子どもの前で夫婦がもめないために、意見の違いの話し合いかた
ぴったり同じ考えで子どもを育てるふたりはいません。寝る時間、おやつ、スマホ、きょうだいげんかにどこまで口をはさむか。意見が違うこと自体は問題ではありませんし、意見の違いを見せない親の子どもが、よりよく育つわけでもありません。本当に大切なのは、その違いを、どこで、どう扱うかです。大人のあいだで静かにおさめた意見の違いは子どもを守り、子どもの前でくり広げられた言いあいは、その反対になります。
誰が見ているかが大切な理由
子どもの前で子育ての意見がぶつかると、子どもはその話題以上のものを吸いこみます。決まりはぐらぐらしている、大人はチームではない、そしてときには、自分のせいでけんかになっている、と。とくに小さな子は、いちばん頼りにしているふたりが対立していると、こわくなったり、自分が悪いと感じたりすることがあります。公的な機関がまとめた研究も一貫して、子どもが目にする対立が続くと安心感に影響すると示しています。だからこそ、話す場所を守る価値があるのです。
その場で、自分に気づく
子どもの前での言いあいのほとんどは、計画されたものではなく、ふいに起きます。パートナーが自分ならしないことをして、その場で正してしまう。いちばん役に立つ習慣は、ひと呼吸おくことを身につけることです。口をはさみたくなったら、こらえてみましょう。子どもに危険がないかぎり、意見の違いはたいてい1時間待てます。その短い間が、子どもの前の言いあいのほとんどを未然に防いでくれます。練習するほど、上手になる力です。
まずは相手を立て、話すのはあとで
その場では、自分なら違うやりかたをしたとしても、パートナーを支えることをめざし、気になったことはあとでふたりのときに伝えましょう。片方の親がデザートのおかわりはだめと言ったのに、もう片方が子どもの前でそれをくつがえすと、子どもはほしい答えをくれる親を探しまわることを覚えます。強く反対していても、人前ではそろった線を保ち、あとでとことん話し合うことはできます。その場ではそろった姿を見せ、違いはふたりのときに整理する。それがめざしたいバランスです。
ふたりだけの合図をもつ
これが上手な夫婦は、「あとで話そう」を伝える、かんたんでふたりだけの方法をもっていることがよくあります。目くばせ、決まったひと言、腕にそっとふれる。子どもの前で議論を始めずに、意見が違うことを知らせられます。落ち着いているときにこうした合図を決めておけば、ぴりっとした空気になったときに、子どもの前の言いあいに転がりこむのではなく、ふたりとも一時停止のしかたがわかります。
話すタイミングを選ぶ
「あとで」が効くのは、本当にあとで話したときだけです。子どもが寝たとき、ほかのことに夢中なとき、そしてふたりとも疲れきっていらいらしているのではなく、それなりに落ち着いているときを選びましょう。くたくたの一日の終わりに、子どもの頭ごしに大事なことを解決しようとしても、まずうまくいきません。夕ごはんどきの熱いやりとりより、子どもが寝たあとの短く意識的な話し合いのほうが、いつだって勝ります。必要なら、1週間の火種を話す決まった時間をつくってもいいでしょう。
勝つことより、子どものこと
話すときは、どちらが正しかったかではなく、子どもにとって何がうまくいくかを軸にしましょう。「寝る前のぐずぐず、どう対応しようか?」はいっしょに解く問題ですが、「あなたはいつも折れるよね」は身がまえさせる非難です。対立する相手ではなく、同じ課題に向き合うチームとして話し合うと、ふたりとも守れる答えにたどり着きやすくなります。めざすのは勝利ではなく、うまく回るプランです。
対応は、前もって決めておく
くり返される言いあいの多くは、予想できる場面への対応を決めていないことから生まれます。スーパーのお菓子売り場でのたたかいが毎週あるなら、そのたびにその場で考えてぶつかるのではなく、一度前もって共通の対応を決めておきましょう。かんしゃく、スクリーンタイム、食べないとき。よくある場面の台本を、そのさなかに入る前に決めておくと、子どもが目にするはずだったその場の言いあいの大部分がなくなります。
仲なおりの姿は、見せていい
子どもに必要なのは、けっして意見がぶつからない親ではありません。意見の違いが上手に扱われるのを見ることが、子どもの役に立ちます。小さな違いが子どもの前で出てしまっても、それはときどきあることです。そのときは、落ち着いて解決するところも見せましょう。「パパとママ、考えが違ったんだけど、話して決めたよ」。お互いを尊重した意見の違いと仲なおりのお手本は、大切なことを教えてくれます。子どもを傷つけるのは、敵意のある、解決しない、こわい対立であって、お互いを尊重したふつうのすりあわせではありません。
ふつうの言いあいをこえるとき
ときどき意見がぶつかるのは、どの夫婦にもあることです。でも、対立がしょっちゅうで、怒りがこもっていたり、こわかったりする、言いあいがエスカレートせずに解決できない、夫婦げんかのまわりで子どもが不安そう、ひきこもる、動揺している、という場合は、支えを求める価値があります。かかりつけ医、地域の保健師さん、夫婦や家庭の相談窓口が助けになってくれます。暴力や威圧がある、身の危険を感じる、というときは、配偶者暴力相談支援センターなどのDVの相談窓口に連絡してください。早めに助けを求めることが、夫婦の関係も子どもも守ります。
親であるかぎり、子育てについて意見がぶつかり続けるのは、まったくふつうのことです。身につけたいのは、意見をそろえる力ではなく、場をわきまえる力です。その場ではひと呼吸おき、そろった線を保ち、本当の話し合いはふたりのときに、チームとして。
ポイント: 子どもの前での夫婦の言いあいは、その場でひと呼吸おき、お互いを立て、違いはふたりのときにチームとして整理することで、最小限にできます。