毎日の育児の引きつぎメモ、かんたんな書きかた
送りやお迎えの引きつぎは、一日でいちばん忙しい30秒になりがちです。誰かが靴をはかせ、誰かがかばんを持ち、子どもは大よろこびか、大泣きか。その瞬間に大事なことを全部思い出して伝えようとすると、何かが抜け落ちるのはほぼ確実です。短く書いたメモが、それを解決してくれます。あわただしい会話にたよらずに、その日の大事なことを、ひとりの大人から次の大人へ運んでくれます。
よいメモは、何のためのもの?
引きつぎメモは、日記でも通知表でもありません。その役目はただひとつ、その日をなめらかにするために次の人が知っておくべきことを伝えることです。どう眠ったか、最後に食べたのはいつか、今どんな機嫌か、いつもと違うことはあるか。こうした基本が子どもといっしょに運ばれると、受けとった大人は、かんしゃくになる前に必要なことにこたえられ、子どもも見通しのある落ち着いた一日を過ごせます。
書いておきたい基本
数行におさめてかまいません。いちばん役立つのは、夜の眠りと起きた時刻、お昼寝、最後に食べたものと時間、飲んだ量、おむつやトイレ、機嫌、薬(何をいつ)、そしていつもと違うこと、の項目です。
これが骨組みです。ほとんどの日は、3つか4つの項目をうめて、あとは空けておくことになります。それでちょうどいいのです。
形は、毎日同じに
引きつぎメモの価値は、いつも同じであることから生まれます。書きかたが変わらなければ、読む人は、眠りや薬がどこに書いてあるかすぐにわかり、文章の中を探さなくてすみます。印刷した小さなひな形、玄関のホワイトボード、スマホの共有メモ。どれでもかまいません。チーム全員が実際に使うものを選びましょう。どんなに立派なしくみでも、半分の大人が使わなければ役に立ちません。
判断ではなく、事実を書く
誰かのせいだと感じたことではなく、起きたことを書きましょう。「朝5時に起床、お昼寝は短く1回、少しぐずぐず」は本当に役立ちます。「疲れすぎていたから、ひどい夜だった」は誰かを責める空気を生み、次の人に伝わる情報も少なくなります。見たままを書くと、メモがなごやかなものになり、誰が何をしたかではなく、子どものことにみんなの目が向きます。あとからパターンをふり返る必要が出たときにも、公平な記録になります。
行きも帰りも、書く習慣に
いちばんよい引きつぎは、両方向です。子どもを送りだす人が朝のことを書き、子どもを連れて帰る人がその日の残りを書く。そうすれば、帰宅した親はお昼ごはんがどうだったか、お昼寝が本当にできたかがわかり、園やシッターさんは夜と夜中の様子がわかります。行き帰りの引きつぎメモは、情報がえり分けられずに、ありのまま伝えられているとみんなにわかるので、静かに信頼を育ててくれます。
対応が必要なことは、目立たせる
知っておくだけでいいことと、対応が必要なことがあります。その違いがひと目でわかるようにしましょう。午前11時にアセトアミノフェンを飲ませたなら、次の人は、次に飲ませられるのがいつかを知る必要があります。お昼をほとんど食べなかったなら、早めの夕ごはんが必要かもしれません。下線、星印、「ここに注意」の行などで、急ぎの1つか2つをいつもの項目から浮かびあがらせ、読みとばされないようにしましょう。
安全の基本は、いつも最新に
毎日のメモはその日のことを伝えますが、めったに変わらない大事な情報が別にまとまっていると、いちばんうまく働きます。アレルギー、ふだん飲んでいる薬、緊急連絡先、お迎えに来ていい人。これらは毎朝書きなおすのではなく、決まった場所に置いておき、毎日のメモには「今日違うこと」だけを書きます。決まった情報が変わったら、すぐにそちらを書きかえ、メモでもひと言伝えましょう。
引きつぎだけではすまないことがメモにあるとき
ほとんどのメモは、ただの段取りです。でもときどき、もっとよく見たほうがいい記録があります。何日も続けてほとんど食べていない、いつになく眠そうで起こしてもなかなか目をさまさない、高い熱が下がらない、おなかをこわすことがくり返される。何人もの大人の記録に気になることが続いているなら、その共有の記録をきっかけに、様子を見るのではなく、かかりつけ医や保健師さんに連絡するか、子ども医療電話相談(#8000)に電話しましょう。息が苦しそう、けいれんしている、ぐったりして反応がない、というときは、すぐに119番してください。
引きつぎメモは書くのに1分しかかからず、かかる手間よりずっと多くのものを守ってくれます。ばたばたの玄関でのやりとりを、小さな子の一日を形づくる大事な事実の、静かで確かな受けわたしに変えてくれます。そして、どの大人も同じところからスタートできるようにしてくれます。
ポイント: 眠り、食事、機嫌、薬をおさえた、短くていつも同じ形の引きつぎメモがあれば、どの大人もその日のことを知った状態で引きつげて、子どもの毎日がなめらかで安全になります。