成長曲線の見方、あわてずに読むために
健診で、はじめて成長曲線に点を打たれたとき、胃のあたりがきゅっとなった方は少なくないでしょう。曲がった線が並ぶページ、思っていなかった数字、そしてあわただしい会場。いつもの健診が、不安な時間に変わってしまいます。うれしいことに、成長曲線が実際に何を測っているのかがわかると、その不安のほとんどはやわらぎます。成長曲線をあわてずに読むのは才能ではなく、身につけられる力です。まずは線の意味を知るところから始めましょう。
成長曲線とは
成長曲線は、健康な子どもたちの大きな集団がどう育ったかを描いた絵にすぎません。身長、体重、頭囲などの、わが子の測った値が、年齢に対して1つの点として打たれます。曲がった線はパーセンタイル曲線と呼ばれ、大きな子どもの集団のばらつきを表しています。だから、保育園でたまたまとても背の高い1人の子とではなく、ちゃんとした基準とくらべられるのです。
英国では、赤ちゃんと小さな子にWHO(世界保健機関)の成長基準にもとづく成長曲線が使われています。この基準は、いくつもの国で、母乳で育ち、健康な環境で育った子どもたちを測ってつくられたもので、だから、ある1つの場所で子どもがたまたまどう育ったかではなく、子どもがどう育ちうるかを表しています。日本の母子健康手帳の成長曲線は、国内の子どもたちの調査をもとにつくられていますが、点と線の読みかたの考えかたは同じです。
パーセンタイルの線の読みかた
曲線にはそれぞれ数字がついています。英国の成長曲線なら、2、9、25、50、75、91、98パーセンタイルの線です。体重が25パーセンタイルの線上にあるとしたら、同じ年齢、同じ性別の子どもが100人いれば、およそ25人がそれより軽く、75人が重い、という意味です。それは集団のなかの位置で、100点満点の点数でも、成績でもありません。母子健康手帳の曲線では、3パーセンタイルから97パーセンタイルまでのあいだが帯で示されています。
よくある落とし穴は、50パーセンタイルを目標にしてしまうことです。目標ではありません。誰かは9パーセンタイルに、誰かは91パーセンタイルにいなければならず、どちらもまったく健康でありえます。9パーセンタイルにいる子は、何かに失敗しているのではありません。平均より小さいだけで、それは説明であって、診断ではないのです。
いちばん大切なのは流れ
多くの親がほっとできる、たった一つの考えかたがあります。医療者は、1つの点より、時間をかけて点がつくる線のほうを、ずっと気にかけています。子どもはたいてい、印刷された曲線とだいたい平行に、自分のパーセンタイルにそって育ちます。何か月も25パーセンタイルにそって進み、今もそこにいる赤ちゃんは、まんなかの線より下でも、まさに望んでいるとおりに育っています。
あわてずに成長曲線を読むには、最後の句点ではなく、おはなしの形を見ることです。何週間かあけて測った2つか3つの値が、進む方向を教えてくれます。1つの値だけではほとんど何もわかりません。時間帯、授乳したばかりか、重たいおむつ、体重計の上でじっとしていない幼児など、いろいろなことに左右されるからです。
こわく見えても、ふつうのゆれ
本当の成長は、完璧になめらかな曲線ではありません。その場ではぎょっとするように見えても、ふつうのでこぼこがあると覚えておきましょう。
- 病気のあいだやあとに体重が下がる。たいていは食欲が戻れば回復する。
- 赤ちゃんがはいはいやつたい歩きを始めてエネルギーを使うようになり、体重の増えが一時止まる。
- 身長と体重が少しずれたタイミングで増えるので、成長スパートのあと、しばらくほっそり見えることがある。
- 違う体重計や測りかたを使う2つの場所で、測った値が少しずつ違う。
どれも、それだけで何かがおかしいという意味ではありません。子どものふつうの成長の、手ざわりのようなものです。
きちんと相談したいとき
成長曲線がいちばん役に立つのは、パターンの本当の変化に気づくときです。点がパーセンタイルの線を2本分以上またいで下がっていく、体重や身長が長いあいだ横ばいになる、成長の変化と同時に飲みや食べが悪い、元気がない、病気が続く、発達の目安に届かない。こうしたときは、保健師やかかりつけの小児科医に、くわしく見てもらうよう頼んでかまいません。曲線のどこかに安定してとどまっていることより、理由のわからない急な変化のほうが大切です。
ひとりで読みとく必要も、聞く前に結論を出す必要もありません。母子健康手帳やアプリの記録を持っていけば、医療者は線全体を見られます。食べかた、元気さ、機嫌について気づいたことも話しましょう。
家で成長曲線を役立てるには
自分で記録するなら、正直な数字にするための習慣をいくつか。同じ体重計を使い、同じくらいの服で測り、身長はかかとをつけて壁を背にまっすぐ立たせて測ります。あわてて点をたくさん打つより、ていねいに測った点を少なく。成長は毎日目に見えるものではないので、測る間隔はあけましょう。
こうすれば、あわてずに成長曲線を読み、新しい点を、長いおはなしのほんの一部として受けとめられます。なにより、成長曲線は軽く持っていましょう。訓練を受けた目のための便利な道具で、親の子育てや子どもの将来への判定ではありません。自信があって、よく食べ、元気に動き、発達の目安を重ねている子は、最新の点がどのパーセンタイルにあっても、たいていすくすく育っています。
ポイント: 成長曲線が示すのは、合格か不合格かではなく、位置とパターン。1つの点より、何回かの測定でわかる着実な流れのほうが、ずっと大切です。