新しいベビーシッターさんに、子どもが慣れるまで
知らない人にわが子をあずけるのは、口で言うより大きなことに感じられます。はじめてなら、なおさらです。子どもはまだその人を知りませんし、小さな子は「なじみがあるかどうか」で安心を判断します。でも、信頼は「あるか、ないか」のどちらかではありません。小さな、見通しのある一歩で育っていくものです。親が上着を手にとる前から、できることはたくさんあります。
信頼は、最初の夜の前から
子どもは、一度見たことのある顔のほうがずっと落ち着きます。できるなら、親がまだ家にいるあいだに、30分でもシッターさんに来てもらいましょう。おしゃべりして、少し遊んで、なじみの場所にただいてもらう。子どもは、親がこの新しい大人にどう接するかを見ています。親があたたかくくつろいでいれば、「この人は大丈夫」というはっきりした合図になります。こうした短い、気負わない顔合わせは、当日にどれだけ安心させることばをかけるより、子どもの信頼を育ててくれます。
子どものペースで、心を開くのを待つ
新しい人の胸に飛びこんでいく子もいれば、しばらく親の足のうしろからじっと観察する子もいます。どちらもふつうです。人見知りの子を、抱っこや遊びに押しだしたくなる気持ちはこらえましょう。準備ができたら、子どものほうから近づいてきます。ひざに乗せようとするより、おもちゃを差しだすなど、子どものペースについていくシッターさんのほうが、急に距離をつめる人よりずっと早く信頼を得ます。時間をあげれば、たいてい子どものほうから距離をちぢめてくれます。
子どもだけでなく、いつもの流れもわたす
小さな子は、夜の流れの形が変わらないとき、いちばん安心します。いつもの流れを順番どおりシッターさんに伝えましょう。夕ごはん、お風呂、絵本、寝る前にかならず見つけないといけないぬいぐるみ、常夜灯の明るさ、寝る前にかける決まったことば。夜がいつもどおりに進めば、人は新しくても、子どもはその場をなじみのあるものとして受けとめます。この見通しこそ、シッターさんへの信頼を育てるいちばん強い道具のひとつです。
バイバイは、はっきり短く
泣かせないように、気づかれないうちに出かけたくなりますが、たいていは裏目に出ます。顔を上げたら親がいなかった子は、次のお別れにかえって不安になりがちです。そうではなく、あたたかく、正直に、短くバイバイしましょう。お出かけすること、この人がお世話してくれること、かならず帰ってくることを伝えます。涙のお別れを長引かせると、みんなの不安が高まってしまうので、自信をもったバイバイのほうが、長いお別れよりやさしいのです。NHSの分離不安についての案内でも、こうして慣れていく過程は発達のふつうの一部だとされています。
実際に必要なことを伝える
シッターさんが自信をもって準備できていると感じることも、信頼を育てます。落ち着いた大人は、子どもを落ち着かせるからです。出かける前に、基本を確認しましょう。薬、救急箱、着がえの場所、アレルギー、親の電話番号ともうひとつの連絡先、寝てくれないときにどうするか。非常口や玄関の鍵のかけかたも伝えます。どこに何があるかわかっている自信のあるシッターさんは、ゆれをずっとなめらかに乗りこえ、子どももその落ち着きを感じとります。
最初のお出かけは、短めに
はじめてのお出かけは、ひと晩まるごとでなくてかまいません。近くで1時間ほどの短い外出でも、子どもは親が出かけて帰ってくるまでのひとつながりを、まるごと経験できます。出かけて、帰ってきた。そのひとまわりこそ、小さな子が必要としている証拠です。それを何度か経験すると、長いお出かけもみんなにとってずっとこわくなくなり、シッターさんは知らない人ではなく、知っている人になります。
帰ってから、話題にする
帰ったときは、大げさにほっとしてかけよるより、さりげなく明るく。大げさだと、何かこわいことがあったように感じさせてしまいます。次の日は、シッターさんのことをあたたかく、前向きに話題にしましょう。いっしょにした遊びや、読んでもらった絵本のこと。親がその人をよく言うのを聞くと、子どもはその人を「好きで信頼している人」の仲間に入れ、次からの訪問がなめらかになります。子どもが心配を口にしたら、大げさに反応せず、耳をかたむけて真剣に受けとめましょう。
なかなか慣れないとき
バイバイのときに少し泣いても、数分でおさまるならまったくふつうのことで、くり返すうちにたいてい楽になっていきます。でも、そうならないこともあります。何度来てもらってもやわらがないつらさが続く、ほかの時間にもひきこもったりいつになくべったりになったりする、あずけた時間のことで親が本当に落ち着かない気持ちになる、という場合は、真剣に受けとめましょう。親の直感を信じて、もっとたずね、この預けかたが合っているかを考えてみてください。暮らしにまで広がる強い不安が続くときは、地域の保健師さんやかかりつけ医に相談すると、わが子に必要なことを理解する手助けをしてもらえます。
シッターさんとの信頼づくりとは、「新しい」が「なじみ」に変わるまで、安心できる小さな経験を積みかさねていくことです。やさしく紹介し、いつもの流れを変えず、はっきりバイバイして、言ったとおりの時間にかならず帰る。それを何度かくり返せば、ほとんどの子はおどろくほどすんなりなじんでいきます。
ポイント: シッターさんへの信頼は、見たことのある顔、変わらない毎日の流れ、はっきり自信のあるバイバイを、短く見通しのある訪問で積みかさねることで育ちます。