応答的な子育てとは?小さな子のサインにこたえる関わりかた

応答的な子育てとは、子どものサインに気づき、もっともらしく読みとり、ちょうどいいときに、合ったかたちでこたえることです。こたえは必要によって変わります。おなかがすいた赤ちゃんには授乳が、疲れた幼児には遊びをやめる手助けが必要かもしれません。熱い鍋に手をのばす子に必要なのは、好奇心のままにさせることではなく、すぐの線引きです。

3つの段階

  • 気づく:子どもの体、表情、声、ことば、まわりの状況を見る。
  • 読みとる:どんな必要、力、気持ちが、そのサインを説明できそうかを考える。
  • こたえる:安全、つながり、参加を支える、いちばん小さな行動を選ぶ。

すべてのサインを正しく読めるわけではありません。応答的であるとは、最初のこたえが助けにならなかったことに気づき、別のことをためすことでもあります。

あたたかさと線引きは、いっしょにある

応答的な親も「だめ」と言えます。幼児がたたいたら、手を止めて「たたかせないよ」と言い、もっと安全な行動へ移る手助けをする。害をゆるさずに、気持ちと、発達の限界にこたえているのです。長い説明は、子どもが落ち着いてからで大丈夫です。

毎日の例

  • 赤ちゃんが、ほえている犬のほうを見る。大人も目線を追って「わんわんの声、聞こえたね」と言う。
  • 幼児がファスナーに苦戦している。少し待ってから、全部やってしまうのではなく、下のはしを持ってあげる。
  • 遊びのあいだに子どもが顔をそむける。おもちゃを足すかわりに、ひと休みする。
  • 大人がいらいらしてしまう。あとでそれを認め、つながりなおして、もう一度伝えなおす。

応答的とは、いつもすぐ応じられることではない

子どもをみる大人にも、必要なこと、仕事、限界があります。「聞こえてるよ。手を洗ったら手伝うね」と言っていいのです。見通せる短い待ちは、無視することとはちがいます。いっぱいいっぱいになったら、赤ちゃんを安全な場所に寝かせるか、幼児のいる場所を安全にして、ひと息つき、支えを求めましょう。

このやりかたが大切な理由

乳幼児期の発達についてのWHOの指針は、生まれてから3年間、こたえるお世話と、早い時期の学びの機会をすすめています。実際の目的は、決まった結果を保証することではありません。子どものサインに意味があり、大人が安全で頼れる支えをくれる関係です。

行動を、状況の中で読みとる

同じサインでも、ちがう意味のことがあります。遊びのあいだに顔をそむけるのは、眠い、感覚がいっぱい、ほかのものに興味がある、のどれかかもしれません。靴をいやがる幼児は、自分で決めたい、感触がいや、切りかえがむずかしい、のどれかかもしれません。応答的な子育ては好奇心から始まり、それからいちばん安全で筋の通ったこたえを使います。

足りない力のところで、こたえる

小さな子が待てないなら、待つ時間を短くして、順番を目に見えるようにする。もどかしさでことばが消えてしまうなら、かんたんなことばや身ぶりを差しだす。作業がむずかしすぎるなら、ひとつの段階にへらす。このやりかたなら、どのむずかしさもわざとの反抗と受けとらずに、参加することを教えられます。

線引きも、応答的にできる

  • サインを受けとめる。「もっと遊びたいんだね」。
  • 線をはっきり言う。「お風呂はおしまいだよ」。
  • 次の安全な行動をさしだす。「お湯のせんをぬく?タオルを選ぶ?」。
  • 子どもが切りかえをやりきれないときは、落ち着いて体で手伝う。

選択肢は、どちらでもいいものにしましょう。見せかけの選択肢を出して結局くつがえすより、はっきりした線のほうが、多くを教えてくれます。

まちがえたあとの、やりなおし

親もいらいらし、サインを読みちがえ、あとで後悔することばを使います。落ち着いたら戻ってきて、子どものせいにせずに自分のしたことを言い、つながりなおしましょう。「大きな声を出しちゃったね。こわかったよね。ごめんね。もう一度、落ち着いてやってみるね」。やりなおしで線引きがなくなるわけではありません。線引きの保ちかたのまわりに、安心をとりもどすのです。

大人どうしで応答的に

大人どうし、同じ声や遊びかたである必要はありません。大事な安全の決まりをいくつか、子どもの大切なサイン、むずかしい切りかえをどう扱うかを、決めておきましょう。観察は具体的なことばで分けあいます。「わたしの前ではいい子にしてる」より、「バイバイが短いと落ち着くよ」のほうがずっと使えます。

見はりすぎの子育てにしない

応答的なお世話は、すべての動きを分析することでも、すべてのもどかしさを防ぐことでもありません。子どもには、ためして、待って、立ちなおる、こなせるくらいの機会が必要です。学びにつきものの苦戦はさせてあげながら、いつでも手をのばせるところにいましょう。手を出すのは、安全、ひどい泣き、作業のむずかしさから、もっと支えが必要だとわかったときです。

家族のストレスで、こたえにくくなるとき

経済的な苦しさ、病気、孤立、争い、子どもをみる大人の心の不調は、いつも同じようにこたえる力を弱めることがあります。これは道徳的な失敗ではありません。もうひとつの子育ての技法より、実際的な手助け、医療、人の支えのほうが大切なこともあります。お世話をむずかしくしていることを信頼できる専門家に伝え、具体的な支えをお願いしましょう。

応答的な食べさせかたも、毎日の例のひとつ

食事のとき、応答的であるとは、おなかがすいた、もういらないのサインに気づき、合った食べ物を出し、安全に出された物の中から、食べるか、どのくらい食べるかを子どもに決めさせることです。危ない食べ物をゆるすことでも、食事の決まりを手放すことでもありません。痛み、せき、窒息、成長、食べられる物がとても少ない、といった食べることの心配は、しつけの工夫だけでなく、その子に合った専門家の助言が必要です。

ポイント: 応答的とは、完璧という意味ではありません。サインを見のがしたあと、きつくなったあとのやりなおしも、応答的な関係の一部です。

WHO, Improving early childhood development

UNICEF, Care for Child Development