子どもの体型、気にさせない声かけ
子どもは、大人が思うよりずっと多くを吸収しています。「ぽっちゃりだね」という何気ないひと言、鏡に映った自分へのため息、いとことのくらべっこ。それが小さな心に引っかかり、何年も、自分のからだをどう感じるかを形づくることがあります。子どもに体型を気にさせずに、からだの大きさについて話せるようになることは、目立たないけれど、長く残る、親からの贈りものの一つです。
言葉がこれほど大切な理由
小さな子は、自分が誰なのかという感覚をまだつくっている途中で、大好きな大人から手がかりを受けとっています。体型がほめる理由、けなす理由、心配のたねとして扱われれば、子どもは自分のからだは評価されるものだと学びます。ふつうの、どちらでもない事実として扱われれば、自分のからだを心地よく感じられる可能性がずっと高くなります。
だから目指すのは、話題をさけることではなく、上手に扱うことです。体型を気にさせずに話すには、見た目から目をそらし、からだにできること、からだの大切にしかたへと、注意を向けていきます。
見た目より、健康とできること
いちばんシンプルな切りかえは、からだを形ではなく、できることや元気さで話すことです。子どものからだがさせてくれることに気づきましょう。速く走る、高くのぼる、ぎゅっとだっこする、病気のあとに元気になる。食べものは、いい悪い、太る、やせる、ではなく、エネルギーや体をつくるものとして話します。体を動かすことも、見た目を変える方法ではなく、楽しくて、強くなれることとして伝えましょう。
こうすれば、話は前向きで役に立つものになります。よく食べて体を動かすと、強くなれて、思いきり遊べると学んだ子は、からだがまちがっていると感じさせられることなく、一生の健康的な習慣の土台を手に入れます。
選びたい言葉、さけたい言葉
言葉のちょっとした変化が、本当に大きな違いを生みます。いくつかのゆるやかな目安です。
- 親のからだにも子どものからだにも、太っている、ぽっちゃり、ガリガリ、大きい、とレッテルをはらない。愛情のこもった呼びかたでも、残ることがある。
- いい食べもの、悪い食べもの、と言わない。代わりに「毎日の食べもの」「ときどきの食べもの」と言うと、評価の重さが減る。
- 食べものを価値やふるまいと結びつけない。デザートをごほうびにする、食べたことで罪悪感をもたせる、など。
- 見た目より、がんばり、やさしさ、できるようになったことについて話し、その子自身が大切にされていると感じられるように。
- 親自身のひとりごとに気をつける。親が自分のからだをけなすのを聞いた子は、自分のからだをじろじろ見るようになる。
どれも、完璧なせりふを用意する必要はありません。一つひとつの言い回しを正しく言うことより、いつも同じであたたかいことのほうが大切です。
子どもの質問にこたえる
子どもは、あの人はどうして大きいの、小さいの、ぼくは太ってる?といった、まっすぐな質問をします。落ち着いて、正直に、恥ずかしいことのように扱わずにこたえましょう。からだにはいろいろな形や大きさがあること、人はそれぞれ違う速さで育つこと、大事なのは何か特定の大きさであることではなく、元気でやさしいことだ、と説明できます。
子どもが自分の体型を気にしているなら、その気持ちをはねつけずに受けとめ、からだはちゃんと育っているよと安心させ、からだにできることへとやさしく話を向けましょう。淡々とした口調でいることが、ここにはこわいことも恥ずかしいこともないよ、と伝えてくれます。
まわりの人のひと言への対応
親戚や知らない人は、子どものからだについて、言わなくていいことまで口にしがちです。「大きいねえ、さすが男の子」から「やせたんじゃない?」まで。こうした場面をうまく舵とりすれば、子どもを守れます。軽く話をそらすのが効果的です。たとえば、子どもが最近楽しんでいることや覚えたことに話を移して、体型を話題にさせないようにします。
ひと言がささって子どもが居心地悪そうにしていたら、あとで静かに話しましょう。安心させ、考えずにからだのことを言う大人もいるんだよと伝え、あなたの価値は体型とは関係ないと思いださせてあげます。時間とともに、口出しの多い世の中に負けない力が育っていきます。
親自身のからだとの付き合いかたを見せる
子どもは、からだへの見かたを、おもに見て学びます。親が自分のからだについてやさしく話し、罪悪感なしに食事を楽しみ、罰ではなく楽しみのために体を動かし、体型をとくに話題にしなければ、子どもも同じようにする可能性がずっと高くなります。子どもの前でよりよい習慣を見せるのに、親が自分のからだと完全に仲なおりしている必要はありません。見せる言葉や態度の、小さくて変わらない選択が積みかさなっていきます。
体型の心配に支えが必要なとき
からだへの見かたや食べることには、やさしい言葉以上のものが必要なこともあります。子どもが自分のからだのことでとても不安になる、食べる量を減らす、人といっしょに食べるのをさける、体型についてずっと不満を口にする、といったときは、早めの支えが大切なので、保健師やかかりつけの小児科医に相談しましょう。体重が成長曲線のパーセンタイルの線を横切るといった成長そのものの心配も、専門家に相談するのがいちばんです。そしてその話は、子どもの前で批判的に話すのではなく、大人どうしの内緒の話にしておきましょう。
からだに自信のある子を育てる
からだについて上手に話すのは、何を言うかと同じくらい、何を言わないかの問題です。体型はどちらでもない事実として扱い、からだにできることを喜び、食べることと体を動かすことを前向きに話し、無神経なひと言から子どもを守り、親自身のからだにやさしくする。体型を気にさせずに話すことは、一度きりの会話ではなく日々の練習で、小さな変わらない選択が積みかさなっていきます。それを続ければ、子どもは、心地よく、自信をもって、無神経な言葉がうえつける気がかりから自由に育っていけます。
ポイント: 体型はどちらでもない事実として。からだにできることと健康的な習慣に目を向け、レッテルや食べものへの罪悪感をさけ、親自身のからだにもやさしく。