幼児の食欲にムラがあるのはなぜ?成長と食欲の関係
子どもが急に食べなくなるほど、親を落ち着かなくさせることはそうありません。先月はお皿を全部からにしていたのに、今はおかずをつつきまわして、いすからすべりおりてしまう。何かおかしいのではと心配する前に知っておきたいのは、子どもの食欲は成長のなかで、ごくふつうの理由で変わるということです。子どもが育つ速さに合わせて、上がったり下がったりするのです。
食欲は、暦ではなく成長についていく
子どものおなかのすき具合は、育つ速さとしっかり結びついていて、その速さはでこぼこしています。成長スパートのあいだは体がもっと燃料を必要とするので、食欲が上がり、子どもはいくらでも食べるように見えます。スパートとスパートのあいだの静かな時期は、体が必要とする量が少なくなり、食欲も自然に下がります。この波は不規則なので、食欲もきちんとした予定とは関係なく、週ごとにゆれることがあります。
成長のなかで食欲が大きく変わるように感じるのは、このためです。よく食べる時期のあとに好き嫌いの時期が来るのは、解決すべき問題ではありません。体が、とる量を必要な量にうまく合わせているのです。
幼児期のペースダウン
多くの親が不意をつかれる、とくべつな時期があります。1歳を過ぎてからの食欲の落ちつきです。赤ちゃんはおどろくほど速く育ち、それに見合って食べますが、1歳の誕生日ごろから成長はかなりゆっくりになり、食欲もそれにつれて落ちつきます。前は何でもぺろりと食べていた子が、急にほんの少しで生きているように見えることもあります。
このペースダウンはふつうで、想定どおりのことです。幼児は食卓より世界に興味がわき、自分でやりたい気持ちが強くなり、ただ言えるから「いや」と言うことも増えます。こうしたことすべてで、食べかたはばらばらに見えても、成長は静かに続いています。
おなかのすき具合を動かす、毎日のこと
成長そのもののほかにも、子どもの食欲を上げ下げするふつうのことはたくさんあります。
- 病気、歯の生えはじめ、鼻づまり。数日、食べる量が減ることがよくある。
- 疲れ。疲れすぎた子は、よく食べないことが多い。
- わくわく、気が散ること、いそがしい一日。すわって食事をすることと競いあう。
- おやつや牛乳。次の食事に近すぎると、おなかがすかなくなる。
- 気持ちの状態や、自分を主張したい時期。とくに幼児期に。
これらを読みとけると、心配がずいぶん減ります。短いあいだの食欲の変化のほとんどは、シンプルで一時的な何かにたどりつくからです。
バトルにしない向き合いかた
変わる食欲へのいちばん安定したこたえは、親の役割を、落ち着いて、変わらずに保つことです。役に立つ分担があります。何を、いつ出すかは親が決め、食べるかどうか、どれだけ食べるかは子どもが決める。これで空腹の自然な波を尊重でき、食事の時間が穏やかに保てます。
役に立つ習慣をいくつか。
- 規則正しい食事と、計画したおやつを出し、そのあいだは水やお茶に。おなかがすいた子に、予測できる食べる機会があるように。
- 少なめに盛り、食べ終えるようせかすのではなく、子どもがおかわりを言えるように。
- プレッシャー、ごほうびでつる、さわぎたてることはさける。食べることがかえって悪くなり、子どもを自分の空腹から切りはなしてしまいがち。
- 子どもが食べなかった物もふくめて、何も言わずに、いろいろな物を出しつづける。
- できるときはいっしょに食べる。子どもはまねすることで、たくさんのことを学ぶ。
上がり下がりのあいだも子どもの食欲を信じることは、ひと口ひと口をコントロールしようとするより、長い目で見て健康的なパターンをつくります。
1週間で判断する
視野を広く保ついちばんの方法は、1回の食事ではなく、何日かを通して食べたものを見ることです。お昼にほとんど手をつけなかった子が、朝ごはんや夕ごはん、あるいは次の何日かで帳尻を合わせることもあります。成長を動かしているのは1皿ではなく1週間のパターンなので、元気で活発な子にとって、1回の食事、あるいは1日でさえ、食べなかったことが問題になることはめったにありません。
元気に遊び、自分の線にそって育ち、全体として元気なら、上がり下がりのある食欲は、ほとんどの場合、ふつうの成長の一部にすぎません。
食欲の変化を相談したいとき
いくつかのパターンは、保健師やかかりつけの小児科医に相談する価値があります。食べる量が減ると同時に体重が減る、時間をかけて体重の増えが悪い、元気がない、よく吐く、病気が続く、発達の目安に届かない。ふつうの好き嫌いの時期をずっと過ぎても食欲が戻らない、成長スパートのあいだというより本当に具合が悪そう、飲みこみにくい、のどにつまらせる、食べると痛がる、という場合も相談しましょう。
原因を診断する必要はありません。ふだんの1週間に何を食べているか、元気さ、機嫌、成長について気づいたことを話し、記録をつけていれば持っていきましょう。
食欲の波にのる
変わる食欲は、幼い子ども時代の、わりと予測できる「びっくり」の一つです。ある週は家じゅうの食べものを食べつくす勢いで、別の週はちょこちょこつまむだけ。どちらも、たいていは成長がその仕事をしているだけです。よい食事を決まった時間に出し、どれだけ食べるかは子どもにまかせ、1週間で判断し、心配は本当に必要なパターンのためにとっておきましょう。
こう考えれば、成長のなかで食欲が変わることは、ずっとこわくなくなり、ずっと理解しやすくなります。食事の時間をおそれるのではなく、楽しめるようになっていきます。
ポイント: 子どもの食欲は、でこぼこの成長に合わせて上がり下がりします。よく食べる時期も好き嫌いの時期もあるもの。決まった時間に食事を出し、量は子どもにまかせ、1週間で判断しましょう。