サイコロ遊びで育つ、はじめての数の感覚
点のついた小さな立方体、サイコロ。それは家にあるなかでも、いちばんすぐれた算数のおもちゃのひとつです。ひとふりで、思いがけない数、見てわかる点の模様、数える理由、そして順番を、子どもに渡してくれます。かんたんなサイコロ遊びは、数の練習を、子どもが「もう一回!」とせがむものに変えてくれます。
サイコロが、こんなにいい先生である理由
サイコロはいくつもの仕事を同時にします。点の模様は、少ない数をひと目でわかる力を育てます。何が出るかわからないので毎回わくわくし、注意が続きます。歩数や物を数える、はっきりした理由をくれます。そして遊びにすると、順番、待つこと、ちょっとした競争もついてきます。こんなに小さくて安い物に、これほどたくさんの幼児期の算数がつまったおもちゃは、そうありません。
まずは、サイコロひとつで
小さな子には、6までの目がある、サイコロひとつから始めましょう。いっしょにふって、点を数えます。最初は点数も勝ち負けもいりません。ふって、数を言って、拍手するだけで、サイコロと点になれるにはじゅうぶんです。サイコロがなじみのある楽しいものになったら、ひとふりごとに、かんたんな目的を足していきましょう。
ふって数える遊び
- サイコロをふって、出た数だけジャンプする。手をたたいたり、足ぶみしたりしても。
- ふって、出た数だけ物を集める。ボタン、積み木、ぶどう。
- ふって、手づくりの道をおもちゃで出た数だけ進む。
- ふって、出た数だけ点や形を紙に描く。
どれも出た数を動きや量に変えてくれます。だからこそ、かんたんなサイコロ遊びは、からっぽの名前当てではなく、本物の理解を育ててくれるのです。
数えることから、見ることへ
最初、お子さまは点をひとつ残らず数えますが、それでぴったりです。だんだん、模様をひと目でわかるよう、やさしく誘ってみましょう。「5が出たね。ぱっと見てわかるかな?」。点の並びはいつも同じなので、子どもは「点が5つ」をひとつの絵として覚えはじめます。この少ない量をひと目でわかる力は、のちのすばやい暗算へとまっすぐつながる、価値のある力です。
かんたんなすごろく
紙や厚紙に、スタートからゴールまで、くねくねしたマスの道を描きましょう。順番にサイコロをふって、出た数だけコマを進めます。進みながら、マスをひとつずつ声に出して数えましょう。最初にゴールした人の勝ち。この小さな手づくりのすごろくは、1マスにひとつの数で歩数を数える練習になり、姿を変えた一対一対応です。しかも、ゴールをめざす競争のわくわくに包まれています。
サイコロふたつは、やさしく
サイコロひとつに自信がついたら、ふたつのサイコロが、はじめての足し算への扉をひらいてくれます。ふたつふって、点を全部最初から数えるかわりに、続けて数えるよう誘いましょう。「4があるね。そこから3つ数えると、ご、ろく、しち」。お子さまに見える具体的なものに根ざした、足し算のはじめての味見です。軽やかに進め、ふたつが多すぎるように感じたら、いつでもひとつにもどりましょう。
順番と気長さも学べる
サイコロ遊びは、数だけでなく、人とのかかわりにもいいのです。自分の番を待つ、いい目に拍手する、小さい目に気持ちを立てなおす。どれも遊びに包まれた本物の学びです。雰囲気はおおらかに、小さな子にはルールを少しゆるめてもかまいません。気持ちよく負けられるようになるには時間がかかるので、勝つことだけでなく遊んだことを喜べば、算数も楽しいままです。
短く、明るく
小さな子の集中は短いので、長い遊びより短い遊びのほうがいいのです。イライラが出る前、まだ楽しいうちにやめれば、お子さまは喜んでまた来てくれます。少しずつ、何度も、が長いマラソンに勝ちます。数分ふって数えることを一週間のなかでくり返すほうが、長い一回の遊びより、ずっとよく数の感覚を育ててくれます。
数の感覚が育ってきたサイン
お子さまが点を数えずに模様がわかる、進む歩数を正しく数える、サイコロふたつで続けて数えはじめる。特定の数を予想したり、期待したりしはじめることもあるでしょう。こうしたサインは、サイコロが静かに仕事をしているしるしです。量の感覚、数を動きに合わせる習慣、足し算のはじまりを、遊びを通して育てているのです。
専門家に聞いてもいいとき
数の力は幼児期から小学校のはじめにかけて少しずつ育ち、子どもによって大きな差があります。まわりの子とくらべて、数や数えること、かんたんな遊びにほとんど興味を示さない、毎日の考えやことばが全体的にむずかしそう、できていたことができなくなったようだ、という場合は、かかりつけの小児科医や地域の保健師さん、園の先生に気軽に話してみましょう。よくある相談で、役立つ支援が早く届くようになるだけです。
小さな立方体の、大きな学び
小さな立方体ひとつが、数えること、量を見てわかること、足し算、順番を、子どもが本気でわくわくする形で差しだしてくれます。少し時間があいたら、かんたんなサイコロ遊びに手をのばし、短く、あたたかく続けましょう。一度もお勉強のように感じさせずに、豊かで遊び心のある算数の練習をお子さまに渡せます。
ポイント: サイコロひとつで、数えること、点の模様がわかること、順番が育ち、ふたつにすれば、やさしい足し算がひらけます。遊びは短く、明るく、何度も。