シンプルな「わが家のメディアルール」のつくり方
疲れているときに、ぐずる子を前にしてその場で決める画面のことは、本当に望んでいることとずれがちです。メディアのルールとは、その決断を落ちついた時間に移して、書きとめておくことにすぎません。そうすれば毎日は、ゼロからの交渉ではなく、決めたことにそって進められます。手のこんだものである必要はありません。だれも守らないきびしいしくみより、みんなが知っている、はっきりした数行のほうがいいのです。
その場の対応より、ルールがいいわけ
何の枠組みもないと、画面をほしがるたびに新しい言いあいになり、答えは大人の元気や気分でゆれます。小さな子がたよれる家族のメディアルールがあれば、その消耗する即興がなくなります。いつ、どこで、何を、がもう決まっていれば、意志の力をずっと使わずにすみ、答えがいつも同じなのでお子さまはためさなくなり、家全体がおだやかになります。このルールは、じつは、未来のくたくたな自分への贈りものなのです。
「いつ」を決める
まずは時間から。何分ときっちり数えるより、一日のなかの決まった時間に画面をむすびつけ、ほかの時間は画面なしにするほうが楽だと感じる家族はたくさんいます。夕方には少し画面の時間をとっても、朝と寝る前の1時間は画面なしにする、など。画面を予想できる時間帯にむすびつけ、睡眠と食事のまわりの時間を守れば、お子さまが覚えられるリズムができ、終わりのない「いま見ていい?」も減ります。
「どこで」を決める
場所は、時間と同じくらい大切です。シンプルで強いルールのひとつは、画面はみんながいる場所で、寝室ではなし、というもの。そうすれば、見ることは人とのつながりのなかにあって、目に見えるままになります。寝る場所から端末を遠ざけると眠りが守られ、みんなの部屋で見れば、何が映っているかちらっと見て、それについて話せます。小さな子のためになる家族のメディアルールには、たいてい画面を使わない場所がいくつか決めてあり、多くの家のリストのいちばん上には、寝室と食卓があります。
「何を」を決める
中身は、親がいちばん見落としがちなところですが、画面の時間がお子さまにどう影響するかを左右します。おだやかで、年齢に合っていて、広告の少ないものなど、よしとする番組やアプリの種類を書きだし、めまぐるしいおすすめの流れや自動再生はさけましょう。すべての作品の許可リストはいりません。どんなものがいいかという共通の感覚があれば、お子さまにせがまれたとき、もう信頼しているものの中から選べます。
大人もふくめる
子どもだけをしばるルールは、なかなか続きません。小さな子は、大人を見て画面の習慣を覚えるからです。食事のとき、遊んでいるとき、朝いちばんなど、大人がいつスマホをしまうかもいっしょに決めておけば、ルール全体が信じられる、公平なものになります。それだけで家族のくらしがよくなることも多く、ならんでスクロールするのではなく、本当にいっしょにいる時間がみんなにふえます。
現実的に
ルールがうまくいかないいちばんよくある理由は、欲ばりすぎていることです。大変な日に守れないルールは、いつも守れるゆるめのルールより悪いのです。病気、長い移動、どうしても20分ほしい夜、という現実を組みこんでおきましょう。小さな子が実際にいっしょにくらせる家族のメディアルールは、理想ではなく本当のくらしにそってつくられているので、本当の例外では曲がっても、くずれることはありません。
書きだして、見えるところに
ルールを紙に書いたり、冷蔵庫に絵を何枚か貼ったりすると、頭の中の考えより本物らしくなります。ひとりの親の意見ではなく、みんなの参照先になるので、子どもが言いかえしてきたときや、お世話する大人のあいだで考えがちがうときに助かります。小さな子には、ことばより、画面なしの時間を絵で示したかんたんな表がよく伝わります。見えるようになることで、ルールはひそかな心がけから、みんなが指させる家族の約束になります。
取りしまるのではなく、使う
ルールは道しるべで、むちではありません。目的は、分きざみの完璧な順守ではなく、おだやかな基本の形です。うまくいかなかった日は、さわがず、罪悪感ももたずに、次の日またもどればいいのです。合格か不合格かのテストではなく、何度でももどってくるやさしい当たり前としてあつかうことが、2週間ではなく、何か月も何年も続けられるかぎです。
お子さまの年齢に合わせる
ルールは、お子さまのいまに合っていることが大切です。2歳未満の赤ちゃんや子どもについては、AAPなどの機関は、ビデオ通話以外の画面メディアはさけるようすすめているので、ルールの中心は、つけっぱなしの画面や大人の画面からお子さまを守ることになります。2歳から5歳の子なら、量をしぼって、よく選んだものを、大人といっしょに見ることが中心です。お子さまが大きくなるにつれてルールを見なおし、いっしょに育てていきましょう。
ときどき、見なおす
子どもは変わり、毎日の流れも変わります。一度決めて忘れられたルールは、だんだん合わなくなっていきます。ひと月に一度くらい、まだ合っているか、実際に守られているかを、ちらっと確かめましょう。うまくいっていることは残し、合わないことは調整し、もめごとのもとになっているものは単純にします。ときどき手を入れる生きたルールのほうが、一度書いて放りだされた完璧なルールより、ずっと家族の役に立ちます。
今日からのヒント: 画面の「いつ、どこで、何を」を前もって決め、大人もふくめて、現実的に、見える形に。お子さまの成長に合わせて見なおせば、毎日の言いあいではなく、おだやかな当たり前になります。
AAP HealthyChildren, Family Media Plan
WHO, Guidelines on physical activity, sedentary behaviour and sleep for children under 5 years