シッターさんに、わが子のサインを伝える方法
親は、ほとんど考えずにわが子のサインを読めています。眠いときのぐずりと、おなかがすいたときのぐずりの違い。おむつ替えが必要なときの、あの体のくねらせかた。何かが起こる前の、急な静けさ。どんなに上手なシッターさんでも、そこはゼロからのスタートです。親が時間をかけて身につけたこの「読みとり力」をわたすことは、離れているあいだも子どもがわかってもらえていると感じるために、親にできるいちばんやさしくて実際的なことのひとつです。
指示より、サインが大切な理由
時間や決まりのリストが役に立つのは、ある程度までです。赤ちゃんや小さな子は、時間割どおりには動かないからです。お世話する人が本当にうまくこたえられるのは、子どもが今何を伝えようとしているかがわかるときです。すばやく、正しくこたえてもらえた子は落ち着いていられ、信頼も早く育ちます。わが子のサインを短くまとめたメモがあれば、シッターさんはその読みとりで先にスタートでき、どこかの子どもではなく、目の前のわが子にこたえられます。
まずは、空腹と眠気のサインから
見のがすといちばんつらいことになるのは、空腹と眠気です。だから最初にそれを書きだしましょう。大泣きになる前の、はじめのサインを伝えます。眠いときは目をこする、耳をひっぱる、じっとしてぼんやりした目になる。おなかがすいたときは口をもぐもぐさせる、手をしゃぶる、急に機嫌が悪くなる。こうした早めのサインをとらえられれば、シッターさんは子どもがつらくなる前に、食べ物を出したり、お昼寝の準備を始めたりできて、みんなの一日がなめらかになります。
声やことばを、ほどいて伝える
小さな子は、はっきり話せるようになるずっと前から、自分だけのことばをもっていることがよくあります。「抱っこして」を意味するあのぐずり声、意味がないように聞こえるけれど実は「ミルク」のことば、ふだんのいらいらではなく本当にいたいときの泣きかた。こうしたものを書いておきましょう。役に立つメモは、わが子だけのことばを、新しい人が動ける形に訳したものです。そうすれば、お願いがでたらめなぐずりと読みちがえられることなく、ちゃんとこたえてもらえます。
行動の裏にあるものを説明する
サインには、声ではなく行動のものもあります。部屋のすみに入っていくのは、おむつがぬれてきたしるしかもしれない。おもちゃを投げるのは、いたずらではなく疲れすぎかもしれない。新しい場所で急に静かになってくっついてくるのは、具合が悪いのではなく、いっぱいいっぱいなのかもしれない。こうした行動の意味を伝えておくと、シッターさんは表面だけにこたえるのではなく、その下にある必要を満たせます。発達のふつうの行動を、反抗と読みちがえるのも防げます。
話すだけでなく、見せる
書いたメモも役に立ちますが、実際にサインを見るのにまさるものはありません。できるなら、シッターさんがひとりで見る前に1日か2日いっしょに過ごし、実況しながら見せましょう。「ほら、目をこすっているでしょう。お昼寝の時間が近づいてきたしるしなんです」。親がその場でサインを読んでこたえる姿を見ると、どんなリストよりもたくさんのことが伝わります。紙には書きにくいあいまいなサインについて、シッターさんが質問することもできます。
メモは短く、育てていくもの
20ページの資料は読まれませんが、よくまとまった1枚なら読んでもらえます。眠い、おなかがすいた、気持ちが悪い、悲しい、遊びたい、のようにいくつかの見出しに分け、それぞれに1、2行書きましょう。そして、育てていくメモとして扱います。子どもの変化は速く、生後10か月のときに「眠い」だったサインが、1歳半では違う意味になっていることもあります。ときどきいっしょに書きかえ、シッターさんにも気づいたことを書き足してもらいましょう。
シッターさんならではの読みとりも信じる
わが子をいちばん知っているのは親ですが、よいシッターさんは、親が見のがしていることにもすぐに気づきます。違う場面で、新しい目でわが子を見ているからです。お出かけのときだけ出てくるサインや、成長とともに現れてきた合図に気づくかもしれません。それを歓迎しましょう。めざすのは、親の読みかたをそのまままねてもらうことではなく、シッターさんがわが子と自分なりの正確で、こたえる関係を築けるだけの土台をわたすことです。
すぐ対応が必要なサインも伝える
安心にかかわるサインもあれば、安全にかかわるサインもあります。ふだんのぐずりと、何かおかしいかもしれないサインの違いを、シッターさんにかならず知っておいてもらいましょう。たとえば、いつもと違う泣きかたでどうしても泣きやまない、ぐったりしている、いつになく眠そう、息が苦しそう、押しても色が消えない発疹がある、などです。そのときどうするか、誰に電話するかも決めておきます。安心していいサインと気がかりなサインの両方がわかっていれば、シッターさんはどちらの場合も自信をもって動けます。
サインが本当に読みにくいとき
ときには、誰にとってもサインを読むのがむずかしい子もいます。それは心配するより、注意を向ける価値のあることです。何をしてもとてもなだめにくい、要求を伝えるいつものやりかたが育ってこない、親もシッターさんも、続くつらさにしょっちゅうお手上げになっている、という場合は、地域の保健師さんやかかりつけ医に相談するのは自然なことです。聞こえ、授乳や食事、発達など、もう少しよく見たほうがいいことがないか確かめてもらえます。親とシッターさんの両方が気づいたことを伝えると、より豊かな姿が伝わります。
子どもを読みとるのは、何か月もかけて身につく力で、親はその近道をわたしているだけです。早めのサインを伝え、声を訳し、行動を説明し、実際に見せる。そうすればシッターさんは、ほかの人にお世話されることを安心なものにしてくれる、すばやくあたたかいこたえを、わが子に届けられます。
ポイント: 眠い、おなかがすいた、悲しいのサインを訳した、短くて育てていけるメモがあれば、シッターさんはすばやくこたえて信頼を築けます。シッターさん自身の気づきも書き足していきましょう。