画面を「禁止」にせず、食卓をスマホなしにする

食事の時間は、小さな子の一日でいちばん豊かな時間のひとつです。おしゃべり、順番のやりとり、新しい味、いっしょにいるというシンプルなうれしさ。食卓の画面は、そのすべてを静かにからっぽにしてしまいます。それでも、食事をどう守るかは大切です。きびしい禁止は、画面をかえって魅力的に見せてしまうことがあるからです。目指すのは、落ちついて、とくに言うまでもなく画面のない食卓です。

食卓を守る価値

いっしょに食べることは、おなかを満たす以上のことをしてくれます。子どもはそこでことばを聞き、大人の食べ方を見て、おなかがいっぱいになったことに気づくのを覚え、会話を練習します。スマホやタブレットは、そのひとつひとつをじゃまします。画面の前で食べる子は、食べ物にも満腹にも気づきにくくなりがちで、ことばの育ちを支える流れるようなおしゃべりも静かになります。スマホのない家族の食卓は、そのすべてが自然に起きる場所をつくってくれます。

線引きと、ばつのちがい

あたたかい事実として言う「うちは食卓に画面はなしだよ」と、しかるように言う「画面はだめ、体に悪いから」には、はっきりしたちがいがあります。前者は、すわって食べる、おはしを使う、と同じように、ただの家族の食べ方です。後者は画面を禁断の果実にしてしまい、子どもの興味をかえって強めがちです。スマホのない食卓は、正しいか正しくないかの話ではなく、ふつうのこととして、子どもに向けた制限ではなく家族みんなの習慣として感じられるときに、いちばんうまくいきます。

家族みんなのルールに

子どもは不公平にすぐ気づきますし、自分だけのルールはなかなか根づきません。小さな子にはタブレットを置かせて、親はひと口ごとにスクロールしていたら、線引きは意味をなくします。大人のものもふくめてすべてのスマホをしまうことが、習慣を信じられるものにします。それは大人自身への贈りものでもあります。いそがしい一日のなかで本当につながれる数少ない時間に、通知のざわめきから自由になれるのです。

食事中の、画面の居場所を決める

端末に行き場所があると、習慣は楽になります。カウンターの上のかご、玄関の棚、食器棚の一角など、食事中にスマホが休む場所があれば、儀式なしに食卓から遠ざけられます。お子さまが、大人が先に自分のスマホをそこに置くのを見れば、どんな指示よりよく伝わります。意志の力がしなければならない仕事のほとんどを、物理的な距離がしてくれるのです。

空いた場所を、つながりでうめる

これまで画面が食事を静かにしていたなら、最初の何回かのスマホなしの食事は、少しさみしく感じるかもしれません。それはふつうのことです。かわりに何かを食卓に持ってきて、やわらげましょう。みんなの一日についてのかんたんな質問、好きなものを言いあうおふざけゲーム、お子さまに盛りつけを手伝ってもらうこと。それで食事に食事なりの元気が生まれます。小さな子はとくに、自分の考えを聞かれるのが大好きで、こうした小さな習慣はすぐに、楽しみにしてくれるものになります。

いやがられたら

食べながら見ることになれている子なら、最初は抵抗があると思っておきましょう。言いあいに引きこまれず、あたたかく、一貫していましょう。「食べてるあいだは画面はお休み。あとでもどってくるよ」のような短くていつも同じひと言を、何日か落ちついてくり返せば、新しい当たり前ができます。線引きがたよれるもので、食事のたびにやりなおす交渉ではないとわかると、抗議はたいてい消えていきます。

楽しい食事のままで、ぴりぴりさせない

食卓を守るとは、静かでかしこまった食事を強いることではありません。小さな子との食事はもともと散らかっていて、もぞもぞしているもので、スマホのない食卓が完璧におぎょうぎのいい食卓である必要はありません。目的は、そこにいることとつながることで、しつけではありません。画面のない、くつろいだ、おしゃべりな、ちょっとばたばたした家族の食事。それこそが、ねらっている勝ちです。

外食や、ほかの家では

この習慣は外にも持っていけますが、家の外ではゆるく持ちましょう。待ち時間の長いお店や、ほかの子がタブレットを持っている集まりでは、意地をはるより、考えたうえで例外にしてもいいのです。「待っているあいだは少し見ようか。ごはんが来たらしまうね」とことばにすれば、ふだんの線引きは保ったまま、本当のくらしも受けとめられます。いつもとちがう場面での柔軟さは、自分の家の食卓で続けているパターンをくずしません。

食べること自体が心配なとき

たいていの家族にとってこれはつながりの話ですが、ときには、画面がないとまったく食べてくれない、ということもあります。食事が本当につらい、いやがる、成長や食べる量が心配、という場合は、ひとりで解決しようとせず、かかりつけの小児科医や地域の保健師さんに相談する価値があります。食べさせるために画面を使うのは、専門家といっしょにやさしくほどいていけることを示している、のりきるための工夫なのかもしれません。

続けていくために

スマホのない家族の食卓が、ただ「うちの食べ方」になれば、続けるのにほとんど手間はかかりませんし、たいていの家族はすぐにそのよさに気づきます。食事のおしゃべりがふえ、子どもは少し食べ物に目を向けて食べるようになり、画面のうしろでならんですわるのではなく、本当につながって一日を終えられます。どんなルールより、そのあたたかさこそが、習慣を生かしつづけてくれます。

ポイント: 食卓の画面なしは、ばつではなく、家族みんなのおだやかな習慣に。大人のものもふくめてスマホは全部しまい、空いた場所は気軽なおしゃべりでうめましょう。

AAP HealthyChildren, Healthy Digital Media Use Habits for Babies, Toddlers and Preschoolers

NHS, Physical activity guidelines for children under 5 years