公園から帰らない子ども。毎日の「帰るよ」をおだやかにするコツ
公園は最高に楽しかった。それこそが問題なのです。帰る時間だよと伝えたとたん、ごきげんだった子どもは、すべり台へかけもどる、小さな、てこでも動かない抗議者に変身します。公園から帰らないとき、親の前にいるのは反抗する子というより、楽しいことを人の都合で止めるのが本当にむずかしい、小さな脳なのです。
帰るのがむずかしいわけ
いいことを終わりにするには、気持ちを切りかえる力が必要で、それは小さな子の脳の中でいちばん最後に育つもののひとつです。子どもは今を生きていて、「明日また来られる」という大人の感覚を持っていません。そして楽しいことから引きはなされるのは、その子にとって本当の喪失のように感じられます。そこに疲れや空腹が加われば、「いや」はほとんど確実です。これは発達によるもので、親をあやつろうとしているのではありません。
帰る前に予告する
いちばん効く変化は、いきなり帰るのをやめることです。遊びにどっぷりつかっている子には、着陸するための滑走路が必要です。数分前に予告して、その時間が近づいたらもう一度。「ブランコあと2回やったら、歩いておうちに帰ろうね」。時間の感覚がまだない子には、分ではなく回数で数えましょう。「5分」より「すべり台あと3回」のほうが、ずっとよく伝わります。
おだやかに帰るための手順
- 帰る数分前に、はっきり予告する。
- 次に何があるかを、楽しそうに聞こえるように伝える。
- どうやって帰るか、小さくても本物の選択肢をわたす。
- いやがっても、やさしく、いつも同じように最後までやる。
次のことを楽しそうに
向かっていく先に何かがあると、子どもは今から離れやすくなります。「もう帰らなきゃ」ではなく、「おうちに帰って、郵便が来てるか見てみよう」「帰り道に飛行機をさがそうか」と言ってみましょう。ごほうびでつっているのではなく、子どもの気持ちに行き先をあげているのです。公園から帰らないとき、楽しそうな次のことが、どんなにたのみこむよりも働いてくれることがよくあります。
線の内側で選ばせる
帰ることは話しあいで決めることではありませんが、どうやって帰るかは選ばせられます。「門まで歩いていく?カエルみたいにぴょんぴょんいく?」「すべり台とブランコ、どっちに先にバイバイする?」。小さくても本物の選択肢は、ひとかけらの自分で決める力を子どもに渡します。子どもが本当に戦っているのは、たいていそれです。帰ることはゆるがないまま、子どもは自分も決められた、と感じられます。
それでも泣いてしまったら、やさしく
どんなに予告しても、かんしゃくがくることはあります。ときどきはそういうものだと思って、自分へのこばみだと受けとらないようにしましょう。声は落ち着いて、線はぶれずに。泣きさけぶ子をベビーカーまで抱えていくなら、怒らずに、やさしくことばをそえて。「帰るの、すごく悲しいね。楽しかったもんね。また今度来ようね」。ぶれずに、そしてあたたかく。それを同時にめざしましょう。
自分の線を、自分で取り消さない
いちばんむずかしいのは、抗議に負けて「あと1回だけね」と言い、さらにもう1回、となってしまう瞬間です。これは、じゅうぶんさわげば閉じた決定がまた開くのだと子どもに教えてしまい、次の帰り道をもっと大変にします。長い目で見れば、言ったことを本気で守るほうがやさしいのです。予告はたっぷりと。そして、本当にその時がきたら、やさしく線を守りましょう。
うまくいく段取りをしておく
公園での攻防の多くは、実は疲れや空腹のたたかいが変装したものです。長く遊んでくたくたの終わりではなく、子どもがからっぽになる前に帰るようにしましょう。かばんにおやつ、お昼寝の時間がくる前の帰り、のんびりしたペース。どれも帰り道をスムーズにします。すべての抗議を防ぐことはできませんが、自分に不利な条件を積みあげるのはやめられます。
もう少しよく見てもいいとき
楽しい場所から離れるのがむずかしいのは、2歳から5歳くらいの子にはまったくよくあることで、年齢とともに楽になります。地域の保健師さんやかかりつけ医に話してみるのは、どんな変化もどこにいても極端にむずかしくていつもそう、切りかえのたびに、なだめにくく、つりあわないほど強いつらさが出る、育つにつれてはっきりよくなっていく様子がない、という場合だけでいいでしょう。たいていの家族にとって、これはただの時期です。
いいことには終わりがある、と学ぶ
子どもが育つにつれて、公園から帰るのは楽になっていきます。それまでのあいだは、予告と、楽しそうな次のことと、小さな選択肢が道をなめらかにしてくれます。公園から帰らない子に向き合うとき、親は本物の生きる力を教えています。いいことには終わりがあること、終わりは乗りこえられること、そしてそれを学ぶあいだ、親はやさしく、ぶれずにいてくれると信じていいことを。
ポイント: 楽しいことを終えるのは、発達のうえでむずかしいことです。前もって予告し、次のことを楽しそうにし、小さな選択肢をわたし、落ち着いて、いつも同じように最後までやりましょう。