何でも「いや!」の子への対応。イヤイヤ期を落ち着いて乗りきる
朝ごはん?いや。靴?いや。2分前に自分で欲しいと言ったもの?それも、なぜか、いや。小さな子が、反射的に何もかもこばむように見える時期があります。お昼前にはもう、親はくたくたです。何でも「いや」と言う子への対応は、この頑固な小さなことばが、その子にとって大切な仕事をしているのだと知るところから始まります。
「いや」が本当に伝えていること
2歳前後から、子どもは自分が親とは別の、自分の意思をもった人間だということを発見します。「いや」と言うのは、そのわくわくする新しい考えをためすやり方です。親への失礼でも、親の威厳がなくなったしるしでもありません。反抗の服を着た、発達のひとつの節目です。「いや」を練習している子は、自分が世界を動かせるのだと発見している子で、それこそが今この子がしているべきことなのです。
「はい」「いいえ」で答える質問を減らす
困りごとの多くは、聞き方から生まれています。「上着、着る?」は、いやいやモードの子に、断るためのドアを開けてわたしているようなものです。はい、いいえで答える質問を、親がどちらでもいいふたつの選択肢に変えてみましょう。「赤い上着と青い上着、どっちにする?」「車まで歩いていく?それともぴょんぴょんでいく?」。上着を着ることはもう決まっていますが、子どもは何かを自分で決められます。それだけで、にらみあいがとけることがたいていです。
イヤイヤ期を乗りきる手順
- はい、いいえの質問を、親がよしとできるふたつの選択肢に変える。
- 本当に大事なことを決めて、あとは手ばなす。
- 「いや」ということばそのものには、落ち着いて、動じずに。
- 毎日の流れと遊び心で、ぶつかりをかわす。
ゆずるところを正直に見きわめる
すべてに勝つことはできませんし、勝つべきでもありません。ふんばる前に、それが安全、健康、人へのやさしさにとって本当に大事かどうか考えてみましょう。道路の近くで手をつなぐのは大事。言いはる左右ちぐはぐのくつしたは、大事ではありません。何でも同じ強さで守らせると、子どもは大事な線とささいな線の区別がつかなくなります。ぶれない「だめ」は本当に大事なことのためにとっておくと、その重みが増します。
挑発に乗らない
何でも「いや」の子に向き合うとき、いちばん事態を悪くするのは、ひとつひとつの「いや」を主導権争いのように扱うことです。「いや」には、大きな声やお説教ではなく、落ち着きでこたえましょう。子どもは、どうなるかを見たいだけで「いや」と言っていることがよくあります。何もおおごとが起きなければ、そのことばは力を失い、子どもにとってそのゲームはつまらなくなっていきます。
命令のかわりに、毎日の流れと遊びを
まっすぐな命令は、まっすぐな「いや」をまねきます。だから、回り道をしましょう。決まった毎日の流れは、一歩ごとに決めさせなくても子どもを運んでくれます。「お昼ごはんのあとは、これをするんだよね」には、「はい」がいらないからです。遊び心もききます。洗面所まで競争する、歯ブラシにしゃべらせる、靴が「足が食べたいよう」とおなかをすかせているふりをする。くすくす笑っている子は、言いつけられている子よりずっと、反対するのを忘れてくれます。
ゆずらずに、気持ちの場所はつくる
ときには、きっぱり答えるしかなく、「いや」を受け入れられないこともあります。線は守りながら、気持ちは大切にできます。「本当に帰りたくないんだね。そして、もう帰るよ」。いらいらに名前をつけても、線は弱まりません。わかっているよ、と伝えるだけです。子どもは約束ごとに怒っていい。親は、それでも約束ごとを守っていいのです。
親自身の根気を大切に
一日じゅう「いや」が続くのは、本当に疲れるものです。そして、親の落ち着きこそが、底をつきやすい資源です。この時期は、スムーズな一日への期待を下げ、大事な線のために力をとっておきましょう。自分の気持ちがすりきれてきたと感じたら、ひと呼吸おいて、ささいな「いや」はそのままにしてもいいのです。完璧にできる人はいません。親も、もちろん。
ただの時期ではないかもしれないとき
何でも「いや」は、小さいころのふつうで一時的な一部で、ことばと自分をおさえる力が育つにつれてやわらいでいきます。でも、反抗が極端で、乱暴で、イヤイヤ期をとうに過ぎても絶えまなく続く、ことばや聞こえや発達の心配もある、家族の暮らしが本当に回らないと感じる、という場合は、地域の保健師さんやかかりつけ医に話してみましょう。ほとんどの子にとって、これは自然と薄れていく時期です。
「いや」は、育っているしるし
終わりのない「いや」は、しつけの失敗ではなく、健やかな子が自分の心をもった人に育っているしるしです。選択肢をわたし、ぶれない線は本当に大事なことのためにとっておき、親の反応は軽く。何でも「いや」の子に、落ち着きと少しのユーモアで向き合うとき、親は子どもが自分の意思をもつ練習をしながら、話しあいの余地がないこともあるのだと学ぶ手助けをしています。
ポイント: 「いや」は、自立へのふつうのひと押しです。本物の選択肢をわたし、ゆずるところを見きわめ、落ち着いていれば、そのことばはけんかを始める力を失っていきます。