあれば、一対一対応は静かにカチッとはまり、となえることが本物の数えることに変わっていきます。

ポイント: 数を暗唱することと物を数えることは、べつの力です。指さしはゆっくり、まとまりはごく少なく、ひとつふれてひとつ言う、が合ったことを喜びましょう。

CDC, Developmental milestones (Learn the Signs. Act Early.)

NHS, Play and learning for babies and toddlers