わが子の成長の気づき、くらべずに家族と分けあう
小さな子と長く過ごしていると、いろいろなことに気づきます。新しい声、よちよちの最初の一歩、おもちゃを一列に並べるくせ、急にあふれ出すことば。そうした気づきをまわりの大人と分けあうのは、本当に価値のあることです。みんなで子どもの育ちを支えやすくなるからです。ただ、落とし穴にはまりやすいのも事実です。気づきはいつのまにかくらべっこにすりかわり、「はじめてことばを言ったよ」が「いとこより早いね」になってしまう。それは誰の役にも立ちません。
くらべっこが、しのびこむ理由
くらべるのはとても人間らしいくせで、子どものこととなると、ほとんど自動的に出てきます。発達は目に見えにくく、わが子は順調だと安心したいからこそ、ほかの子をものさしにしたくなるのです。でも子どもの発達の速さは本当にさまざまで、そのすべてがふつうの範囲に入っています。ひとりをほかの子とくらべても、正確さは増えずに、不安だけが生まれます。大人どうしで分けあうときに役に立つのは、わが子が今何をしているかであって、近所の子とくらべた順位ではありません。
判定ではなく、行動を伝える
いちばん役に立つ気づきは、具体的でこまかなものです。「今週は前よりずっとたくさんおしゃべりしていて、今日は『パパ』をまねして言いました」なら、何が起きていて何を応援すればいいかが、ほかの大人にもはっきりわかります。「年のわりにすごく進んでるの」は、使える情報が何もないうえに、くらべっこを生みます。実際に見たこと、声、動き、新しくできたことにとどめると、やりとりは地に足がついた、本当に役に立つものになり、レッテルが生むプレッシャーもさけられます。
わが子自身の道のりに目を向ける
成長をはかるいちばん意味のあるものさしは、ほかの誰かではなく、先月のわが子です。おしゃべりは増えた?歩きかたはしっかりしてきた?前よりことばは増えた?気づきをわが子自身の歩みにそって話すと、会話は支えあうものになり、くらべっこの落とし穴にはまりません。ほかの大人が受けとって生かしやすい気づきは、この子だけの発達の地図です。それは順位表よりずっと役に立ちます。
競争ではなく、あたたかく
こうしたやりとりでは、中身と同じくらい調子が大切です。新しくできたことを、いっしょに喜ぶうれしいこととして伝えるのと、わが子が勝っている証拠として伝えるのとでは、まったく違って感じられます。祖父母やほかの大人は、その違いを感じとります。「ねえ見て、こんなことができるようになったの」という気持ちを保ち、「ほかの子よりかしこいでしょう」にしないこと。そうすれば、家族どうしの関係を静かにぎくしゃくさせる競争のとげなしに、みんなで子どもの成長を楽しめます。
子どもへの影響に気をつける
とても小さな子でも、まわりのメッセージを吸いこんでいます。ほかの子よりできるとくり返しくらべられて育つ子は、いつもできなければという落ち着かないプレッシャーをかかえることがあり、できないとくらべられる子は、自分は足りないと感じることがあります。気づきを見たままの説明にとどめ、順位から遠ざけておくと、子どもをそのプレッシャーから守れます。子どもが大きくなるほどこれは大切になるので、はかるのではなく気づく習慣を早くから身につけておくと、何年にもわたって子どもの助けになります。
気づきを持ちよって、本当のパターンを見る
気づきを分けあういちばんの理由のひとつは、大人によって見えるものが違うことです。親は家で新しいことばに気づき、シッターさんは騒がしい部屋の向こうから呼ばれても聞こえにくそうなことに気づくかもしれません。それぞれがもっているかけらを持ちよると、ひとりの大人だけでは見えない、より豊かで正確な姿ができあがります。その持ちよった見かたは、成長を喜ぶためにも、もう少しよく見たほうがいいことに早く気づくためにも、とても価値があります。
ふつうの範囲の広さを思い出す
くり返しになりますが、これを覚えておくとずいぶん気が楽になります。子どもが発達の目安に届く時期には広い幅があり、ある力は少しゆっくりで、別の力は早い、というのはまったくよくあることです。歩くのがゆっくりな子が、話すのは早いかもしれませんし、その逆もあります。公的な発達の目安が「よくある範囲」を示しているのは、まさにふつうのばらつきに親があわてないためです。その幅を心にとめておくと、気づきは落ち着いたままで、心配に変わってしまうことがありません。
気づきが、本当の心配を指しているとき
気づきを分けあうのは、喜ぶためだけではありません。支えが必要かもしれないことに、家族がやさしく、早く気づくための方法でもあります。同じ年ごろの多くの子ができることを、わが子がしていないと親もほかの大人もくり返し気づいている、明らかにできていたことができなくなった、あるいは、何かが少し違う気がするというもやもやがずっと消えない。そんなときは、その共有した気づきこそ、地域の保健師さんやかかりつけ医に持っていくべきものです。たずねるのに確信や完璧な記録はいりません。ひとり以上の大人が気づいたパターンを信じるのは賢明なことで、必要なときの早めの支えは、本当に大きな違いを生みます。
お世話をしてくれる人たちとわが子の成長について話すことは、みんなで子どもを育てる静かな喜びのひとつで、子どもが伸び伸び育つ本当の助けになります。具体的に、あたたかく、ほかの子ではなく先月のわが子とくらべる。そうすれば、分けあうことは不安のもとではなく、つながりと支えのもとになります。
ポイント: 子どもの成長の気づきを大人どうしで分けあうときは、ほかの子とくらべるのではなく、わが子が実際にしていることを伝え、その子自身の歩みを見守りましょう。