幼児が数の順番をまちがえる理由と、役立つこと

「いち、に、さん、ご、はち、し!」。お子さまが、自分だけの順番で誇らしげに数を言います。数の順番がごちゃまぜに出てくると、心配になるかもしれません。でも、ごちゃまぜの数えかたは、まったくふつうの段階です。幼児が数の順番をまちがえる理由と、役立つことを知っておくと、心配な瞬間が、やさしく支えるチャンスに変わります。

順番を覚えるのは、大仕事

数のことばには、小さな子にとって筋の通ったきまりがありません。どうして「し」は「さん」のあとで、「しち」のあとではないの?ことばそのものにヒントはないので、順番まるごとを、意味のない音の長いつながりのように、暗記しなければなりません。そう考えると、子どもが覚えられること自体がすばらしく、途中の小さな取りちがえは、まったく予想どおりなのです。

日本語ならではのつまずき

日本語の数のことばには、うれしいところもあります。「じゅういち」「じゅうに」は、10と1、10と2だとことばのなかに書いてあるので、英語のような不規則な言いかたの多い言語より、10をこえる数は筋が通っています。そのかわり、日本語ならではのつまずきがあります。4は「し」と「よん」、7は「しち」と「なな」、9は「きゅう」と「く」と、読みかたがふたつあり、子どもはそれをまぜて使います。「じゅうく、にじゅう」の10の区切りで止まってしまうのもよくあることです。こうしたところでつっかえたり、とばしたりしても、本当にややこしいところと格闘しているだけで、きびしく直すようなまちがいではありません。

真ん中のごちゃごちゃと、消える数

はじめのいくつかはしっかりしていて、真ん中がぐらつく、という数えかたをよく耳にします。「いち、に、さん、し、ご、しち、きゅう」。順番の真ん中の数は、はじめのほうより練習される回数が少ないので、落ちたり入れかわったりします。これは幼児が数の順番をまちがえる、いちばんわかりやすい理由のひとつで、役立つのは、ぬけた数をくり返し練習させることではなく、ゆったりと順番全体をくり返すことです。

本当に役立つこと

  • いっしょに声に出して何度も数え、正しい順番まるごとを聞かせる。
  • 数え歌を歌い、リズムと響きで順番を固める。
  • 毎日本物の物を数えて、ことばを意味につなぎとめる。
  • ごちゃまぜのあとは、大きく直さずに、やさしく正しい順番を聞かせる。

どれも授業のようには感じられず、少しずつ何度もくり返すうちに、時間をかけて順番がなめらかになっていきます。

子どもに向かってではなく、子どもといっしょに数える

いちばん力のある道具は、子どもをテストするのではなく、となりで数える親自身の声です。階段をのぼるとき、いっしょに数えて、正しい順番を親の声にのせて聞かせましょう。「ろく」でつまずいたら、親のしっかりした「ろく、しち」がすきまを埋めるだけです。このいっしょに数えることは、なかまとして教えてくれるので、子どもはプレッシャーではなく、あたたかい励ましとして受けとります。

直すのは、軽やかに

お子さまが「いち、に、さん、ご」と数えても、きびしく「ちがう、しでしょ」と言いたくなる気持ちはおさえましょう。かわりに、明るくいっしょに数えなおします。「やってみよう、いち、に、さん、し、ご」。はずかしさのない正しい形を聞くと、子どもはそれを吸収できます。きびしい訂正は数への不安を生み、試すのをいやがるようにさせがちで、それは望んでいることの反対です。トーンは、気楽に。

ふたつの問題を分けて見る

ことばはごちゃまぜでも物はわりと数えられるのか、順番は完ぺきに歌えるのに、ことばを物に合わせられないのか、に気づくと役に立ちます。これはちがう力です。順番のごちゃまぜには、正しい順番をもっと聞くことが必要です。順番は完ぺきでも合わせるのが苦手なら、本物の物を手で数える機会をもっと。どちらがぐらついているかがわかれば、やさしい注意をどこに向ければいいかがわかります。

プレッシャーより、くり返し

数の順番を覚えるのは、それ自体が数の勝負です。ゆったりした楽しい場面で、正しい順番を聞いたり言ったりする回数が多いほど、早く落ちつきます。近道はありませんし、いりません。歌、階段、おやつ、遊びに織りこまれて、順番は何か月もかけて自然と整っていきます。そのしくみを信じて、おもしろいまちがった順番を、今のうちに楽しんでください。それは長くは続かないのですから。

落ちついてきたサイン

ごちゃまぜが減っていき、真ん中の数がしっかりしてきて、10をこえる数も少しずつおさまっていきます。数える途中で自分で直したり、ひと息おいて二度目で正しく言えたりすることもあるでしょう。順番が安定してきたこうした小さなサインは、静かな笑顔に値します。ここでの進歩はまっすぐな線になることはめったにないので、いい日のあとにごちゃまぜの日が来ても、まったくふつうのことです。

ひとりで悩まないで

数の順番を覚えるのは、幼児期を通して少しずつ進み、子どもによって大きな差があります。まわりの子とくらべて、数や数えること、歌にほとんど興味を示さない、ことばや毎日のことを覚えるのが全体的にむずかしそう、できていたことができなくなったようだ、という場合は、かかりつけの小児科医や地域の保健師さん、園の先生に気軽に話してみましょう。よくある相談で、役立つ支援を早めに整えやすくなるだけです。

ごちゃまぜは、覚える途中の音

ごちゃまぜの数えかたは、算数が苦手になるしるしではありません。決まりのないことばのつながりを覚えようとしている子の、ふつうの音です。幼児が数の順番をまちがえる理由と、役立つことがわかった今、いっしょに数えること、歌、あたたかさでこたえられます。順番は、その子にちょうどいい時期に、きっとまっすぐになっていきます。

ポイント: 数の順番のごちゃまぜは、覚える途中のふつうの段階です。何度もいっしょに数え、歌い、順番が落ちつくまでは、きびしくではなくやさしく直しましょう。

NHS, Play and learning for babies and toddlers

CDC, Developmental milestones (Learn the Signs. Act Early.)