同じ絵本を何度も。くり返しが赤ちゃんと幼児に大切な理由
子どもの発達の中のくり返しは、想像力が足りないしるしではありません。なじみの歌、絵本、動きは、小さな子に安定したパターンをくれます。基本の流れがわかっているからこそ、新しいことばに気づき、動きをみがき、次に来ることを予想し、「できる」という気持ちを味わえるのです。
もう一度することで、子どもが得るもの
- 見通し:次の段階がわかっていると、参加しやすくなる。
- 記憶:くり返しの体験が、見おぼえと思いだす力を強める。
- 体の練習:一回ごとに、体がより多くの情報を受けとる。
- ことば:なじみのことばが、聞きとりやすく、先回りしやすく、言ってみやすくなる。
- 心の安心:知っている流れが、変化のときのよりどころになる。
練習にせずに、加わる
子どもが同じ絵本をせがんだら、何回かはまったく同じに読んでいいのです。別のときには、お気に入りの一行の前でひと間おいたり、新しい絵をひとつ見つけたりしましょう。赤ちゃんがコップを何度も落とすなら、何回か拾ってわたし、何が起きているかを話します。終わりたいときは、やさしく終えられます。「あと2回落としたら、コップはテーブルの上ね」。
変えるのは、一度にひとつ
変化は、遊びのほとんどがなじみのままのときに、いちばん受けとりやすくなります。同じ歌をゆっくり歌う、おもちゃをちがう布の下にかくす、知っている積み木の塔に、大きめの積み木をひとつ足す。新しい指示が多すぎると、自信のある遊びが、うまくやらなければならない発表会になってしまいます。
くり返しが、必要を伝えているとき
くり返しが、気持ちを落ち着かせていることもあります。保育園のあとに幼児が同じおはなしをせがむのは、終わりかたが頼れるからかもしれません。同じ質問をくり返すのは、答えや決まりが変わっていないかを確かめているときもあります。その必要を受けとめ、毎回新しい説明をつくるのではなく、こたえはぶれずに保ちましょう。
その子に合った助言をもらいたいとき
くり返しの遊びだけで、何かが診断されることはありません。技能がなくなる、小さな変化でひどく取りみだす、コミュニケーションや遊びがとても限られている、毎日の暮らしに参加するのがむずかしい、ということがくり返しといっしょにあるなら、心配を伝えましょう。お気に入りの動きひとつではなく、全体のパターンを話します。
見通しが、新しいことへの注意を空けてくれる
初めての遊びでは、子どもの力の多くは、仕組みを理解することに使われます。次からは、流れがなじみのものになります。動きのタイミングを合わせる、ことばを先回りする、ひとつの物がちがう動きをすることに気づく、といったことに集中できるのです。くり返しは、決まりを理解する頭の仕事を減らし、みがきをかけるための余地をつくります。
くり返し読む絵本は、記憶以上のものを支える
はじめのころ、子どもは絵とリズムに注目するかもしれません。そのうち、一行を先回りして言う、細かいところを指さす、おはなしを本当の暮らしと結びつける、一部を自分なりに語りなおす、といったことをするようになります。ことばはほとんどなじみのままにして、ひと言の感想だけ変えればいいのです。大人が今のお気に入りに飽きたからといって、新しい絵本を買う必要はありません。
くり返しの動きは、遊びのパターンを見せていることがある
小さな子は、入れて出す、物を運ぶ、かくす、囲む、落とす、といった大きなパターンを探ることがよくあります。そのパターンを止めるのではなく、もっと安全なかたちを用意しましょう。積み木を投げる幼児には、やわらかいボールとかごを。台所の棚を空っぽにする子には、安全な入れ物を入れた、開けていい引き出しをひとつ。
なじみの土台を残したまま、新しさを足す
- 知っている歌の速さや大きさを変える。
- 同じかくれんぼ遊びを、別のなじみの物でする。
- お気に入りの絵本を読み、うしろのほうの細かいところをひとつ見つける。
- 同じ塔を、やわらかい面や、少しかたむいた面の上に建てる。
変えるのはひとつだけで十分です。参加が減ったら、知っているかたちに戻って、また別の日にためしましょう。
くり返しで大人がくたびれたら、線を引く
こたえる遊びに、限りないくり返しは必要ありません。具体的な終わりを伝えて、守りましょう。「あと3回押したら、ママ(パパ)はひと休み」「今夜はこれが最後の絵本ね」。できれば、関係のあるひとり遊びをさしだします。線を引ける大人のほうが、うんざりするまで続ける大人より、あたたかくいられます。
くり返す質問は、確かさを求めていることも
幼児が同じ質問をくり返すのは、やりとりが楽しい、その文を練習している、答えが変わっていないかを知りたい、のどれかかもしれません。短く、いつも同じに答えましょう。これからある行事については、毎回長く説明するより、絵の流れ表や、家族のいつものひと言のほうが安心をくれることがあります。
くり返しと、発達の心配
くり返しは、幼児期にはよくあることで、役に立つものです。変化にひどく取りみだす、遊びやコミュニケーションがとても限られている、毎日の暮らしに参加するのがむずかしい、技能がなくなる、というパターンの一部になっているときは、もっと広い相談に値します。その動きが子どもにとって何の役に立っているか、どのくらい柔軟か、止められたときにどうなるかを伝えましょう。
くり返しの中の小さな変化に目を向けてみましょう。ちがう持ちかた、前より早い先回り、新しい声。それはたいてい、なじみの遊びが止まったままではなく、まだ育ち続けているしるしです。
ポイント: いつまでも熱心でいる必要はありません。あたたかく正直な線引きが、関係を守ります。「この歌、大好きだね。あと1回歌ったら、ママ(パパ)の声はひと休みね」。