よその子とくらべるより、わが子の成長の流れを見る
はじまりは、児童館でのたわいない会話です。ほかの親が子どもの体重を口にしたり、友だちの子がずいぶん背が高いと気づいたり。くらべる気持ちの小さなたねが根をおろします。親にとってとても自然なことで、そしていちばん役に立たないことの一つです。よその子とくらべるより成長の流れが大切なのは、どの子も、自分の地図の上で、自分のレースを走っているからです。
くらべっこは、ものさしがちがう
ある1日に二人の子をくらべるとき、それぞれを自分自身とではなく、相手とくらべています。でも子どもは、体格、遺伝、育つタイミングが大きくちがいます。一人はもともと背が高く早めに育つ子、もう一人は小柄なおくての子で、どちらもまったく健康なこともあります。並べてみると、ちぐはぐに見えます。時間をかけて追えば、それぞれすくすく育っています。
成長曲線があるのは、まさに、わが子をとなりの家の子とくらべなくてすむようにするためです。大きな健康な基準集団とくらべ、そしてもっと大切なことに、時間をかけてその子自身の線を見守れるようにしてくれます。その子だけの線こそが、本当に大事なものです。
流れが教えてくれること
流れは、大事な問いにこたえてくれます。だいたい自分のパーセンタイルにそって進んでいるか。病気のあとに下がっても戻っているか。身長と体重がいっしょに動いているか。全体の方向は着実か。よその家の子をちらりと見ても、どれにもこたえられません。だからこそ、くらべっこより成長の流れが大切なのです。
何週間か、何か月かあけた、2つか3つのていねいな測定が、わが子の成長の形を見せてくれます。成長曲線のどこにあっても、着実な線は安心材料です。同じ年の子との1回のくらべっこは、方向について何も教えてくれず、ただのふつうの個人差を心配させることになりかねません。
どのパーセンタイルも、誰かにとってのふつう
成長曲線は、子どもたちが広がるようにつくられている、と覚えておくと助けになります。誰かは9パーセンタイルに、誰かは91パーセンタイルにいなければならず、どちらも健康な位置です。わが子が友だちの子より小さいなら、それは、わが子が成長曲線の低めに、友だちが高めにいて、それぞれ自分の遺伝の設計図にそっているだけかもしれません。
家族にはいろいろな形があります。身長や体格は家族で似るので、わが子と友だちの子をくらべるのは、じつは二つの違う家族の設計図をくらべていることが多いのです。それは公平でも、役に立つ勝負でもありません。
くらべることの、静かな代償
くらべつづけることは、まどわすだけではありません。親を不安な習慣へとそっと押しやることがあります。体重を測りすぎる、食べさせようとせかす、まったく問題のないパーセンタイルにやきもきする。子どもはその緊張を感じとります。のんびりした食卓と、体の大きさへの落ち着いた態度は、子どもが自分の食欲に耳をかたむけ、自分のからだを心地よく感じる助けになりますが、くらべっこは食べることと成長を、そっとストレスのもとに変えてしまいます。
SNSは、これをさらに大きくします。よその子の発達や測定の、いいところだけを集めた画面を次々と見せてくるからです。そうしたひとコマには流れという背景がなく、まさにいちばん役に立たないくらべっこを誘います。
わが子の線の読みかた
流れに目を向けることは、身につけられる習慣です。母子健康手帳や子育てアプリに、日付のある測定をかんたんに記録し、測る間隔はほどよくあけ、身長は数か月ごと、体重は多くてもだいたい月1回にして、1つの数字ではなく時間をかけた方向を見ましょう。身長と体重はいっしょに読みます。体重のパーセンタイルが高くても背も高い子は、ただつり合いのとれた体格なのかもしれません。
くらべている自分に気づいたら、問いをやさしくわが子に戻しましょう。1週間を通してそこそこ食べているか、元気に遊んでいるか、眠れているか、発達の目安を重ねているか、そして線は着実か。その答えは、ほかのどの子よりも、ずっと多くを教えてくれます。
流れを相談したいとき
流れを見ていると、いつ相談すればいいかもわかります。くらべっこでは決してわからないことです。時間をかけて体重や身長がパーセンタイルの線を2本分以上またいで下がる、成長が長いあいだ横ばいになる、変化と同時に食欲がない、元気がない、病気が続く、発達の目安に届かない。こうしたときは、保健師やかかりつけの小児科医に相談しましょう。長く着実だった線からの急な変化も、伝えたいことの一つです。
気づいてほしいのは、どのサインも、同じ年の子とくらべてどうかではなく、その子自身のパターンから来ているということです。助けを求めるときを知るのに、ほかの子をものさしにする必要はありません。
自分の地図から目を離さない
親ができる、いちばん心が軽くなる切りかえは、ほかの子と競うのをやめて、わが子の線を読みはじめることです。わが子は、児童館のあの子より遅れても、進んでもいません。受けついだ設計図にそって、自分の時間割で進んでいて、そのおはなしが書かれているのが流れなのです。
基本を支え、日付のある記録を気軽につけ、方向を見て、本当の変化は専門家に読みといてもらう。そうすれば、くらべっこより成長の流れが大切、という言葉は、ただのスローガンではなく、より落ち着いた、より正確な子育てのしかたになっていきます。
ポイント: 子どもどうしをくらべても、正しいものは測れません。成長曲線のどこにあっても、時間をかけたわが子自身の着実な流れが、よく育っていることを教えてくれます。