別れて暮らす親の家を行き来する子、受けわたしを安心に

両親が別れたあとの家族の暮らしで、ふたつの家を行き来することは、むずかしい部分のひとつです。そしてそれは、いちばん小さな家族にいちばん重くのしかかります。小さな子は、頭の中でカレンダーを思いえがいたり、なぜ今日がパパの日なのかを考えたりはできません。でも、受けわたしがなめらかで見通しのあるときと、あわただしく、ぴりぴりして、毎回違うときの違いは、しっかり感じとります。その瞬間を確かなものにすることは、別れて暮らすふたりの親にできる、いちばんやさしいことのひとつです。

受けわたしの瞬間が、なぜそんなに大切?

受けわたしは、子どものふたつの世界が出会う場所で、みんなにとって気持ちの動く瞬間です。子どもは、まさにこのときに両親のあいだの緊張を感じとりやすく、その前後にべったりになったり、泣いたり、落ち着かなくなったりすることがあります。いつも同じ受けわたしの流れがあると、子どもはつかまっていられるなじみの順番を得て、家から家への移動が小さな危機ではなく、ふつうの出来事になります。何よりも見通しこそが、変化の中にいる小さな子をなだめてくれます。

時間をそろえる

できるかぎり、同じ時間に、そしてできれば同じ場所で受けわたしをしましょう。「金曜日の保育園のあとはパパの家」とわかっていれば、その段取りは1週間の当たり前の一部になり、びっくりすることではなくなります。目に見える予定表、絵のついたかんたんなカレンダー、「ママの家であと2回寝たらね」のような決まった言いかたが、小さな子でも次に来ることを予想する助けになります。予定がいつも同じであることが、1週間の不安を大きく取りのぞいてくれます。

短く、おだやかな受けわたしに

受けわたしそのものは、あたたかく、短く、さわぎ立てないのがいちばんです。長く感情的なお別れや、親どうしのぴりぴりしたやりとりは、子どもにとってその瞬間を楽にするどころか、つらくします。もうひとりの親と、受けわたしは短く、なごやかにすると決めておきましょう。子どもとかばんを明るくさっとわたし、はっきりバイバイして、出発。大人どうしの話し合いは、メッセージや別の電話など、別の機会にとっておくと、子どもを板ばさみから守れます。

お気に入りの物を、いっしょに移動させる

ふたつの家を行き来するなじみのぬいぐるみ、毛布、コップは、まわりが変わっても変わらない錨を子どもにくれます。小さな物が、大きな安心を運んでくれるのです。お気に入りの物は面倒なく行き来させると決めておき、いちばん大事な寝る前のくまが、違う家に置き去りにならないよう、気をつけておきましょう。まさにそのあわてを防ぐために、大好きな物をふたつそろえて、それぞれの家に置いている家庭もあります。

ふたつの家で、大事なことをそろえる

ふたつの家がかけはなれていないほど、見通しのある行き来はしやすくなります。それぞれのやりかたがあって当然ですし、それでかまいません。でも、だいたいの寝る時間、似た食事の時間、大事なルールへの同じ向き合いかたなど、大きな柱をそろえておくと、子どもは移るたびに全部をリセットしなくてすみます。基本のリズムが家から家へ受けつがれるほど、行き来の衝撃は小さくなります。

これから起きることを、子どもに伝えておく

子どもは、変化が近づいてくるのが見えているほうが、ずっとうまく乗りこえられます。移る前に、かんたんで前向きなことばで話しておきましょう。「今日は夕ごはんのあとパパの家に行くよ。日曜日にまた会おうね」。いきなり告げるのは避けます。ちょっとしたカウントダウン、もうひとりの親の写真、いっしょにかばんをつめる決まった流れが、流されるのではなく準備ができていると子どもに感じさせてくれます。次に何があるかを知っていることは、小さな子にとって深い安心です。

あたたかく送りだし、あたたかく迎える

子どもは、もうひとりの親のところへ行くことを親がよく思っていないと、すぐに感じとります。「楽しんできてね。あとでお話聞かせてね」と、心から励まして送りだしましょう。帰ってきたら、根ほり葉ほり聞いたり、楽しんできたことに傷ついた様子を見せたりせずに迎えます。片方の家を好きでいることがもう片方を傷つける、という感覚から子どもを自由にしてあげることは、親にできるいちばん子どもを守ることのひとつです。子どもの「どっちも好き」が、子どもが背負う荷物になってはいけません。

ゆれることもあると考えておく

どんなになめらかな流れでも、行き来のあと、子どもが落ち着きなおすには少し時間がかかることがよくあります。着いてからしばらく、泣いたり、べったりしたり、調子が出なかったりするかもしれません。それは受けわたしがうまくいかなかったわけでも、もう片方の家に問題があるわけでもありません。小さな子が変化を受けとめているだけです。おやつ、なじみの遊び、静かにくっつく時間など、最初の1時間をさりげなくやさしく過ごすと、たいてい着地できます。こうしたゆれに深読みせず落ち着いてこたえると、みんなが安定していられます。

行き来がつらいままのとき

受けわたしのまわりである程度落ち着かないのは、まったくふつうのことです。でも、つらさが続くときは注意を向ける価値があります。不安が長く続く、眠りや行動の変化が時間がたってもやわらがない、ひきこもる、行き来を本当にこわがっているように見える、という場合は、真剣に受けとめましょう。地域の保健師さんやかかりつけ医に相談し、両親が子どものために協力できるよう手伝ってくれる、自治体の家庭相談や親どうしの話し合いを支える専門の窓口も考えてみてください。どちらかの家での子どもの安全に本当に心配があるときは、すぐに相談しましょう。支えは、まさにこういうときのためにあります。

ふたつの家で、子どもはちゃんと健やかに育っていけますし、実際にたくさんの子がそうしています。その秘けつは、完璧な取り決めではなく、見通しのある取り決めです。いつも同じ時間、おだやかな受けわたし、そして何より子どもの安心を大切にするふたりの親が、それを支えます。

ポイント: いつも同じ時間、短くおだやかな受けわたし、いっしょに移動するお気に入りの物。見通しのある行き来の流れが、ふたつの家を移る小さな子に安心をくれます。

NHS, Separation anxiety

CDC, Positive Parenting Tips