体を動かす遊びが、幼児の成長を支える理由
よちよち歩きの子を10分ながめていれば、小さな子と体を動かすことについての真実がわかります。子どもは、じっとしていないようにできているのです。よじのぼり、走り、ころがる。それはエネルギーを使っているだけではなく、育つのを助けています。体を動かすことと幼児の健やかな成長のつながりは強く、うれしいことに、そのほとんどは遊びのなかで自然に起こります。
体を動かすことが成長を助けるしくみ
体を動かす遊びは、寝る前に子どもを疲れさせる以上のことをしています。子どもが一日じゅうしている、走る、跳ぶ、よじのぼるといった体重のかかる動きは、骨を刺激して、より強く、密にします。筋肉を使えば、力と体をじょうずに動かす力がつきます。体を動かすと食欲がわき、よく眠れるようにもなり、そのどちらもそれ自体が成長を支えます。合わせて見ると、体を動かすことと成長は、しっかり編みこまれていて、互いに支え合っているのです。
体全体への恩恵もあります。ふだんから体を動かすことは、心臓や肺の健康、バランス、運動の力を支え、大人になっても続く、活動的な暮らしとのよい関係を育てます。子どもがすくすく育つのを助ける、いちばん自然で楽しい方法の一つです。
幼児にはどのくらい必要?
小さな子向けの目安はたっぷりしていますが、うれしいことに、ふつうの遊びで十分に満たせます。おおまかには、こうです。
- 幼児は、一日を通して体を動かすのがよく、短い動きをたくさん重ねて、合計で何時間かになるくらい。
- ぶらぶら歩いたり遊んだりする軽い動きも、走る、跳ぶ、おどるといった活発な動きも、どちらも数に入る。
- ベビーカーやハイチェアに長くすわったまま、動けないままでいる時間は、食事や休息以外ではできるだけ少なく。
- 子どもは一人ひとり違うので、きっちりしたノルマより、だいたい活動的な一日を目指す。
わざわざ予定を組む必要はほとんどありません。場所と時間と励ましがあれば、小さな子は自分から一日の多くを動いてすごします。
遊びこそ、最高の運動
この年ごろには、決まった運動は必要ありません。遊びが運動で、成長に必要なことを全部カバーしてくれます。お金をかけずにできる、かんたんなアイデアをいくつか。
- 公園でジャングルジム、すべり台、走りまわれる広い場所。
- ボール遊び、おにごっこ、かくれんぼ、家や庭でのかんたんな障害物コース。
- 音楽に合わせておどる、うさぎ跳びやはいはいのような動物歩き、ジャンプ遊び。
- 近くへの移動は乗り物ではなく歩いて、小さな足にがんばってもらう。
- 水遊び、砂場、土ほり、外の探検。楽しいと感じながら力がつく。
親もいっしょに加わると、もっと楽しそうに見え、体を動かすことが運動であると同時に、つながりの時間にもなります。
動く時間と画面の時間のバランス
活動的な一日の裏側は、じっとすわっている長い時間を減らすことで、画面はよくその原因になります。画面の前に長くいると、小さな子に必要な動きが押しのけられ、睡眠も削られかねません。この年ごろは画面の時間を少なくし、すわっている時間を動きで区切ることで、成長を支える活動的なパターンを守れます。
楽しみを禁止するという話ではありません。一日を動くほうへかたむけて、体を動かす遊びがいつもの形、じっとすわっているのは例外、にするということです。
動くこと、食欲、睡眠
ほどよく活動的な一日には、うれしいおまけが2つついてきます。たくさん動いた子はおなかがすきやすく、育つ体に必要な栄養をとる助けになります。そして、たいていぐっすり眠ります。成長ホルモンの多くが出るのは、その深い眠りのあいだです。体を動かすことは、成長のほかの2本の柱、食べることと休むことに、まっすぐつながっているのです。
このつながりは、お出かけの日にいちばんはっきり見えるかもしれません。午前中を公園ですごすと、お昼をよく食べ、夜もすんなり眠る。それは、動くこと、食欲、睡眠がいっしょになって、子どもの成長を支えている姿です。
安全に、楽しく
体を動かす遊びは、冒険があってよいけれど、大人が見守っていることが前提です。安全な環境で、親の目が届くところなら、よじのぼる、バランスをとる、自分の限界をためすといった、年齢に合った体の挑戦をさせてあげましょう。小さな挑戦を乗りこえることが、体と自信の両方を育てます。動きやすい服を着せ、水分をとらせ、疲れているときは無理をさせず、子どもの元気についていきましょう。
持病や障害があるとき、どんな運動が合っているかわからないときは、保健師やかかりつけ医、理学療法士が、安全で楽しく体を動かせる方法を教えてくれます。体を動かすことは、いつもその子に合わせたものであるべきです。
相談したいとき
体を動かすことについての疑問の多くはシンプルですが、いくつかは専門家に伝えておく価値があります。体を動かしたがらない、とても疲れやすい、軽い遊びでもよく息切れする、歩きはじめが目安の範囲内に来ないなど運動の発達が遅れている、おさまらない痛み、足を引きずる、はれがある。こうしたときは、かかりつけの小児科医や保健師に相談しましょう。シンプルな理由のこともありますが、確かめておく価値があります。
活動的な子ども時代を
子どもに体を動かすことの成長への恵みを届けるのに、道具も教室も計画もいりません。時間と場所と励ましを用意し、できるときはいっしょに加わり、画面と長くすわる時間はできるだけ少なくし、あとは遊びにまかせましょう。体を動かすことと幼児の成長のつながりは、いちばん支えやすいものの一つです。動けるチャンスをもらった子は、よろこんで自分で仕事をしてくれるからです。活動的な小さな子は、じょうぶな骨、たっぷりの食欲、よい眠りを育てながら、その一分一分を楽しんでいます。
ポイント: 体を動かす遊びは、骨、筋肉、食欲、睡眠を育てます。ふつうの遊びで活動的な一日を支え、長くすわる時間は少なく。動きたがらない、運動の発達の遅れは専門家に相談を。
WHO, Guidelines on physical activity, sedentary behaviour and sleep for children under 5